ルイス・ハミルトン、個人資金30億円を投じて慈善団体「Mission 44」設立…メルセデスと共同で多様性と包括性を推進
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7度のF1ワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトンがF1第11戦ハンガリーGPを目前に控えた2021年7月27日、ポケットマネーから2,000万ポンド、日本円にして約30億4,400万円を投じて英国内の恵まれないグループを支援するための新たな慈善団体「Mission 44」を設立した。
これは「パートナーシップやコラボレーション、助成金の提供、アドボカシー活動を通じて雇用や教育システムの格差を縮める組織やプログラム」を支援するもので、その第一弾としてメルセデスAMGF1チームとの共同慈善活動「Ignite(イグナイト)」をサポートする。
「Ignite」はモータースポーツ業界におけるダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包括性)の推進を目的として、教育という観点から支援を行なう。
具体的にはSTEM教育(科学、技術、工学、数学)を通じて業界を変革すべく、教材の開発や、ロールモデルとなるような多様性ある教育者の育成、恵まれない環境にいる学生のサポート・経済的支援に重点を置く。
活動資金はハミルトンとメルセデスが設立した数百万ドル規模の基金から拠出される。
「Ignite」の設立は英国王立工学アカデミーの協力を得て幅広い分野の専門家から成る「ハミルトン・コミッション」が発表した今月初めの報告書に基づいて行われた。
ハミルトン・コミッションの推計によるとF1で働く人材の内、黒人を含むマイノリティーに属するとされる人々は1%に満たず、報告書は問題解決に向けて10の提言を行った。
ハミルトンは「多様な人材を確保することは成功に繋がるだけでなく、どの業界にとっても道徳的に正しいアプローチ」であるとして「Igniteがモータースポーツ界に目に見える変化をもたらすと確信している」と語った。
また「Mission 44」については「僕は社会的弱者という背景が如何に将来に影響を与えるかを幼少期に身をもって体験した。幸いにも僕はチャンスと支援を得て困難を乗り越えることができた。同じような境遇にある他の若者にも同じように手を差し伸べたいと思っている」と説明した。
メルセデスは2025年末までにチームの新入社員の25%を少数派グループから採用することを目標とする「Accelerate 25」プログラムを開始。すでに英国黒人・少数民族エンジニア協会との提携や、講演会の開催などを通して活動を開始している。
メルセデスのトト・ウォルフ代表はこうした活動によって「社会的地位の低いグループからより多くの人材が当チームに参加し、モータースポーツ業界で幅広いキャリアを積んでくれる事を期待している」と語った。