レッドブル「大きな決断だった」メルセデスに首位明け渡す攻めの戦略で4連勝、残り7戦で3桁リード
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9月4日(日)に行われたF1第15戦オランダGP決勝レースの行方を決定づけた終盤の戦略的判断についてレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は「大きな決断だった」と振り返った。
角田裕毅(アルファタウリ)を起因とするバーチャル・セーフティーカー(VSC)を経て、レースは終盤に再び動いた。バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)のマシンストップによりセーフティーカーが導入された事で、残り12周のスプリントを迎えた。
LAP 55/72
More drama! 😮
Bottas pulls up just before Turn 1 and, after a pause…
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— Formula 1 (@F1) September 4, 2022
熱入れの悪いハードタイヤを履くフェルスタッペン。後ろに迫るはミディアムタイヤのメルセデス。チームはトラックポジションを明け渡す事を選んだ。ソフトに履き替えたフェルスタッペンは3番手に後退した。
ただ、ジョージ・ラッセル(メルセデス)も同じ様にピットイン。フェルスタッペンは2番手からのリスタートで一気に首位のルイス・ハミルトン(メルセデス)を抜き去り、2年連続となる母国ポール・トゥ・ウインを飾ると共に、7月のフランスGPから続く連勝記録を4に伸ばした。
2度に渡って難しい判断を強いられたレースを振り返り、クリスチャン・ホーナーは「非常に大きな期待とプレッシャーの入り混じるレースだった。戦略的にも難しかった。最初のバーチャルセーフティカーもそうだし、その後のセーフティカーもそうだ」と語った。
「残り12周でマックスをピットインさせ、2台のメルセデスの背後に回る決断を下すのは大変なことだった。大きな決断だった。だが正しい選択だった。彼らに対して優位なタイヤにしたかったんだ」
この日のピットウォールにはハンガリーGPでの劇的勝利をお膳立てしたプリンシパル・ストラテジー・エンジニア、ハンナ・シュミッツの姿があった。
恐らく英国の本拠地では、レース戦略責任者のウィル・コートニーを含む他のストラテジーチームのメンバー達が汗を流していた事だろう。
「ここで見えているものはチームの仕事のほんの10%に過ぎない。舞台裏あっての事なのだ」とクリスチャン・ホーナーは語る。
「チームは非常に高いレベルで運営されており、ミルトンキーンズのサポートや努力があるからこそ、このような勝利が可能なのだ」
「2人のドライバーはコースに到着した瞬間からゾーンに入っていたし、チームのパフォーマンスもファンタスティックだった」
もう1台のRB18をドライブしたセルジオ・ペレスは終盤のセーフティーカー後のリスタートの際、自身よりも柔らかいソフトタイヤを履くカルロス・サインツ(フェラーリ)に追い抜きを許した。
ただ、アンセーフリリースによってサインツが5秒ペナルティを受けたため、最終5位に昇格した。オーバーテイクを許したタイヤ選択はペレスによるものだったようだ。
「チェコは残念ながらセーフティーカー後のリスタートでカルロス(サインツ)に抜かれてしまった」とクリスチャン・ホーナーは説明する。
「今にして思えば、ミディアムタイヤを望んだ彼の判断を覆すべきだったと思う。ただ彼は力強いレースをみせてくれた」
フェルスタッペンはファステストラップのボーナス1点を加えた満額26点を加算し、チャンピオンシップのライバル達に109点差をつけた。またチームとしてはフェラーリに対するリードを135点にまで拡大した。
ダブルタイトル確定は時間の問題に見える。だがクリスチャン・ホーナーは選手権争いを意識せず、目の前のレースに集中していきたいと語る。
「我々は絶好の状況にいる。このまま何事もなければ満足だ。一戦一戦を戦っていくつもりだ。あまり先のことは考えないようにしている」
「来週のモンツァを楽しみにしている。この調子でレースに挑みたい」
2022年F1第15戦オランダGPの決勝は、母国出身のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季10勝目を挙げた。2位はジョージ・ラッセル(メルセデス)。3位表彰台にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が滑り込んだ。
高速の殿堂、モンツァ・サーキットを舞台とする次戦イタリアGPは9月9日のフリー走行1で幕を開ける。