
F1、更なる中止リスクに「代替案」 現実解はどれか。揺らぐカタールと最終戦アブダビGP
2026年のF1カレンダーは、当初予定されていた24戦からすでに2戦が失われている。中東情勢の悪化を受け、バーレーンGPとサウジアラビアGPが中止されたためだ。だが問題は、これで終わりとは限らない。
F1はシーズン終盤にカタールGPと最終戦アブダビGPを予定しているが、安全上の懸念が続けば、この2戦も失われる可能性がある。
実際、F1の最高経営責任者(CEO)を務めるステファノ・ドメニカリは『Class CNBC』のインタビューで、「現地へ行ける状況かどうかを判断しなければならない期限」があると語り、中止の可能性があることを認めた。
ドメニカリが言及した開催の可否を最終決定する期限は、欧州ラウンドが終了する9月末頃になるとみられる。
開催中止への備えは「我々の義務」
ただし、カタールおよびアブダビの中止は、必ずしも2026年シーズンが20戦に減少することを意味するわけではない。
ドメニカリは、「もちろん大局的には、予定通り開催できることを望んでいる」とする一方、「グローバルスポーツとして、代替案を用意しておくことは我々の義務でもある。そして当然、その準備はできている」とも語った。
とは言え、この発言だけで代替開催地と合意に至っているとまでは断定できない。何しろドメニカリは、「代替レース」や「代替開催地」ではなく「代替案」としか述べていないのだから。
「代替案」には幾つかのパターンが考えられる。
まず思い浮かぶのは、いわゆる代替開催だ。これは、別の国・サーキットで代わりにレースを開催するというものだ。第二に、日程変更または開催順の変更が挙げられる。ただし、シーズン終盤という時期も相まって、変更の余地は限定的だ。
既存開催地での追加レースや連戦化という選択肢もある。また、レース数を減らす、つまり代替開催を行わずにカレンダーを縮小するのも危機対応シナリオとしては十分にあり得る。ただしドメニカリの発言は、何らかの能動的なシナリオがあるとのニュアンスが強い。
いずれにせよ、F1側が実行可能な代替シナリオを持っており、必要に応じて切り替えられる準備を進めていることを示す発言と見るべきだろう。
冬季開催で絞られる代替候補地
仮に代替開催を行う場合、その舞台は一体、どこになるのだろうか。
問題となるのは、気候と現実的なロジスティクス・コスト、そして主催者がチケット販売を通じて収益を確保するための十分な時間の確保という3点だろう。
気候面の制約を考慮すると、特にヨーロッパでのレースは中々に難しいように思われる。
シーズン途中にカレンダーの構成を変更することは難しく、そのため開催枠は、カタールとアブダビが保持している11月末から12月頭の週末とするほかになさそうに見える。
だが、北半球の11月末から12月という時期は、とりわけ欧州の多くのサーキットで気温・天候の点で問題が生じる。
残された候補地は、南半球やメキシコを含む比較的温暖な地域に限られる。なお、現行開催地の中で南半球に位置するのは、ブラジルとオーストラリアの2つのみだ。
直前のラスベガスからのロジスティクス・コストを考えると、同じアメリカ国内で温暖なマイアミも候補となるが、専用仮設型サーキットである事を考えると難しいかもしれない。むしろ、気温はより低くなるがオースティンの方が現実的な選択肢となり得る。