初の後流制御でオーバーテイク増へ。インディカー、新車「IR-28」発表…760馬力ハイブリッドで2028年デビュー

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インディカーは2026年7月28日(火)、2028年からの新時代を担うマシン「IR-28」を発表した。現行マシンより約100lb(約45kg)軽く、最大760馬力を発生する新型ハイブリッド・パワートレインを搭載する。ラップタイムの短縮とオーバーテイクの増加、安全性の向上を同時に狙う。

ロードコース仕様とスーパースピードウェイ仕様の新型インディカーマシン「IR-28」を並べたレンダリング画像のフロントビュー、2026年7月28日(火)Courtesy Of Penske Entertainment

ロードコース仕様とスーパースピードウェイ仕様の新型インディカーマシン「IR-28」を並べたレンダリング画像のフロントビュー、2026年7月28日(火)

現行のDW12は、2020年のエアロスクリーン、2024年のハイブリッド・パワーユニットといった重要な変更を経ながら、16シーズンにわたって使用されてきた。

ダラーラと共同で開発が進められているIR-28は、2028年NTTインディカー・シリーズ開幕戦で実戦デビューする予定だ。シボレーとホンダはすでに新たなエンジン規則への参画を表明しており、テストは今週から始まる。

新車は空力、サスペンション、コックピット、ハイブリッド・システムを含め、ほぼすべてが一から設計された。インディアナポリス・モーター・スピードウェイでは、1996年以来更新されていない予選記録の更新も目標に掲げる。

初のレンダリング画像は、俳優マット・デイモンがナレーションを担当した以下の映像を通じて公開された。

IR-28が目指す接近戦と空力刷新

IR-28の設計は、パフォーマンスの向上と、より激しい接近戦の両立を狙う内容となっている。軽量化と出力向上によってパワー・ウエイト・レシオを改善し、ドライバーが限界まで攻めやすいマシンを目指す。

インディカーのダグラス・ボールズ社長は、新車によって接近戦、ラップレコード、ドライバビリティ、安全性の新たな基準を築く考えを示した。

車体はインディカーの伝統的な特徴を残しながら、より低く鋭い現代的な外観へ変わる。空力面では前後のウイングが新設計となり、ロード/ストリート・コース用とスーパースピードウェイ用の2種類が用意される。

ロードコース仕様とスーパースピードウェイ仕様の新型インディカーマシン「IR-28」をリアビューで比較したレンダリング画像、2026年7月28日(火)Courtesy Of Penske Entertainment

ロードコース仕様とスーパースピードウェイ仕様の新型インディカーマシン「IR-28」をリアビューで比較したレンダリング画像、2026年7月28日(火)

最も注目すべきは、オーバーテイクの機会を増やすため、マシン前方から後方へ流れる乱気流を制御する目的で空力構造が設計された点にある。こうした手法の採用はインディカー史上初めてであり、アウトウォッシュを抑え、コーナーでも前方のマシンを追走しやすいよう配慮されている。

エアロスクリーンも従来型より軽く、細身で空力効率の高い形状となる。戦闘機を思わせる外観としながら、安全性と追走性能の双方を高める。

さらに、プラクティス、予選、決勝での順位を表示するデジタル式の車両順位表示装置が搭載される。

電子制御と先進サスペンション

IR-28には電子制御式のアンチロールバーが搭載される。ドライバーは走行中にマシンバランスを細かく調整することができる。従来のノブやレバーを廃止してコックピット内を整理することで、安全性も向上する。

サスペンションには、「マルチモード設計」を組み込んだ「カスタムAXISイナータンス・コントロール・システム」を採用する。詳細は明らかにされていないが、コストを増大させることなく、スプリングとダンパーに加えてイナーター(慣性器)を組み込み、3要素を幅広く調整できるという。

これによって機械的グリップを高め、空力荷重への依存を抑える。コース特性やタイヤの状態に合わせて、より多くのセットアップ上の選択肢がチームに与えられることになる。

前後サスペンションの両方において、その左右をつなぐ位置にイナーターを組み込むサスペンション構造を採用するのは、現状、世界の主要なモータースポーツの中ではインディカーのみだという。シリーズはIR-28を「現代モータースポーツにおいて最も先進的なサスペンション・プラットフォームを持つマシンの一つ」と位置づける。

ロードコース仕様とスーパースピードウェイ仕様の新型インディカーマシン「IR-28」を真上から比較したレンダリング画像、2026年7月28日(火)Courtesy Of Penske Entertainment

ロードコース仕様とスーパースピードウェイ仕様の新型インディカーマシン「IR-28」を真上から比較したレンダリング画像、2026年7月28日(火)

最大760馬力、新型ハイブリッドPU

IR-28には、最大760馬力を発生する2.4リッターV型6気筒ツインターボ・エンジンが搭載される。現行世代よりトルクと出力を高め、軽量化されたシャシーとの組み合わせでマシン全体のパフォーマンスを引き上げる。

イギリス企業のヘリックスが供給する低電圧ハイブリッド・システムも、2028年に刷新される。新たなシステムは現行型より約20lb(約9kg)軽くなり、蓄えられるエネルギーが増え、デプロイメントの選択肢も広がる。

モーター部分は現行マシンと同様、エンジンとギアボックスの間にあるベルハウジング内に収められる。

エネルギー貯蔵装置には、シリーズ初となるバッテリー式エネルギー・ストレージ・システム(ESS)を採用する。スペインのカタロニア・サーキットに拠点を置くBOLDテクノロジーが供給し、蓄電容量は現行のスーパーキャパシター式システムの約14倍となる。

ギアボックスはイギリスのXトラックが開発し、約25lb(約11kg)軽量化する。エンジン、ハイブリッド、トランスミッションを合わせた軽量化によって、加速性能とマシンの反応を高める。

エンジンカバーには内部を視認できる透明な窓が設けられ、シボレー、ホンダ、さらに将来的な新規参入メーカーのブランディングに使用される。ボディワークも拡大され、スポンサーのロゴを掲出できる面積が増やされる。

統合設計で衝突安全性と冷却性能を強化

IR-28は速度向上に加え、現行マシンを上回る安全性を目標に開発された。インディカーと国際自動車連盟(FIA)が定める安全基準のうち、より厳しい方を満たす設計となっている。

コックピットは拡大され、幅広い体格のドライバーに対応する。コックピット内の空気の流れと冷却性能も改善し、酷暑のレースにおけるドライバーの負担を軽減する。

側面衝撃構造には、過去の事故や衝突試験から得た知見を反映し、強度と衝撃吸収能力を高める。

IR-28のテストは今週始まる。インディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースとオーバル、セブリング・インターナショナル・レースウェイなど、特性の異なるコースでデータ収集と検証を行う。