
F1:マルコが語る「逃した逸材」と“期待外れ組”の共通点―浮かぶ「才能だけでは足らない」現実
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーとして、セバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンら数々の才能をF1へ送り込んできたヘルムート・マルコが、過去に獲得を試みながらも実現しなかった「逃した逸材」について口を開いた。
その名は、現在マクラーレンのエースとして2025年ドライバーズ選手権をリードするランド・ノリスだ。
ノリスは「レッドブルに合ったはず」
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
表彰台で優勝トロフィーとシャンパンを手にするランド・ノリス(マクラーレン)、2025年6月29日(日) F1オーストリアGP決勝(レッドブル・リンク)
ポッドキャスト『Beyond The Grid』の中で「手に入れたかったのに、指の隙間から滑り落ちたドライバーはいるか?」と問われたマルコは、迷うことなくノリスの名を挙げた。
「ランド・ノリスとは、かなり早い段階で交渉していた」とマルコは明かす。
「結局のところ、彼を獲得することはできなかったが、彼は我々(レッドブル)に大いに合っただろうと思っている」
Courtesy Of McLaren
マクラーレン・ホンダのウェアを着用するランド・ノリス、2017年
ノリスは2017年2月にマクラーレンの育成ドライバーとなり、2019年にF1デビュー。以来、同チーム一筋でキャリアを築いてきた。
興味深いのは、レッドブルには既にフェルスタッペンという絶対王者が君臨しているという点だ。ノリスとフェルスタッペンは10年以上前のカート時代から親しい仲で、公私を問わず良好な関係を築いてきた。もしノリスがレッドブルに加入していれば、チーム内でどのようなダイナミクスが生まれていたか、想像は尽きない。
マルコは「誰も彼も獲れるわけではない。だから焦点を絞る必要がある。我々が探しているのは“チャンピオンになれる逸材”だ」と話を結んだ。
「才能だけでは足りない」という現実
一方でマルコは、「ジュニアドライバーについて判断を誤ったことはあるか?」との問いに対しては「ある」と認めつつ、「プログラムから切るのが早すぎたと感じたドライバーはいるか?」との質問には「No」と即答し、「むしろ逆だ」と返した。
彼にとっての“失敗”とは、見限るのが早すぎたケースではなく、「活躍すると期待して辛抱強く待ったのに、結局ダメだった」パターンだという。
「成功すると確信したドライバーは大勢いた。だが、才能があるにもかかわらず、真剣に取り組んでいなかったり、求められるほどメンタルが強くなかったりした」
「F2からF1へ上がれば、誰かがヘルメットを運んでくれて楽な生活が待っていると勘違いしている者もいる。だが現実は逆だ。プレッシャーは倍になり、毎ラップで結果を出さなければならない」
「その重圧に耐えられる者は多くない」
マルコの厳しい言葉は、レッドブルという勝利至上主義のチームで生き残るためには、才能だけでは不十分であるという現実を突きつける。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
レッドブルジュニア所属のジャハン・ダルバラ(プレマ・レーシング)、2022年3月4日のFIA-F2選手権バーレーンテストにて
「感謝されるべき」育成プログラム
若手への姿勢が厳しすぎるとの指摘も少なくないマルコだが、本人は統計データを示して反論する。
「いつだって一番つらいのは、F1プログラムの終了を告げるときや、F1への道は絶たれたと伝えるときだ」と前置きしつつ、マルコはこう続ける。
「だが我々は統計をとっている。我々のプログラムに在籍しつつもF1に行けなかったドライバーの95%以上が、フォーミュラEやスポーツカーなどでレースを続けている」
「彼らは一般的な仕事に就くよりも多くの金を稼ぎ、好きなことをやっている。だから最終的には、みんな我々のプログラムにいたことを感謝すべきだと思う」
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レッドブル・レーシングの英国ミルトンキーンズ・ファクトリーを訪れるゼイン・マローニー、2022年