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パワーユニット

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パワーユニットとは、エンジン、ターボチャージャー、エネルギー回生システム、バッテリー等からなる総合的エネルギー供給システムのこと。

F1とて世界的なエコ化の波には抗えず、2014年に自然吸気エンジンに代わってハイブリッドターボエンジンが導入された。このハイブリッドターボエンジンは、もはやエンジンとは呼び難い高度な動力装置となってしまったため、パワーユニットと呼ばれるようになった。

2014年に「ホンダ2015年からF1エンジン供給」のような見出しが新聞各紙を賑わしたが、これは正確ではない。ホンダが提供するのはエンジンではなく「パワーユニット」である。

パワーユニットの構成要素

パワーユニットは以下のコンポーネントから構成されており、ECU(エンジンコンピューター)がこれら全てを統合的に制御している。

  • エンジン(ICE)
  • ターボチャージャー
  • エネルギー回生システム(ERS)
    • 運動エネルギー回生システム(MGU-K)
    • 熱エネルギー回生システム(MGU-H)
  • バッテリー(ES)

上記の各コンポーネントについて、以下簡単に紹介していこう。

エンジン(ICE)

パワーユニットを構成するICE
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パワーユニット中核を成す動力機関。ICE単体で600馬力程度の出力があると考えられている。容量は1.6リットル、回転数は15,000回転/分に制限されている。

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エネルギー回生システム(ERS)

メルセデスのERS
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MGU-HとMGU-Kから構成されるERS。ERS単体で161馬力~の出力があるとされ、ICEの出力と合わせてPU全体で計761馬力~と考えられる(2014年現在)。MGU-Hには回生可能なエネルギー量に上限がないため、年々ERSの出力は上昇していき、その重要性が高まっていくものと考えられる。(2016年現在のメルセデスPUは約900馬力!)

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運動エネルギー回生システム(MGU-K)

mgu-k
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ブレーキング時に発生する運動エネルギーを電気エネルギーに変換し再利用するための装置。回収したエネルギーはバッテリーに送って一時的に保管しておくか、すぐに使用するかを選ぶことができる。MGU-KのKKineticのKで運動を意味する。

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熱エネルギー回生システム(MGU-H)

mgu-h
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排気ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換し再利用するための装置。MGU-Hで回収するエネルギーには上限が設けられていないため、PU開発の肝はこのMGU-Hにあると言っても過言ではない。また、MGU-Hはターボチャージャーとの綿密な連携も必要とされる。MGU-HのHHeatのHで熱を意味する。

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バッテリー(ES)

バッテリー
creativeCommonsFilmstalker

MGU-HとMGU-Kで作られた電気エネルギーを一時的に保管しておくためのバッテリー。コスト削減策の一環としてESの重量は20~25kgと規定されている。ESはエネルギー・ストアの略である。

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エネルギーマネジメント時代の到来

2.4リッターV8自然吸気エンジンに取って代わり、2014年からF1マシンの動力装置を務めることになったパワーユニット。新時代F1での成功の鍵はエネルギーマネジメントにあると言われるが、それは一体何故だろうか?その理由は大きく次の2つに集約される。

  • 5つの要素から構成されるパワーユニット
  • 大幅な燃料制限

まず1点目。動力装置が1つであった自然吸気エンジン時代とは異なり、現代のF1マシンには、ICE、MGU-H、MGU-Kの3つの動力装置とこれを補助するES、ターボチャージャーの計5つのコンポーネントが備わっている。もはやICE単体ではパフォーマンス向上が望めないのだ。

新時代F1では、各動力装置からどの程度のエネルギーを発生させ、それらをどのように組み合わせ、どのような状況でどのような方法で使用するか、という総合的な視点が求められている。このような考え方は今までのF1には存在しなかった。各コンポーネント自体の性能ももちろん重要だが、それと同じくらいに、各コンポーネント間の関係性や制御といったものがマシンパフォーマンスに大きな影響を及ぼすのである。実際のレースにおいても、開発においてもこの視点は欠かすことが出来ない。

2点目。パワーユニット時代のF1では、燃料の最大流量が100kg/hに制限されているのに加えて、燃料タンクの容量も100kgに制限されている。2012年シーズンでは1レース当たり155~160kgの燃料を消費していたことを考えると、14年からは35%も少ない燃料で同じ距離を同じ位のスピードで走ることが要求されていると言える。燃費の悪いマシンは、レースを全力で走行することが出来ずに敗者となるだろう。燃費が良い=速い、という今までにはない構図が生まれている。

よもやエンジンパワーを競う時代ではない。エネルギーマネジメントが問われる時代となったのだ。パワーユニットの重要性が叫ばれるのはここに理由がある。
 

初年度2014年パワーユニット供給先リスト

ルノー-Renault-

  • レッドブル
  • ロータス
  • トロ・ロッソ
  • ケータハム

フェラーリ-ferrari-

  • フェラーリ
  • ザウバー
  • マルシア

メルセデス-mercedes-

  • メルセデス
  • マクラーレン
  • ウィリアムズ
  • フォース・インディア

第4期HONDA

上記3メーカーに加えて、2015年F1にカムバックしたホンダは、マクラーレンチームにパワーユニットを含めた周辺機器(パワーユニットコントローラー等)を供給。2015年以降のF1はこの4メーカーのパワーユニット開発の戦いとなっている。