
ガスリー表彰台剥奪、速度超過判定に「誤データ」判明。F1モナコGPペナルティ再審理へ
2026年F1第6戦モナコGP後に、ピエール・ガスリーに科されたペナルティをめぐりアルピーヌが求めていた再審請求が認められた。この過程で、ガスリーから3位表彰台を奪う原因となったピットレーンの速度超過の裁定が、不正確なデータに基づくものであったことが判明した。
ガスリーは3位でフィニッシュしたものの、ピットレーンでの速度超過によって5秒ペナルティを2度科され、7位に降格した。当時の記録では、制限速度をわずか0.1km/hと0.4km/h超過したとされていた。
だが、これらの値は正確ではなかった。
6月11日(木)に開催された最初の審理において、アルピーヌは新たな関連証拠を提示。スチュワードはこれを再審理の要件を満たすと判断した。
これを受け、F1バルセロナ・カタロニアGPの現場では現地時間午後1時20分から、再審理のための2回目の聴聞会が開始された。決定はイベント初日となる12日(金)に下される見込みだ。
距離データの不正確さが判明
今回の最初の審理において最も注目されるのは、ピットレーン速度の計算に用いられた距離に関するデータが「不正確」だったこと、そしてその結果としてマシンの速度が「過大評価されていた」という衝撃的な事実だ。
ピットレーンでの車速は、路面に設置された計測ループと車載トランスポンダーによって計測される。各ループの通過時間から逆算して速度を算出する仕組みであるため、計算の基となるループ間の距離データに誤りがあれば、速度も誤ったものとなる。
当初は、ピットレーン内の湾曲した区間をドライバーたちがショートカットしたことで走行距離が短くなり、計算上の速度が高まった可能性が指摘されていた。だが、実際にはそうではなかったようだ。
アルピーヌは他にも3件の資料を証拠として提出したが、スチュワードは距離データの誤りに関する証拠だけで再審請求の要件を満たすと判断した。この証拠は、アルピーヌが独自に距離を測定したものではなく、公式計時サプライヤーであるフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)が提出したものだった。
実はスチュワードは今回の審理に先立ち、FOMのスタッフを召喚していた。F1のテクノロジーリーダーを務めるアルビ・カラペティアンと、F1のトラックシステム責任者を務めるバート・リチャードソンだ。
詳細は明らかにされておらず、事実関係は不明だが、再審請求の提出に際して、アルピーヌが召喚を求めていた可能性が考えられる。
なお、問題があったとされるのは、あくまでも距離データであり、測定システム自体ではない。
FOMは声明を通して、「我々は2025年大会と同じ方法でピットレーン内の該当区間を測定し、通常どおりの手順に従った。だが、その過程で測定値の相違が判明した」と釈明した。
幻の表彰台が復活する可能性
再審請求の第2プロセスが開始されたことにより、モナコGPの正式結果が変更され、ガスリーの幻の3位表彰台が復活する可能性が浮上した。
だが、今回のリザルトの変更は、さらなる論争を巻き起こす危険性をはらんでいる。モナコではガスリーの他にも4名のドライバーが同様に速度超過のペナルティを科されているが、それらの多くはレース中に消化されており、レース後のタイム加算となったガスリーとは状況が異なるためだ。
なお、最初の審理にはアルピーヌのほか、マクラーレン、レッドブル、フェラーリ、レーシング・ブルズ、アストンマーティン・ホンダ、ハース、アウディ、キャデラックの計8チームがスチュワードの許可を得て出席しており、この案件に対する関心の高さをうかがわせた。
モナコでの78周のレースを通して記録された制限速度違反は計6件に及んだ。通常は1件程度であり、異例の多さだった。ガスリーのほか、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)、フランコ・コラピント(アルピーヌ)が速度超過によりペナルティを受けた。コラピントもガスリー同様、レース後のタイム加算となった。
不正確な距離データが公式の速度測定を狂わせていたという今回の失態は、システムの信頼性を揺るがす深刻な問題だ。ガスリーの栄光が取り戻されるのか、それとも裁定が維持されるのか、審議の行方にこれまで以上の注目が集まることになる。