
メルセデスF1にナンバー2誕生、ロード副代表就任に透ける“ポスト・ウォルフ”の影
メルセデスF1チームは2026年3月20日、日本GPを翌週末に控えたタイミングでブラッドリー・ロードを副チーム代表に任命したと発表した。この人事は単なる昇格ではなく、チームの将来像を示唆する動きとも受け取れる。
ロードはこれまで広報責任者として活動するかたわら、会見への出席などを通じて、すでに副代表に近い役割を担ってきた。今回の決定は、そうした実態に肩書を合わせたものだ。
CEO兼チーム代表のトト・ウォルフは「実務上はしばらく前から機能していた体制変更を、この機会に正式に導入した」と説明した。
ロードはウォルフが長年信頼を寄せてきた幹部の一人であり、今回の任命によってウォルフ直属のナンバー2としての立場が明確化された形だ。
ウォルフはロードについて、「長年チームに貢献してきた重要な存在であり、現代F1で最も成功したチームの一つとなる過程で重要な役割を果たしてきた」と評価する。
ロードのF1キャリアは2001年にスタートした。ベネトンで広報担当者を努めた後、2008年に専門誌『F1 Racing』で特集記事担当デスクを務めた。その後、2010年にルノーの広報職としてF1に復帰し、翌年メルセデスに加わった。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
メルセデスF1チームの副チーム代表就任が発表されたブラッドリー・ロード、2026年3月20日
F1全体の規模拡大とともに、チーム運営の複雑さは増している。メルセデスも例外ではなく、マネジメント層の負担は大きく広がった。
チーム側はこの変更について、上層部の責任分担を効率化するためだとしている。ウォルフ自身も「私の役割は1ミリたりとも変わらない」と述べ、体制の継続性を明確にした。
だが同時に、ウォルフがこれまで繰り返し言及してきた後継者計画との関連を指摘することもできる。54歳のオーストリア人実業家は、今後もチームの共同オーナーであり続けると強調する一方で、チーム代表兼CEOの座については将来的な引き継ぎの可能性を示唆してきた。
ただし、ウォルフの信頼を得た幹部が必ずしもチームにとどまるとは限らない。現在ウィリアムズのチーム代表を務めるジェームズ・ヴァウルズ、そしてフェラーリで副チーム代表を務めるジェローム・ダンブロシオはいずれも、かつてメルセデスで要職を担った人物だ。
両者はウォルフの信頼のもと、チーム内で経験を積んだ後、ライバルチームに移籍。それぞれの組織で存在感を示している。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
メルセデスのトト・ウォルフ代表と戦略家のジェームズ・ヴァウルズ、2019年F1ドイツGP