衝撃のアンドレッティ2024年F1参戦エントリー、実現の可能性は?
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モナコF1レーシングやパンテーラ・チーム・アジア等、ここ数年はF1参戦を公言するチームが幾つか現れたが、パンデミックの影響もあり具体的なアクションにまで踏み込むチームはなかった。だが、アンドレッティ・グローバルは別だ。
ザウバー買収によるF1新規参戦の可能性が絶たれたマイケル・アンドレッティはすぐさま別の道を模索した。交渉決裂から半年を経たずして2024年のF1新規参戦エントリーを国際自動車連盟(FIA)に申請したのだ。
父のマリオがIndyStarに明かしたところによると、既にパワーユニット供給については”あるメーカー”の同意を取り付けており、本拠はイギリスながらも、インディアナポリス・モーター・スピードウェイ近郊に位置するインディカーチームの前線基地を拡張してF1用の新たなファクトリーを建設する計画だと言う。
マリオ・アンドレッティは息子のF1新規参戦計画について「単なる気まぐれやバケツリスト(死ぬまでにやりたい事などを書き出したリスト)のような類ではない。本気だ」だとした上で、FIAがエントリーを承認しさえすれば「翌日には全ての準備が整ってしまう程の勢いだ」と付け加えた。
本気度が伺えるのは本拠を母国アメリカではなくF1のホーム、イギリスに設けるという事だけでなく、エントリーイヤーが次世代パワーユニットレギュレーションが導入される予定の2026年ではなく、その2年前の2024年というところにも表れている。まずは2年を通して基盤を作り上げ、規定が変更されたタイミングで本格的なスタートを切るというプランだろう。堅実だ。
エントリー申請の事実が公表されたのが、サーキット・オブ・ジ・アメリカズでのF1アメリカGPの5年契約延長発表直後だったという点も印象的だ。2022年にカレンダー入りを果たしたマイアミに続き、将来的にラスベガスでの第3の米国内グランプリも検討されている状況は、アメリカンチームにとってこれ以上ない参戦のタイミングと言える。
マリオはパワーユニットメーカーの具体的な名前に言及していないが、既に4チーム供給体制のメルセデスにこれ以上割くリソースはないため、実質的にはフェラーリ、アルピーヌ(ルノー)、レッドブル・パワートレインズのいずれかだろう。
例えインディカーでのコネクションがあるとは言え、ホンダ(レッドブル・パワートレインズ)の線は薄いように思われる。レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコが公にしたように、仮にホンダが2022年体制と同じ様に、組み立て・現場支援を2025年まで継続するのであれば、リソースを拡充してアンドレッティに供給するとは考えにくい。
残るはフェラーリとアルピーヌだが、”Bチーム”が存在しないという点で供給のインセンティブが高いアルピーヌの方が可能性が高そうだ。
マリオによるとチームそのものは、消費者保険サービスの持株会社「Group 1001」のダニエル・トウリス最高経営責任者兼社長との共同オーナー制となるようだ。同社は62社もの子会社を抱え、売上高は6億7,000万ドル、約770億円を超える。
参戦決定の暁にレギュラードライバー最有力候補の1人となる事が予想されるのはコルトン・ハータだが、どう転ぶかは分からない。
ハータはデジタル保険代理店プラットフォームの「Gainbridge」のバックアップを受けており、同社はGroup 1001の完全子会社だが、今回のプロジェクトには関与していないと言う。
ただしマリオは、F1参戦に足る「優れた才能」を持つハータのF1参戦を願っているとした上で「少なくとも1人のアメリカ人ドライバーがいることは間違いない。それは期待していい。そうでなければマイケルへのお小遣いをカットするつもりさ」と語った。
グリッドに11番目のチームが誕生するかどうかの課題の一つは、新たに合意されたコンコルド協定が定める「参入障壁金」とも言える2億ドル、約230億円の支払い義務だが、これについて問われたマイケルは「全ての項目を満たしている」「準備は万端だ」としている。
昨年初頭にモナコF1レーシングチームが参戦に向けた準備を整えている事を公表した際、F1のステファノ・ドメニカリCEOは、”参入障壁金”が一定の条件のもとで免除される可能性に言及していた。免除となれば参戦の可能性は一層高まる。
FIAがどのような基準で参戦の可否を判断するのかは明らかではないが、参戦しながらもすぐに撤退するようなチームに許可を出す事はないだろう。つまりは安定した財務、そして継続参戦への意欲とその裏付けが重要な審査ポイントになるのではないだろうか。
そうであるならば、アンドレッティ・グローバルが2022年のF1グリッドにつく可能性は決して低くはないように思われる。なおマリオによるとFIAは参戦可否のデッドラインを示しておらず、最終的な決定がいつ下されるかは不透明だ。