ブリヂストン製F1タイヤ、2009年3月26日F1オーストリアGPにて
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ブリヂストン、2025年F1タイヤ入札で「先進的革新技術」を提案

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2025年以降のF1タイヤサプライヤー入札に際してブリヂストンは、環境性能と運動性能を両立する新たなタイヤ技術、エンライトン(ENLITEN)を含む「先進的な革新技術」を提案した。

国際自動車連盟(FIA)とF1は10月10日(火)、現行サプライヤーのピレリとの契約更新を発表し、次期タイヤサプライヤー入札に関する憶測に終止符を打った。

インタビューに応じるピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラ、2022年6月11日F1アゼルバイジャンGPにてCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

インタビューに応じるピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラ、2022年6月11日F1アゼルバイジャンGPにて

ブリヂストンの本入札への参加は公然の事実とされてきたが、同社の石橋秀一グローバルCEOは同日、リリースを通してその事実を認め、F1へのオファーの一部を明かした。

ブリヂストンは声明の中で「F1は世界で最も権威あるグローバル・モータースポーツ・プラットフォームであり、ブリヂストンは持続可能なグローバル・プレミアム・モータースポーツ戦略を支える様々な選択肢の一つとしてF1を研究してきた」と認め、FIA及びF1に対して「先進的な革新技術及び持続可能性イニシアティブを提案」したと説明した。

これらの「先進的な革新技術」には、ブリヂストンが「EV時代の新たなプレミアム」と位置付ける革新的なタイヤ基盤技術、エンライトンが含まれていた。

エンライトンはタイヤの軽量化、省資源化、そして転がり抵抗の削減により環境負荷を低減する一方、ハンドリングなどの運動性能を維持し、これらの両立を可能にする2019年に発表された新しい技術だ。

具体的には、転がり抵抗を低減する材料のタイヤ骨格部への採用や接地形状の最適化などにより、運動性能やタイヤライフを維持しつつも、タイヤサイズ225/40R18の場合、約20%の軽量化と、約30%の転がり抵抗低減を実現させ、低燃費性能を引き上げるという。

石橋秀一CEOによると、エンライトンを含むブリヂストンの「技術的優位性やバリューチェーン全体におけるサステナビリティの取り組み」はF1から高い評価を受けたが、2010年以来、15年ぶりの復帰は叶わなかった。

ブリヂストンのモータースポーツタイヤ開発室長を務める浜島裕英と話すセバスチャン・ベッテル(レッドブル)、2009年7月12日F1ドイツGPにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

ブリヂストンのモータースポーツタイヤ開発室長を務める浜島裕英と話すセバスチャン・ベッテル(レッドブル)、2009年7月12日F1ドイツGPにて

次期サプライヤーに求められる基準はブリヂストンにとってハードルが高いものだった。F1だけでなく直下のFIA-F2選手権とFIA-F3選手権にも供給する義務があり、更には2026年に技術規定が刷新されるため、当該期間内に2種類のタイヤを製造しなければならず、そのためのテスト体制をどのようにして整えるかという課題にも直面した。

1998年から2010年までF1に参戦し、モータースポーツ界で高く評価されているブリヂストンを選ぶよう一部から圧力があったともされ、またピレリから、2027年末を以てF1への関与を終了する可能性があると伝えられていたとも報じられているが、F1は現行体制を継続する事を決定した。

F1のステファノ・ドメニカリCEOはピレリの撤退を見据え、ブリヂストンとの間で2028年以降の契約の可能性について話し合っているとされるが、現時点で特に進展はないと伝えられている。

石橋秀一CEOは「モータースポーツが提供する走る実験室、性能試験場を通して、技術とイノベーションを情熱的に推し進め、持続可能なグローバルプレミアムモータースポーツ活動の追求を強化して参ります」としているが、今後のF1参戦計画には一切触れていない。