
小松礼雄、「アロンソの走り」に学ぶハース前進のヒント ― オコン失速の裏で、光ったベアマン
ハースF1チームは、10月5日(日)にマリーナベイ市街地コースで開催された2025年F1第18戦シンガポールGPで、オリバー・ベアマンが9位入賞を果たし、貴重な2ポイントを獲得した。
一方でレース後、小松礼雄チーム代表は、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)のパフォーマンスに注目し、ハースが次のステップに進むためのヒントがそこにあると示唆した。
Courtesy Of Haas
パドックを歩くハースF1チームの小松礼雄代表、2025年10月4日(土) F1シンガポールGP(マリーナベイ市街地コース)
アロンソの「抜く力」が浮き彫りにした課題
9番手からスタートしたベアマンは、堅実なレース運びで入賞圏内を維持していた。23周目にピットストップでハードタイヤに交換した直後は、アロンソの前方を走行。2度のF1王者を抑えての8位フィニッシュも視野に入っていた。
だが、アロンソはその後、DRSトレインの中でも確実にオーバーテイクを決めていき、ベアマンを攻略。最終的にはアロンソが8位、ベアマンが9位という結果に終わった。
小松代表は、ハースのさらなる競争力向上のために、アロンソのパフォーマンスから学ぶべきものがあると考えている。
「アロンソに抜かれたのは残念でしたが、彼のペースは良く、アストンマーチンには速さがありました」と認めつつ、こう続けた。
「確かにDRSトレインの中でのオーバーテイクは難しいものですが、アロンソはそれをやってのけました。これがクルマの特性によるものなのか、それとも他の要因によるものなのか、分析する必要があります」
アロンソの「抜く力」は、単なるマシン性能だけでは説明できない何かがあるかもしれない―小松代表のコメントからは、そうした認識が滲み出る。
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
ドライバーズパレードに参加するフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2025年10月5日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)
ベアマン、アロンソとの直接対決で敗北も
予選9番手からスタートしたベアマンは、オープニングラップのターン1でアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)との接触により一時10番手に後退する場面があったが、スチュワードは「レーシングアクシデント」と判断した。
「10番手に落ちた後、ニコ(ヒュルケンベルグ)が速くてプレッシャーをかけられていたけど、マシンバランスに苦しんでいて、総じて第1スティントは厳しい状況だった」とベアマンは振り返った。
ただ、ピットストップ後は上手く立て直し、ベアマンは戦略の妙でハジャーをオーバーテイク。アロンソとも激しいバトルを展開した。若手ドライバーにとって、ベテランチャンピオンとの直接対決は貴重な経験となった。
「アロンソのピットストップが遅れた時は8位も見えていたけど、最終的には彼の方が速かった」とベアマンは語る。
「それでも、この難しいサーキットでポイントを獲得できて嬉しい。週末を通して上手くやれたと思う」
Courtesy Of Haas
角田裕毅(レッドブル・レーシング)をリードするエステバン・オコン(ハース)、2025年10月5日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)
オコン、戦略誤算で18位に沈む
一方、17番手からのスタートとなったオコンは、戦略の誤算が響いたと考えている。ミディアムタイヤでスタートし、序盤は堅実に順位をキープしていたものの、30周目のピットストップが遅すぎたことが致命傷となったという。
コース復帰後、オコンは中団グループのDRSトレインに捕まり、身動きが取れない状況に。最終的にはガブリエル・ボルトレート(ザウバー)と激しいバトルを展開したものの、わずか0.3秒差で及ばず18位でフィニッシュした。
「難しいレースになるとはわかっていたけど、スタートで1つ順位を上げて、序盤はいい展開だった。ランス(ストロール)を捕まえるチャンスもあったんだけどね」とオコンは悔しさをにじませた。
「ピットを引っ張りすぎて、ピットストップ後にすべてを失った。前にDRSトレインができていて、それ以上挽回できなかった。今週末はチャンスを逃した感じだ」
オコンがDRSトレインの中での苦戦を強いられただけに、同じ条件下でアロンソが結果を出した事実は、ハースにとって無視できない学びの材料となった。
次戦ではダブルポイントを狙う
小松代表は、今週末のシンガポールGPを次のように総括した。
「ようやく週末を通してきちんとまとめることができました。チームとして非常に難しいレースとなりましたが、予選9番手を決勝9位に結びつけてポイントを取れたのは懸命な努力の賜物です。オリーとチーム全員のことを思うと、本当に嬉しいです」
「エステバンに関しては、全てのフリー走行で速さを見せていたのがポジティブでした。全体として、シンガポールで2ポイントを持ち帰れることができ本当に満足しています」
そして、次戦への意気込みをこう語った。
「次のオースティンでは、この結果を土台にして、両ドライバー揃ってのポイント獲得を目指していきたいと思います」
今回の結果により、ハースF1チームはコンストラクターズ選手権9位を維持し、獲得ポイントを46点とした。全20台が完走する競争厳しいレースにおいて、着実にポイントを積み上げた意義は大きい。
2025年F1第18戦シンガポールGP決勝レースは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にランド・ノリス(マクラーレン)が続く結果となった。
サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)を舞台とする次戦アメリカGPは10月17日のフリー走行1で幕を開ける。