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ECUとは、Engine Control Unit、すなわちエンジンをコントロールするためのコンピュータのこと。エンジンコンピューター。各種センサーから受け取ったデータに応じて、エンジンを的確にコントロールする。

ECUが使われる理由

コンピューター制御されていないエンジンは、氷点下になるような真冬や空気の薄い富士山などの標高の高い場所ではなかなかエンジンが掛からないし、ドライバーの運転スタイルに合わせて燃費が良くなるようにエンジンの回転数や使用燃料量を最適化してはくれない。つまりECUは、周囲の状況に合わせてより細やかにエンジンを制御することでその性能を高めるために使われるのだ。

  • 燃費の向上
  • エンジン性能の向上
  • 排気ガスの清浄
  • ドライバビリティの向上

ECU car photocreativeCommonsGR8 DAN

プログラム変更で性能アップ

その昔、エンジンの性能を上げる場合には、エンジンそのものを分解して改良する必要があったが、ECUが登場してからは、ECUのプログラムを変更するだけで性能アップが可能になった。例えばボルボの「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」(188,000円)は、ECUのプログラムを変更するだけで、馬力やトルクを向上させるし、マツダの「G-ベクタリングコントロール」は同様の仕組みによって運転操作性を向上させている。

ECUのセッティングだけで馬力を倍近くにまで向上させることすらできる。エンジンを生かすも殺すもECU次第というわけである。90年代には市販車1台に30個程度のECUが搭載されていたが、2010年代には100近いECUが搭載されていると言われる。

F1におけるECU

マクラーレン製ECU
©mclaren.com マクラーレン製ECU「TAG-320」

2010年、FIAはMcLaren Applied Technologiesが開発したECUを標準ECUとして定めた。つまり、F1マシンに搭載されているECUはチームに関係なく全てマクラーレン製でなくてはならないということである。ちなみに、同社の製造するECUは電車や飛行機に搭載されている。

F1マシンのコントロールは市販車とは比較にならないくらい複雑である。高回転エンジン、シームレスなギアボックス、様々なバイ・ワイヤ等など。何しろF1マシンには120〜130個近いセンサーが搭載されているとされるため、これらのセンサーから送られてくる情報を元に、複雑な装置群に対し最適なコントロールを行うのは至難の業なのである。

1レースでマシンから収集されるデータは1.5GB

最長2時間に及ぶF1の決勝レースでは、マシン1台あたり約1.5ギガバイトのデータが収集されると言われる。これはマシンに記録され、マイクロ波テレメトリーによってチームのトラックサイドの本部に送られている。1.5GBというデータ量はF1の決勝レースをネットで視聴するのに匹敵する程の量であり、WEbページの閲覧に換算すると凡そ5250ページ分、メールであれば凡そ30万通分もの途方もない量となっている。

マクラーレン・ホンダのポテンシャル

2017年マクラーレン・ホンダF1マシン「MCL32」

ECUはエンジンをコントロールするコンピュターであり、エンジン性能を大きく左右することは先の述べた。そしてF1においてECUを供給するのはマクラーレンである。もうお分かりであろう。この意味において2015年にF1にエンジンサプライヤーとして復帰し誕生したマクラーレン・ホンダの潜在的なポテンシャルはかなり高いと考えられる。公に言われることはないが、他のエンジンサプライヤーがホンダを警戒するのはこういった理由による所も多いのではないだろうか。

ECUとエンジンの歯車が噛み合った時、あの80年代の伝説が蘇ると考えるのは決して夢物語ではない。