不発のアップグレードを諦めるのは時期尚早、とダニエル・リカルド…F1スペインGPでの”大失速”にも関わらず

チーム代表を務めるローラン・メキーズと話をするダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)、2024年6月21日(金) F1スペインGPフリー走行Courtesy Of Red Bull Content Pool

F1スペインGPでVCARB 01に導入されたアップグレードについてダニエル・リカルドは、ハッキリとした答えが得られない場合は別として、慌てて旧スペックに戻す必要はないと考えている。

RBは欧州ラウンドの主戦場となる伝統的なミドル~ハイダウンフォース・サーキット用に設計された新しいリアウイングと、これに向かう空気の流れを改善するための新しいエンジンカバーを導入。さらに、サイドポッドやフロアの形状を変更した。

アップグレードされたVCARB 01には、アストンマーチンを選手権5位の座から引きずり落とす期待が寄せられていたが、現実には週末全体でライバルに大きく遅れを取った。

予選5番手を刻んだ2週間前のカナダGPとは対照的に、角田裕毅ともどもQ1敗退を喫したスペインでの予選を経てリカルドは、「前向きな勢い」が失速したと語った。翌日のレースでは15位、角田裕毅は19位に終わり、マイアミGP以降、続いてきた連続入賞記録は潰えた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

決勝レース後のパルクフェルメで自分のクルマを観察するダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)、2024年6月23日(日) F1スペインGP

開発の方向性が誤っていたのか、それともパッケージを最適化できなかったのか。現時点でチームはアップグレードが不発に終わった原因を明確に掴めておらず困惑した様子だが、リカルドはパニックに陥って従来スペックに戻す必要はないと考えている。

英AUTOSPORTによるとリカルドは「その誘惑に駆られるのはおそらく72時間くらいだと思う」と語った。

「それでも確信が持てなかったり明確な答えがない場合は、もしかしたら『とりあえず元に戻そうか?』ってなるかもしれないけどね」

「でも今のところ、そこまでには至っていない。すべてをテーブルに載せて、それでもまだ不確かなら、その時におそらく、そういう話になるんじゃないかな」

新しいパッケージに何か足らない部分があるのは「確か」だとしつつもリカルドは、クルマのバランスは悪くなく、予選に関しては「ユーキも僕も良いラップができたと感じていた」として、それがラップタイムに反映されず「奇妙」な週末になったとも語った。

「レース中にたくさんメモを取った。フィードバックすることがたくさんあるんだ。それをうまく活用してオーストリアで強く戻ってくるつもりだ」

角田裕毅も同じ様に「何かがおかしい」と感じていた。曰く「レースを通して終始、クルマの挙動に違和感」があり、ドライビングフィールが悪く、思い通りにクルマを走らせるのに「苦労」したという。

経験豊富な8度のグランプリウィナーによれば、問題はおそらく全体的なダウンフォース不足にあり、アップグレードされたVCARB 01は高速コーナーにボトルネックを抱えているという。

アプグレされたVCARB の「弱点」

イギリスGPの1週間前、トリプルヘッダーの第2戦として行われる今週末のオーストリアGPはスプリント・フォーマットが採用されるため、パッケージの検証や最適化に使えるプラクティスが60分間に限られる。

バルセロナでの苦戦が、同じような高速特性を持つレッドブルリンクとシルバーストンでの苦戦に繋がりかねないことを考慮すれば、オーストリアでは端からスプリント予選とスプリントを捨て、テストの場として活用するのも一つかもしれない。

F1オーストリアGP特集

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