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MGU-Hとは、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する装置のこと。いわゆるパワーユニットを構成する5大要素のひとつである。熱エネルギーとは、具体的には排気ガスのことである。MGU-HのHHeatのHで熱を意味する。

運動エネルギーを回生するMGU-KとMGU-Hの2つを合わせてERSと呼ぶ。回生されたエネルギーはマシンを駆動するパワーとして使われる。

MGU-Hの役割

  • 熱エネルギーの回生
  • ターボラグの解消

MGU-Hには上記の2つの役割がある。それぞれについて詳しく見ていこう。

熱エネルギーの回生

MGU-Hは、これまで大気中に放出されていた排気ガスの熱エネルギーを回収して電気エネルギーに変換する。MGU-Hで生成された電気エネルギーは、即座に使用するか(MGU-Kに転送)、保管しておき後で使用するか(バッテリーに転送)を選択できる。どちらの方法を選んだとしても転送するエネルギー量に上限は設けられていない。(ただしバッテリーに送られたエネルギーを使用するには、使用する分のエネルギーをMGU-Kに転送する必要があり、この転送には最大2MJ/1周という上限が定められている。)

MGU-Kには回生できるエネルギー量に上限が設けられているが、MGU-Hには上限がないため、パワーユニットの出力アップの鍵は「MGU-Hが如何に多くのエネルギーを回生できるか」にかかっていると言っても過言ではない。誤解を恐れずに言えば、パワーユニット開発競争はMGU-H開発そのものである。

レースカーが排出する熱エネルギーは1,000℃以上に達すると言われるほど膨大なエネルギー量を持っている。これを如何に再利用するかが各PUサプライヤーの腕の見せどころだ。

ターボラグの解消

パワーユニットにはターボチャージャーが搭載されている。ターボチャージャーは、ICE内部に強制的に空気を送り込む役割を担っている。エンジン内部に空気を送り込むことで燃焼効率を向上させ出力を向上させているのだ。ターボチャージャーは、排気ガスを使ってコンプレッサー(空気を圧縮させる機械)を稼働させ、その圧縮空気をエンジン内部へと送り込む。

アクセルを踏み込んでいる時は大量に排気ガスが出るが、コーナーなどで減速している時、あるいはアクセルオフの状態からオンにしたばかりの状態ではあまり排出されない。そのため、コーナーの出口でアクセルオンする際等にはターボが上手く機能せず、間を置いてからターボが起動し始める。これをターボラグと呼ぶ。

このターボラグを解消させるためにMGU-Hが使用される。ターボが上手く機能しない状態、つまりICE内に空気を送り込めない状態にある時、HGU-Hがターボに代わって空気を送り込む。具体的には、ターボの代わりにMGU-Hがコンプレッサーを稼働させるのだ。