全10チームの2025年新車リバリー一覧:角田裕毅のVCARBは”オールホワイト”に刷新

Published: Updated:
F1史上初めて、全10チームのマシンと20名のドライバーが一堂に会したイベント「F1 75 Live」が2月18日に開催され、2025年のFIA-F1世界選手権に投入される新車のリバリーが一斉公開された。
マクラーレンMCL39
マクラーレンが2025年のF1に投入する新車「MCL39」のカラーリング (3)
マクラーレンが2025年のF1に投入する新車「MCL39」のカラーリング (2)
マクラーレンが2025年のF1に投入する新車「MCL39」のカラーリング (1)
2024年のコンストラクターズチャンピオンであるマクラーレンは、タイトル防衛と共に、ランド・ノリスまたはオスカー・ピアストリをF1ワールドチャンピオンにするという挑戦に挑む。
カラーリングに目立った変化はなく、チームは、「チャンピオンシップを制覇した際のカラーリングのデザインテンプレートを引き継ぐという豊かな歴史的伝統」を継続するつもりだと述べた。
フェラーリやメルセデスと同様に、ノリスとピアストリのチーム内バトルは見どころだ。3年目を迎えるピアストリが更なる成長を遂げるであろうことは明白で、昨年とは対象的に、ピアストリがノリスをリードしてシーズン終盤に向かう可能性も十分にある。
慎重なテストを繰り返し、数を絞ってアップグレードを導入する方針は2024年において大きな効果を発揮した。2025年型マシンのローンチバージョンも、同じように着実に競争力を上げるだろうか。
フェラーリSF-25
スクーデリア・フェラーリが2025年のF1に投入する新車「SF-25」 (3)
スクーデリア・フェラーリが2025年のF1に投入する新車「SF-25」
スクーデリア・フェラーリはステージ上で今季のカラーリングをお披露目するとともに、翌日発表予定の実車の画像も公開した。
SF-25の最も顕著な変更点はフロントエンドだ。ロイック・セラ率いるデザインチームは、フロントサスペンションをプッシュロッドからプルロッドへと変更した。「このアーキテクチャの変更の背景にある考え方は、クルマの周囲を流れる空気の整流にあり、また、以前のバージョンでほぼ限界に達していた空力開発のさらなる可能性を広げることにもあった」とチームは声明で述べた。
ルイス・ハミルトンは2025年、シャルル・ルクレールのチームメイトとしてフェラーリに加わった。チームは堅実に改善を重ねており、その進化が今年も続くのかどうか、大いに注目される。
他の多くのチームが昨年型のマシンに大幅なアップデートを施しているのに対し、フェラーリは、ほぼ完全に新しいマシンを投入。ハミルトンとルクレールをタイトル争いに導くことを目指している。
どちらのドライバーがチームのリーダーとなるのか、非常に興味深いポイントだ。しかし、フェラーリが本当にタイトルを狙うためには、週末ごとにパフォーマンスが大きく変動する不安定さを解消することが不可欠。ある週は優勝争いができる速さを持ちながら、次の週には戦闘力を失ってしまうという課題に、チームは取り組まなければならない。
スクーデリア・フェラーリのルイス・ハミルトン、フレデリック・バスール代表、シャルル・ルクレール
スクーデリア・フェラーリが2025年のF1に投入する新車「SF-25」 (1)
レッドブルRB21
レッドブル・レーシングが2025年のF1に投入する新車「RB21」のカラーリング (1)
レッドブル・レーシングが2025年のF1に投入する新車「RB21」のカラーリング (2)
レッドブル・レーシングが2025年のF1に投入する新車「RB21」のカラーリング (3)
例年通りカラーリングに大きな変化はなく、O2アリーナに持ち込まれたショーカーは既視感のあるものとなった。
2024年のレッドブルは、シーズン開幕前から噂やスキャンダルに揺れ、さらにライバルチームのアップグレードによって圧倒的な優位性を失った。
それでも、序盤のアドバンテージとマックス・フェルスタッペンの揺るぎない強さによって、彼は4度目のドライバーズタイトルを獲得。しかし、コンストラクターズタイトルは守りきれず、セルジオ・ペレスがマクラーレンやフェラーリとの戦いで必要なポイントを稼げなかったことが響いた。
この結果、ペレスのレッドブルでのキャリアは幕を閉じ、2025年はリアム・ローソンがフェルスタッペンのチームメイトとして起用される。
昨年、ライバルたちの開発スピードに後れを取っただけに、2025年シーズンは厳しい戦いが予想される。ローソンは早い段階で適応し、速さを発揮する必要がある。もしフェルスタッペンが5度目のタイトルを狙うなら、ローソンのサポートは不可欠となるだろう。
メルセデスW16
メルセデスが2025年のF1に投入する新車「W16」のカラーリング、2025年2月18日ロンドンのO2アリーナで行われた「F1 75 Live」にて
バルテリ・ボッタス、トト・ウォルフ代表、ジョージ・ラッセル、アンドレア・キミ・アントネッリ、2025年2月18日ロンドンのO2アリーナで行われた「F1 75 Live」にて
2025年型メルセデスW16は、昨年のオーストリア、イギリス、ベルギーで勝利を挙げた「勝てるマシン」となるのか? それとも、ルイス・ハミルトンが何度も「運転できない」「キャリア最悪のマシン」と評したような、不安定なマシンのままなのか?
最新のデザインは昨年のカラーリングとほぼ同じで、シルバーとブラックのカラースキームを採用。インダクションポッドからイネオスのロゴが削除され、シルバーに変更されているが、チームの3分の1を所有するイネオスのロゴは、フロントウイング翼端板に依然として残されている。
W16の開発に全力が注がれているであろうことは、新車発表をプレシーズンテスト開幕直前まで遅らせたことからも明らかだ。新車は2月24日に公開され、翌日にシェイクダウンを実施。その後、2月26日からプレシーズンテストがスタートする。
メルセデスに限らないが、2026年の新時代を前にチームは、W16の開発をいつまで続けるのかという難しい判断を迫られることになる。一方で悩ましいのは、マクラーレン、アストンマーチン、ウィリアムズといったカスタマーチームに負けるわけにはいかないという点だ。
ハミルトンの後任として、ジョージ・ラッセルとコンビを組む18歳のアンドレア・キミ・アントネッリの存在も大きな注目ポイントだ。チーム代表のトト・ウォルフは彼を「次のマックス・フェルスタッペン」と評している。仮にその評価通りの成績を収めた場合、ラッセルの立場はどうなるのか? メルセデスの内部バトルにも注目が集まりそうだ。
アストンマーチンAMR25
2025年のアストンマーチンF1「AMR25」のショーカーとアンディ・カウエルCEO、2025年2月18日ロンドンのO2アリーナで行われた「F1 75 Live」にて
2025年のアストンマーチンF1「AMR25」のショーカーとフェルナンド・アロンソとランス・ストロール、2025年2月18日ロンドンのO2アリーナで行われた「F1 75 Live」にて
アストンマーチンが2025年のF1に投入する新車「AMR25」のカラーリング、2025年2月18日ロンドンのO2アリーナで行われた「F1 75 Live」にて
アストンマーチンは昨年型のカラーリングからほとんど変更を加えていないが、サイドポッドの外側の縁がグリーンから黒に変わった。
フェルナンド・アロンソが快進撃の表彰台8回を獲得した2023年とは裏腹に、昨年は年間を通して成績が低迷。その流れを変えることができないままにシーズンを終えた。現在、マクラーレン、フェラーリ、レッドブル、メルセデスの「ビッグ4」に次ぐ立ち位置に甘んじており、トップ争いには加われていない。
チームの最終的な焦点は2026年の新時代にある。ホンダ製パワーユニットの導入と、エイドリアン・ニューウェイの設計力が組み合わさることで、大きな飛躍を狙っているが、2025年シーズンを完全に捨て去るわけにもいかない。
アルピーヌA525
アルピーヌが2025年のF1に投入する新車「A525」のカラーリング (1)
アルピーヌが2025年のF1に投入する新車「A525」のカラーリング (2)
アルピーヌの2025年仕様レーシングスーツを着用したポール・アーロン、ジャック・ドゥーハン、ピエール・ガスリー、フランコ・コラピント
BWTがタイトルスポンサーを務める4シーズン目のマシンは、ブルーとピンクのコントラストが以前よりも強く、イタリアの石油大手エニやウルグアイに拠点を置く商取引会社メルカド・リブレなどの新しいスポンサーロゴが確認できる。
アルピーヌにとっての2024年は低迷が続くシーズンだったが、終盤にペースを上げ、サンパウロGPでは2・3位フィニッシュを果たし、ある程度の好結果で締めくくることができた。この結果には、ウェットコンディションと赤旗中断の影響も大きかったが、チームは2025年も同様の好調を維持することを目指している。
2025年はアルピーヌが自社製パワーユニットを使用する最後のシーズンとなる。親会社であるルノーは伝統あるF1エンジン部門を閉鎖し、2026年からメルセデス製パワーユニットに切り替える決定を下した。
ドライバーラインナップは、ピエール・ガスリーにジャック・ドゥーハンが加わる新体制となるが、リザーブドライバーとして加入したフランコ・コラピントの存在はドゥーハンにとって間違いなくプレッシャーとなるだろう。
ハースVF-25
ハースが2025年のF1に投入する新車「VF-25」のカラーリング (1)
ハースが2025年のF1に投入する新車「VF-25」のカラーリング (2)
英国シルバーストン・サーキットを走行するハースの2025年型F1マシン「VF-25」 (1)
英国シルバーストン・サーキットを走行するハースの2025年型F1マシン「VF-25」 (2)
小松礼雄率いるハースは最新のカラーリングを発表するとともに、新車「VF-25」の画像も初公開した。エステバン・オコンは先週末、ウェット路面のシルバーストン・サーキットでシェイクダウンテストを実施した。
2024年シーズンを通じてマシン開発で進歩を遂げただけに、VF-25には大きな期待が寄せられている。昨年は5戦連続でポイントを獲得する安定した成績を見せていたが、その流れは混乱の中で行われたウェットコンディションのサンパウロGPで途切れた。
2025年は、経験豊富なエステバン・オコンと、将来を嘱望されるオリバー・ベアマンという新たなドライバーラインナップで臨む。チームはアルピーヌやレーシング・ブルズと並ぶミッドフィールド上位勢としての地位を維持することを目標にしている。
レーシング・ブルズVCARB 02
レーシング・ブルズが2025年のF1に投入する新車「VCARB 02」のカラーリング (2)
レーシング・ブルズが2025年のF1に投入する新車「VCARB 02」のカラーリング (1)
レーシング・ブルズはチーム名称だけでなく、グリッドの中で唯一、カラーリングを大きく変更した。ロゴの配色の関係もあり、2つのタイトルスポンサー以上にレッドブルのロゴが目を引く。チームは「今季はレッドブルのブランド全体に敬意を表し、コースでオールホワイトを身にまとう」と述べた。
昨シーズンはポイント圏内に足るペースをたびたび見せたが、目指すトップ6入りのためには、今冬の開発で大幅な改善を遂げる必要がある。もしそれが叶わなければ、早い段階で2026年に向けた準備にシフトする可能性も十分にありそうだ。
チームは2025年シーズンを角田裕毅とルーキーのアイザック・ハジャーというラインナップで戦う。キャリアのターニングポイントとなり得る5年目の角田は、明確なチームリーダーとして初めてフルシーズンを率いる。
レーシング・ブルズが2025年のF1に投入する新車「VCARB 02」のカラーリング (5)
レーシング・ブルズが2025年のF1に投入する新車「VCARB 02」のカラーリング (4)
レーシング・ブルズが2025年のF1に投入する新車「VCARB 02」のカラーリング (3)
2025年仕様のレーシングスーツを着用し、ヘルメットを持つレーシング・ブルズの角田裕毅とアイザック・ハジャー
ウィリアムズFW47
ウィリアムズが2025年のF1に投入する新車「FW47」のカラーリング (2)
ウィリアムズが2025年のF1に投入する新車「FW47」のカラーリング (3)
ウィリアムズが2025年のF1に投入する新車「FW47」のカラーリング (1)
波乱の2024年シーズンを経てグリッド上位への進出を目指すウィリアムズは、新たにアトラシアンとタイトルスポンサー契約を締結。エントリー名を変更した。
新しいカラーリングでは、アトラシアンのロゴと淡いブルー、そしてチームの伝統的なダークブルーがグラデーションを描いている。
ドライバーラインナップも変更され、フェラーリから移籍したカルロス・サインツがアレックス・アルボンとコンビを組む。昨季終盤にステアリングを握ったフランコ・コラピントは、リザーブ・ドライバーとしてアルピーヌにレンタル移籍した。
2024年型マシンは9回のQ3進出を記録し、速さ自体は証明された。しかし、ローガン・サージェントの不振や、アルボンの不運なクラッシュが重なり、チームはコンストラクターズランキング9位に沈んでしまった。
一方、シルバーストンでのFW47のシェイクダウンでは、サインツが満面の笑みを見せ、「すべてが期待通りに機能している」と好感触を語った。チーム代表のジェームズ・ボウルズは、「我々の歩みを見ていてほしい。今年は期待できるはずだ」と意気込みを語っている。
ザウバーC45
ザウバー(ステイク)が2025年のF1に投入する新車「C45」のカラーリング (2)
ザウバー(ステイク)が2025年のF1に投入する新車「C45」のカラーリング (4)
2024年に僅か1ポイントにとどまった状況を踏まえると考えると、ザウバーとして臨むラストシーズンは決して華々しいものにはならないだろう。
アウディF1チームへの移行は決して順調とは言えず、進捗の遅れが囁かれる中、CEOのアンドレアス・ザイドルが夏にマッティア・ビノットと交代する事態となった。
さらに、親会社であるフォルクスワーゲン・グループが発表した工場閉鎖の影響もあり、アウディのF1参戦へのコミットメントを疑問視する声も依然として続いている。
この状況は、2025年に加入するニコ・ヒュルケンベルグとルーキーのガブリエル・ボルトレートにとって、決して好ましいものではない。さらに、2026年のチームリブランドとアウディ製パワーユニット導入によって状況が好転する保証もなく、不透明な状況が続きそうだ。
ザウバー(ステイク)が2025年のF1に投入する新車「C45」のカラーリング (3)
ザウバー(ステイク)が2025年のF1に投入する新車「C45」のカラーリング (1)