
ガスリー裁定撤回で新局面。メルセデス、ラッセル懲罰巡りモナコGP再審請求…パンドラの箱は開かれるのか
2026年F1第6戦モナコGPでピエール・ガスリー(アルピーヌ)に科されたピットレーン速度超過ペナルティが撤回されたことを受け、今度はメルセデスが再審請求権を行使した。
メルセデスのチーム代表トト・ウォルフは、結果が覆る可能性について「現実的かどうかは分からない」としながらも、ジョージ・ラッセルのために手続きを進める必要があるとの考えを示した。
ガスリー裁定を覆した再審請求
モナコGPでは、ガスリーのほか、チームメイトであるフランコ・コラピント、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、そしてラッセルが、ピットレーン速度超過でタイム加算ペナルティを受けるという異例の事態となった。
ラッセルはそのペナルティをピットストップの際に消化しなかったため、さらに重いドライブスルー・ペナルティを科され、チェッカーフラッグの前にこれを消化。その結果、表彰台争いをしていたレースをポイント圏外の12位で終えることになった。
一方のガスリーは、2回の速度超過に伴う計10秒のペナルティをレース中に消化せず、3位でチェッカーフラッグを受けた後、タイム加算により7位に降格していた。
だが、アルピーヌが請求した再審理の中で、ピットレーンの速度算出のために用いられていた距離データに誤りがあり、速度計測自体が不正確であったことが判明。ガスリーのペナルティは取り消されるに至った。
ラッセル救済へ動くメルセデス
これにてモナコGPのリザルトが確定するかにも思われたが、ウォルフは、FIAに対して再審理を請求したことを明らかにした。
「我々もFIAに対して再審を請求した。正直なところ、現実的な成果につながるのかどうかは分からない。パンドラの箱を開けることになるからだ」とウォルフは語った。
ラッセルに科されたピットレーン速度超過ペナルティが誤りであった場合、ドライブスルーもまた科される必要がなかったペナルティとなる。
規則上、ドライブスルーは決定から2周以内に消化しなければならないため、ラッセルはレース中にこれを消化したが、残り周回数の関係上、消化できない場合はレース後の20秒加算として処理される。
ウォルフは、この20秒をリザルトから除外した場合、ラッセルは4位になっていた計算であるとしつつ、「そこから派生する影響はどう処理されるのか。裁定が覆るとは思っていないが、ジョージのためにやらなければならない」と語った。
広がる波紋、控訴の動き
ガスリーへのペナルティが撤回されたことを受け、動いているのはメルセデスだけではない。マクラーレンとレッドブルは、ペナルティ取り消し裁定に対する「控訴の意思」をFIAに通知している。
ガスリーの3位表彰台復帰により、アイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング)は4位へ、ピアストリは5位へと後退した。また、レーシング・ブルズのリアム・ローソンとアーヴィッド・リンブラッドもそれぞれ1つ降格した。
自身もまた、ピットレーン速度超過ペナルティを科されたピアストリは、「あの決定には、ホント唖然とした」と語り、不満と苛立ち、困惑が入り混じる複雑な心境を吐露。さらに、今後のレースの形を変え得る悪しき前例になるとの懸念を示している。
2段階の審理で構成される再審請求のハードルは高いが、直近2件はいずれも認められている。モナコGPでの騒動をめぐるアルピーヌの件に先立っては、ウィリアムズが昨年のF1オランダGPでカルロス・サインツに科されたペナルティに対する再審理を請求。当初の決定を覆すことに成功した。
ただし、サインツはそのペナルティをすでにレース中に消化していたため、スチュワードは裁定の誤りを認めつつも、消化済みのペナルティを取り消す権限はスチュワードには与えられていないと指摘。リザルトが修正されることはなかった。