
マクラーレン、異例のCDS規則違反で処分。F1モナコGPでの空力優先テープが招いた落とし穴
2026年F1第6戦モナコGPの初日、マクラーレンが異例の理由でスチュワードから3万ユーロ(約554万円)の罰金を科された。直接的には、ランド・ノリスのMCL40に貼られた透明なテープが、その原因だった。
罰金3万ユーロのうち、1万ユーロは12カ月の執行猶予付きとされた。チームが現時点で納付するのは、残る2万ユーロとなる。
同額の罰金は、前戦カナダGPでも下されたばかりだ。だが、即座に支払うべき額はマクラーレンの方が大きい。
CDSボタンを覆った透明テープ
問題が起きたのは、FP2の序盤だった。ノリスのMCL40がヌーヴェル・シケイン(ターン10・11)付近で止まり、コース上に取り残された。
停止したマシンを安全かつ素早く動かすため、マーシャルはクラッチ・ディスエンゲージメント・システム(CDS)を作動させる必要があった。トラブルで止まった際にクラッチを切り離し、ホイールが回る状態にするための装置だ。
CDSは各マシンへの搭載が義務付けられている。コックピット前方のボタンをマーシャルが押すことで作動する仕組みだ。前戦カナダGPでは、このCDSが作動しなかったとして、レーシング・ブルズが3万ユーロの罰金を科されたばかりだった。
Courtesy Of McLaren
マクラーレンMCL40のコックピット前方に設置されているクラッチ・ディスエンゲージメント・システム(CDS)作動ボタン(「N」の印部分)、2026年6月5日F1モナコGPフリー走行(モンテカルロ市街地コース)
レーシング・ブルズのケースでは、マーシャルがボタンを押したものの、システムが作動しなかったために規則違反と認定された。だが今回のマクラーレンのケースは、それとは少し異なる。
デレック・ワーウィックを含む4名のスチュワードによれば、MCL40のCDSボタンには「透明なテープ」が貼られていた。その結果、工具を使わずに手でテープを破り、ボタンを押すことができない状態だった。
マシン回収を妨げた空力優先思考
なぜ、そのようなテープを貼っていたのか。マクラーレンによると、理由は「空力」にあった。
F1マシンでは、わずかな段差や隙間であっても、高速域では不必要な気流の乱れを生みかねない。それは空気抵抗につながるだけでなく、後方の空力パーツの効率を低下させる恐れもある。
そのためF1チームはしばしば、ボディワーク上の段差や隙間をテープで埋める。マクラーレンも以前から、この透明テープを使用していた。
スチュワードは、「保護手袋を着用したマーシャルが素早く作動させることを目的として設計されたCDSシステムの趣旨を完全に損なうものだ」と指摘。F1規則第C9条3号への違反を認定した。
前例が左右した執行猶予の扱い
今回の罰金額は、前戦カナダGPでレーシング・ブルズに科されたものと同じ3万ユーロだった。ただし、執行猶予の扱いには違いがある。
レーシング・ブルズのケースでは、3万ユーロのうち2万ユーロが12か月の執行猶予付きとされた。一方、今回のマクラーレンは執行猶予が1万ユーロにとどまった。
スチュワードはその理由について、直近のレースで同じCDS関連の違反と罰則が示されていた以上、各チームは「CDSの重要性を認識しているべきだった」と説明した。
結果として、前戦と同額の罰金を科されながら、マクラーレンが現時点で納付する額はレーシング・ブルズの倍にあたる2万ユーロとなった。
2026年F1モナコGPの初日FP2をトップで締め括ったのはルイス・ハミルトン(フェラーリ)。2番手に続いたチームメイトのシャルル・ルクレールを0.111秒差で退けた。3番手には0.168秒差でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続く結果となった。
FP3は日本時間6月6日(土)19時30分から、公式予選は同23時から1時間に渡ってモンテカルロ市街地コースで開催される。セッションの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。