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国際自動車連盟(FIA)は2024年11月12日、ニールス・ヴィティヒがF1レースディレクターを退任したと発表した。次戦ラスベガスGP以降は、FIA-F2選手権及びF3でレースディレクターを務めてきたルイ・マルケスが後任を務める。
事前にそのような兆候はなく、青天の霹靂の人事と言える。退任の理由についてFIAは、ヴィティヒが「新たな機会を追求するため」としか説明しておらず、詳細は明らかになっていないが、モハメド・ベン・スレイエムFIA会長との関係が背景にあるとの情報もある。
F1ではここ数週間、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とランド・ノリス(マクラーレン)のコース上での攻防を巡り、FIAのドライビング標準ガイドラインに関する論争が繰り広げられていた。
これを受けFIAは先月末、ガイドラインの見直しを行う方針を示したが、これがヴィティヒの退任と関係しているのかどうかは不明だ。
前任のマイケル・マシは、フェルスタッペンとルイス・ハミルトン(メルセデス)のタイトル争いに決定的な影響を及ぼす決定を下した後、FIAを去った。
マシは2021年の最終アブダビGPの最終盤、セーフティーカーからの再スタートに際し、タイトルを争う2台の間を走行していたマシンにのみラップバックを許可した。この結果、フェルスタッペンは最終周にハミルトンを交わしてF1ワールドチャンピオンに輝いた。
この物議を経てFIAは2022年シーズンに先立ち、マシに代えてヴィティヒとエドゥアルド・フレイタスの2名を新たなレースディレクターに迎え入れた。
新たに導入された交代制は長くは続かず、悪天候の中での回収車両の配備を巡って批判が相次いだ同年の日本GPを経てフレイタスは退任し、以降はDTMでの同職の経験を持つヴィティヒが単独でF1レースディレクターを務めてきた。
FIAは「ニールスはレースディレクターとして数々の責任を負い、プロフェッショナルかつ献身的にその役割を果たしてきた。彼の献身に感謝するとともに、今後の成功を祈っている」との声明を発表した。