
引退かそれとも。44歳アロンソが示す去就判断のタイムライン…F1の先に描く広範な青写真
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)が、2026年シーズンを最後にF1を引退するかどうかを判断する時期について、初めて具体的なタイムラインを明らかにした。
今年7月に45歳を迎える2度のF1王者は、シングルシーター最高峰での自身のキャリアが終わりに近づいていることを誰よりも自覚している。アストンマーティン・ホンダとの現行契約は、今年末で満了を迎える。
引退判断は「夏頃か、夏明け直後」
モータースポーツ専門メディア『Crash』によると、キャリア通算429戦目となる第4戦マイアミGPに先立ち、アロンソは将来に関する検討状況をこう説明した。
「まだ考え始めてはいない。ローレンス[チームオーナーのストロール]やチームとは話し合っているし、先週末はモナコでも会って、楽しい夕食を共にした。でも、将来について深く議論したことはまだない」
「僕らはチームとして、全てにおいて足並みが揃っている。ただ正直、将来というよりも現在のことについて話すことが多い」
「それでも今年のある時点、夏頃か夏明け直後には、決断を下さなきゃならないってことは分かっている。ただ今のところ、自分と向き合って考えることはしていない」
シーズン開幕以降、アストンマーティン・ホンダが苦戦を強いられている中、アロンソがチームとの対話を将来ではなく「現在」の話題に費やしているという事実は、現状の厳しさを物語る。
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
ターコイズの壁面を背にピンクのスーツ姿で歩くフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)、2026年4月30日(木) F1マイアミGPメディアデー
「ロズベルグだけ」の一方で、主導権は自身にあり
アロンソは、苦戦続きのアストンマーティン・ホンダでF1キャリアを終えることになった場合、苦い後味を残すかもしれないと認めつつ、冗談めかしてこう語った。
「いつレースをやめるかは、選べないものなんだ。それができたのはロズベルグだけだ」
ニコ・ロズベルグは2016年にメルセデスで初のF1ワールドチャンピオンを獲得した直後に現役を退くという、近年ではまれなキャリア頂点での引退を実現したドライバーだ。
一方でアロンソは、2027年以降のF1キャリアは自身の決断次第だとほのめかした。ライバルチームのドライバーやジュニア・カテゴリーの若手にシートを奪われるとは考えていない様子だ。
「それについて100%確信はできないが、僕は十分なレベルのパフォーマンスを発揮していると思うし、マシンに競争力があれば結果をもたらせることをチームに示せていると思う。どちらかと言えば最終的には自分次第だと思ってる」
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
トロフィーを掲げて歓喜の表情を見せるニコ・ロズベルグ(メルセデス)、2012年4月15日(日) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)
ダカール、ル・マン、そして…F1の先に描く青写真
たとえ今季限りでF1のシートを失ったとしても、2度のF1王者はモータースポーツ界のどこかでシートを得られると確信している。
「さっき言ったように、深く考えたことはまだない。家族とも話さなきゃならないし、まずは自分の周りにいる人たちと話して、来年どうするか決める必要があるけど、それに関しては楽観的に考えている」
「もしF1を続けるなら、プロジェクトとしては2年目になるわけで、今季より良いシーズンになると思う。もしここでのレースをやめたとしても、他のシリーズで走ることになるのは分かってる」
「何度も言ってきたように、ダカールは可能性の一つだ。いつか耐久レース、F1、ラリー/クロスカントリーで勝つことができれば、おそらく前例のないことになるだろうし、それは本当に魅力的なことだ」
Courtesy Of Toyota
2020年ダカール・ラリー参戦のトヨタ・ハイラックスとフェルナンド・アロンソ、スペインのフェルナンド・アロンソ・ミュージアム前にて
アロンソはまた、数週間前にポール・リカール・サーキットでアストンマーティンのヴァルキリーLMをテストドライブしたことにも触れ、F1以後の選択肢の広がりを示唆した。
「数週間前にプロトタイプ、ヴァルキリーを走らせたけど、あれも良かった。だからいつかまたル・マンで走る、というのもあるかもしれない」
「あまり心配はしていない。F1をやめても、何らかの形でレースは続けるし、別の役割でこのチームともつながり続けることは間違いない」
F1引退後の青写真を、これほど具体的かつ広範に描いているドライバーは、アロンソを除いて他にいないだろう。F1の引退は、通算23シーズン目を迎えているアロンソにとって、モータースポーツでのキャリア全体における次なるステップに向けた通過点に過ぎないのかもしれない。