2019年F1 エンジンメーカー別供給先チームとPU仕様及びルール

2017年のホンダ製F1パワーユニット「RA617H」の一部Courtesy Of Honda

ハイブリッド・ターボ導入から6シーズン目のF1にエンジンを供給するのは、昨年同様にホンダ、メルセデス、フェラーリ、ルノーの4メーカーだ。熱心にF1をフォローしているファンを別にすれば、どのチームがどのメーカーのエンジンを使っているのか毎年混乱するのも頷ける。そこで、2019年のF1世界選手権に参戦する各サプライヤーの供給先チームと、パワーユニットの型番を以下にまとめてみた。

ホンダは今年、強豪レッドブル・レーシングと契約を締結。2015年のF1復帰以来初めて、2チーム4台にパワーユニット一式を供給する。これに伴い現場スタッフは約2倍に増員され、各チームの担当責任者としてチーフエンジニア2名を配置。これを田辺豊治テクニカル・ディレクターが統括する新体制が敷かれた。

2014年より導入された1.6リッター・ハイブリッドターボは、内燃機関(ICE)以外にハイブリッドシステムからなる2つの動力源を備えており、「パワーユニット(PU)」と呼ばれている。PUは6つの主要コンポーネントから構成される。

パワーユニットに関する’19年シーズンのレギュレーションに大きな変更はなく、1シーズンに許可されるのはICE、ターボ、MGU-Hは3基まで、エナジーストア(ES=バッテリー)、コントロールエレクトロニクス(CE)、MGU-Kは2基までとされ、これを超える交換を行った場合、グリッド降格ペナルティが課せられる。

ホンダ製エンジン搭載チーム

スクーデリア・トロロッソに加えて、強豪レッドブル・レーシングがホンダ陣営に加入。2チームが2019年スペック「Honda RA619H」を搭載する。昨年末の時点で既にルノーを上回る馬力を発揮しているとされ、今季はフェラーリとメルセデスに近づくべく、開発を更に加速させる事が求められる。

メルセデス製エンジン搭載チーム

19年型のメルセデス製パワーユニットは「M10 EQ Power+」。買収されたフォース・インディアが「レーシングポイント」と名を変えた事を除けば、供給チームに変更はない。冷却性能の強化によって昨季型よりもコンパクトになっているとみられる。

なおレーシングポイントはバッジネームを採用し、「BWT-Mercedes」というエンジン名でエントリー登録している。

フェラーリ製エンジン搭載チーム

2019年スペックのフェラーリ製パワーユニットは「Ferrari 064」。昨シーズンのPUが「フェラーリ 062 EVO」と名付けられていた事を考えると、着実な進化を遂げている事が予想される。熱効率とメカニカル効率の両方が改善され、ICE=内燃エンジンだけでなくERS(エネルギー回生システム)全体の性能が向上しているようだ。

ただしチームからの情報によれば、出力性能よりもレイアウト変更に重点を置いているようで、シャシーの設計自由度を確保する事でパッケージ全体としてのパフォーマンス向上を狙っているものとみられる。

ルノー製エンジン搭載チーム

ルノーはパワーユニットの設計をイチから見直し、昨年型「R.E.18」と比較して95%が刷新された「E-TECH 19」を投入する。ERSの開発には日産の高級車部門であるINFINITIが関与しており、神奈川県厚木市にあるINFINITIテクニカルセンターからハイブリッドの専門チームがヴィリーに派遣され、ルノーと共同でMGU-HとMGU-K、そしてESの開発を行っている。レッドブルがホンダと手を組んだため、2チームのみの供給となる。

具体的な数値こそ明かさないものの、シリル・アビテブール代表は、昨年と比べて20~50馬力程度のパワー向上を果たしたと公言している。

2019年パワーユニット仕様

パワーユニットに関連のレギュレーションに大きな変更はない。決勝レースで使用可能な燃料が5kg増えるため、燃料タンクが大型化する。ただし燃費に余裕のあるパワーユニットであれば、燃料を上限いっぱいの110kgまで積まないという選択肢もありうる。

排気量 1600cc
シリンダー V型6気筒 / 90度
バルブ数 24
ボア径 80mm
ストローク 53mm
クランク高 90mm
過給 シングルターボ、過給圧無制限(5bar abs)
最高回転数 15,000rpm(ICE、レギュレーション規定)
最大燃料流量 100kg/h
燃料タンク容量 110kg
燃料噴射 直噴
MGU-K 最大出力 120 kW
MGU-K 最大回転数 50,000 rpm
MGU-K 最大回生量 2 MJ/周
MGU-K 最大放出生量 4 MJ/周
MGU-H 最大回転数 100,000 rpm以上
重量 145kg(既定最低重量)

この記事をシェアする

モバイルバージョンを終了