F1カタールの不可解なパンク続出、ハミルトンは否定的もデブリは無関係ではない?ピレリが初期見解

ロサイル・インターナショナル・サーキットを走行するフェラーリ、レッドブル、メルセデス、2024年12月1日(日) F1カタールGP決勝レースCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年F1カタールGPで続出したタイヤのパンクの原因について、ルイス・ハミルトン(メルセデス)はクルマのバランスやセッティングに起因したものだと考えているが、ピレリはデブリを含む複数の要因が絡み合った結果、生じた可能性が高いと見ている。

レース中盤、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)のマシンからリアビューミラーがメインストレートのレーシングライン外に落下したが、新任F1レースディレクターのルイ・マルケスはこの状況に即座に対応しなかった。

その結果、その4周後にバルテリ・ボッタス(ザウバー)がこれに衝突し、メインストレート全体に破片が飛び散った。ハミルトンとカルロス・サインツ(フェラーリ)が立て続けにパンクに見舞われたのはその翌周のことだった。パンクしたのはいずれも左フロントだった。

ハミルトンは、フロントウィングの調整不足により、長時間に渡って発生していた酷いアンダーステアがタイヤに余分な負荷を与えたとの見方を示し、「デブリは見ていない。パンクしたのはピットレーン入口付近だった」と述べ、デブリとの関連性に疑問を呈した。

一方、ピレリのモータースポーツ部門の責任者を務めるマリオ・イゾラは初期見解として、ロサイル・インターナショナル・サーキットのコース特性と、過度なスティント延長、さらにその状態でデブリに接触したことが原因との見方を示した。

高速レイアウトが特徴のロサイルは特異なことに、タイヤに厳しくトレッドの摩耗が大きい一方、デグラデーションが異様に少ない。そのため、レースではタイヤをマネジメントする必要がほとんどなく、ドライバー達は毎周プッシュし続け、さらにスティントを最大限に伸ばそうと試みた。

イゾラは「ここでは左フロントが最も負荷を受けるため、両方のパンクがいずれもこのタイヤで起きたのは偶然ではない。摩耗が一定レベルに達すると、僅かなデブリであっても今日のような状況を引き起こす可能性がある」と語った。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年12月1日のF1カタールGP決勝レースにおけるドライバー別タイヤ戦略、ロサイル・インターナショナル・サーキット

イゾラによると、決勝前日のスプリントレースでは、一部のマシンで使用されたミディアムタイヤの摩耗が「100%」に達していたという。

搭載燃料が決勝の約三分の一という条件下にもかかわらず、19周で摩耗限界に達していたということは、より燃料が重い状態で34周を重ねたタイヤは摩耗限界を大きく超えていた可能性が高い。ピレリの事前シミュレーションでは、ミディアムタイヤのスティントは最大25周が推奨とされていた。

原因の詳細を究明するため、ピレリはパンクしたタイヤと他の使用済みタイヤの一部を収集し、ミラノの研究所で詳細な分析を進める。さらに、テレメトリーデータや車載映像を基に、ストレスチェックを実施する予定だ。

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