2022年インディカー:カレンダーと参戦ドライバー及びチーム

スタート直後の様子、2019年インディカー・シリーズ第14戦ポコノ決勝レースにてcopyright Indycar

27回目のシーズンとなった2022年のNTTインディカー・シリーズ(IndyCar Series)は前年よりも1レース多い全17戦で争われた。米国オープン・ホイールの公式チャンピオンシップとしては111シーズン目。

チーム・ペンスキーのウィル・パワーが2014年以来となるチャンピオンを獲得し、シボレーが2017年以来のエンジン・メーカー・チャンピオンに輝いた。ルーキー・オブ・ザ・イヤーはレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのクリスチャン・ルンガーが獲得した。

開催日程カレンダー

オーバル5戦、市街地5戦、常設ロードコース7戦の計17戦。

2022年インディカー開催カレンダー
ラウンド 日時 会場 種別 結果
1 2月27日 セント・ピーターズバーグ ストリート 予選 / 決勝
2 3月20日 テキサス オーバル 予選 / 決勝
3 4月10日 ロングビーチ ストリート 予選 / 決勝
4 5月1日 バーバー ロード 予選 / 決勝
5 5月14日 IMSロード ロード 予選 / 決勝
6 5月29日 インディ500 オーバル 予選1 / 予選2 / 決勝
7 6月5日 デトロイト ストリート 予選 / 決勝
8 6月12日 ロード・アメリカ ロード 予選 / 決勝
9 7月3日 ミッドオハイオ ロード 予選 / 決勝
10 7月17日 トロント ストリート 予選 / 決勝
11 7月23日 アイオワ・レース1 オーバル 予選 / 決勝
12 7月24日 アイオワ・レース2 オーバル 予選 / 決勝
13 7月30日 IMSロード ロード 予選 / 決勝
14 8月7日 ナッシュビル ストリート 予選 / 決勝
15 8月20日 ゲートウェイ オーバル 予選 / 決勝
16 9月4日 ポートランド ロード 予選 / 決勝
17 9月11日 ラグナセカ ロード 予選 / 決勝

テレビ放送

2022年のインディカー・シリーズは例年通りGAORA SPORTSで全戦が生放送された。インディ500に関してはNHKがシリーズ主催者との間でスポットでのレース放映権を取得した。

スカパー!で詳しく見てみる

参戦チームとドライバー

全チームがユニバーサル・エアロキットとファイアストン・タイヤを装着したダラーラIR18シャーシを使用。ホンダとシボレーの2社がエンジンを供給した。

本来、2.2リッターV6ツインターボ・エンジンは今季で見納めとなり、2023年に2.4リッターV6ツインターボ・ハイブリッドが導入される予定であったが、2024年に延期された。

シリーズフル参戦は24台。5月の第106回インディ500には33台がエントリーした。

アンドレッティ・オートスポーツに移籍したロマン・グロージャンの後任として、佐藤琢磨はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)からデイル・コイン・レーシングへと移籍した。RLLはジャック・ハーベイとクリスチャン・ルンガーを起用し、3台体制に拡充した。

Courtesy Of Penske Entertainment

デイル・コイン・レーシングの佐藤琢磨、2022年2月26日インディカー・シリーズ開幕セント・ピーターズバーグ予選にて

チーム・ペンスキーは4台から3台体制へと規模を縮小した。

昨季メイヤー・シャンク・レーシングでスポット参戦したエリオ・カストロネベスがフル参戦を果した。

チームを去ったジェームズ・ヒンチクリフに代わり、カナダ出身のデブリン・デフランチェスコがアンドレッティ・スタインブレナー・オートスポーツからデビューを果たした。

A.J.フォイト・エンタープライズはセバスチャン・ブルデーに代えて、インディライツ王者に輝いたカイル・カークウッドを起用。更にロード及びストリートのパートタイムとしてタチアナ・カルデロンをドライブさせた。

チップ・ガナッシ・レーシングのジミー・ジョンソンは一転、主戦場のオーバルを含めたフル参戦を果たした。

過去2年に渡ってスポット参戦を続けていたコナー・デイリーがフルタイム契約の下でエド・カーペンター・レーシングに復帰した。

チーム
エンジン
No. ドライバー ラウンド
A.J.フォイト・エンタープライズ
シボレー
4 ダルトン・ケレット 全戦
11 タチアナ・カルデロン 1, 3-5, 7-10, 13, 14, 16, 17
J.R.ヒルデブランド 2, 6, 11-12, 15
14 カイル・カークウッド 全戦
アンドレッティ・オートスポーツ
ホンダ
26 コルトン・ハータ 全戦
27 アレクサンダー・ロッシ 全戦
28 ロマン・グロージャン 全戦
98 マルコ・アンドレッティ 6
アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポーツ
ホンダ
29 デブリン・デフランチェスコ 全戦
アロー・マクラーレンSP
シボレー
5 パトリシオ・オワード 全戦
6 ファン・パブロ・モントーヤ 5-6
7 フェリックス・ローゼンクヴィスト 全戦
チップ・ガナッシ・レーシング
ホンダ
8 マーカス・エリクソン 全戦
9 スコット・ディクソン 全戦
10 アレックス・パロウ 全戦
48 ジミー・ジョンソン 全戦
1 トニー・カナーン 6
デイル・コイン・レーシング
with HMDモータースポーツ
ホンダ
18 デイビッド・マルカス 全戦
デイル・コイン・レーシング
withリック・ウェアー・レーシング
ホンダ
51 佐藤琢磨 全戦
ドレイヤー&レインボールド・レーシング
シボレー
23 サンティノ・フェルッチ 6
24 セージ・カラム 6
エド・カーペンター・レーシング
シボレー
20 コナー・デイリー 全戦
21 リーナス・ヴィーケイ 全戦
33 エド・カーペンター 6
フンコス・ホリンジャー・レーシング
シボレー
77 カラム・アイロット 全戦
メイヤー・シャンク・レーシング
ホンダ
06 エリオ・カストロネベス 全戦
60 シモン・パジェノー 全戦
パレッタ・オートスポーツ
シボレー
16 シモーナ・デ・シルベストロ 8–9、14
60 シモン・パジェノー 全戦
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング
ホンダ
15 グレアム・レイホール 全戦
30 クリスチャン・ルンガー 全戦
45 ジャック・ハーベイ 全戦
サンティノ・フェルッチ 2
チーム・ペンスキー
シボレー
2 ジョセフ・ニューガーデン 全戦
3 スコット・マクラフリン 全戦
12 ウィル・パワー 全戦

第106回インディ500

伝統の一戦は第6戦目として5月29日に開催された。

インディカーで6度のチャンピオンに輝き、2008年のインディ500のウィナーでもあるスコット・ディクソンがキャリア5回目となるポールポジションを獲得。ディクソンの予選速度は234.046mph(376.661km/h)で、インディ500のポールスピードとしては史上最速、インディ500予選としては史上2番目の速さだった。

ディクソンは最多リードラップ(95周)を記録してチームメイトのアレックス・パロウとともにレースの大半を支配していたが、残り25周での最後のピットストップの際にピットレーンで痛恨のスピード違反。ドライブ・スルー・ペナルティにより優勝争いから脱落し、チームメイトのマーカス・エリクソンが1999年のケニー・ブレックに続き、史上2人目のスウェーデン人優勝者に輝いた。

エントリーリスト

No. Driver Team Engine
1 トニー・カナーン Honda Chip Ganassi Racing
2 ジョセフ・ニューガーデン Chevrolet Team Penske
3 スコット・マクラフリン Chevrolet Team Penske
4 ダルトン・ケレット Chevrolet AJ Foyt Enterprises
5 パトリシオ・オワード Chevrolet Arrow McLaren SP
6 エリオ・カストロネベス Honda Meyer Shank Racing
6 ファン・パブロ・モントーヤ Chevrolet Arrow McLaren SP
7 フェリックス・ローゼンクビスト Chevrolet Arrow McLaren SP
8 マーカス・エリクソン Honda Chip Ganassi Racing
9 スコット・ディクソン Honda Chip Ganassi Racing
10 アレックス・パロウ Honda Chip Ganassi Racing
11 JR.ヒルデブランド Chevrolet AJ Foyt Enterprises
12 ウィル・パワー Chevrolet Team Penske
14 カイル・カークウッド Chevrolet AJ Foyt Enterprises
15 グレアム・レイホール Honda Rahal Letterman Lanigan Racing
18 デイビット・マルカス Honda Dale Coyne Racing with HMD
20 コナー・デイリー Chevrolet Ed Carpenter Racing
21 リーナス・ヴィーケイ Chevrolet Ed Carpenter Racing
23 サンティノ・フェルッチ Chevrolet Dreyer & Reinbold Racing
24 セージ・カラム Chevrolet Dreyer & Reinbold Racing
25 ステファン・ウィルソン Chevrolet DragonSpeed / Cusick Motorsports
26 コルトン・ハータ Honda Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian
27 アレキサンダー・ロッシ Honda Andretti Autosport
28 ロマン・グロージャン Honda Andretti Autosport
29 デブリン・デフランチェスコ Honda Andretti Steinbrenner Autosport
30 クリスチャン・ルンガー Honda Rahal Letterman Lanigan Racing
33 エド・カーペンター Chevrolet Ed Carpenter Racing
45 ジャック・ハーヴィー Honda Rahal Letterman Lanigan Racing
48 ジミー・ジョンソン Honda Chip Ganassi Racing
51 佐藤琢磨 Honda Dale Coyne Racing with RWR
60 シモン・パジェノー Honda Meyer Shank Racing
77 カラム・アイロット Chevrolet Juncos Hollinger Racing
98 マルコ・アンドレッティ Honda Andretti Herta Autosport w/ Marco & Curb

予選方式とポイント配分の変更

従来は予選初日に10番手以降のグリッドを決定し、2日目に上位9台によってポールポジションと残りの上位3列を決める「ファスト9」が行われていたが、だが今年は予選1日目の上位12台を対象として、2日目に2ラウンド制の最終決戦が行われる。

まずは5月21日(土)の予選初日に13番手以降のグリッドを決定する。そして2日目に初日リザルトの逆順で12台によるアタック(トップ12予選)を行い、その成績によって7~12番グリッドを決定する。連続4周の平均スピードで順位を争う点に変更はない。

そしてその後、上位6名による最終「ファスト6」が行われる。出走順はトップ12予選のリザルトの逆順で、最速のドライバーが賞金10万ドル(約1,284万円)を含むポールポジションを、残りの5名がセカンドローまでのポジションを獲得する。

これに伴いポイント配分も変更された。従来は9-8-7…の順で上位9台にチャンピオンシップ・ポイントが与えられていたが、上位12台に12-11-10…のポイントが付与される。

チャンピオンシップ ポイントシステム

選手権はドライバーとエンジンマニュファクチャラーの2つ。シーズン閉幕時に最も多くのランキングポイントを獲得した者がNTTインディカーシリーズのチャンピオンとなる。

同点の場合は優勝回数でチャンピオンを決定する。それでも同点の場合は2位、3位とチャンピオンが決まるまで同じ採点を繰り返す。

フィニッシュ順位別獲得ポイント

ポールアワードは1点。1周でもリードラップを刻めば1点。最多リードラップは2点。

順位 ポイント
1位 50
2位 40
3位 35
4位 32
5位 30
6位 28
7位 26
8位 24
9位 22
10位 20
11位 19
12位 18
13位 17
14位 16
15位 15
16位 14
17位 13
18位 12
19位 11
20位 10
21位 9
22位 8
23位 7
24位 6
25位以下 5

エンジンマニュファクチャラー選手権

各レースにおける各々の陣営のフル参戦ドライバーの内、上位2名の獲得ポイントをシーズンを通して合算していく。なお、各レースでポールポジションを獲得したエンジンメーカーには1ポイント、優勝メーカーには5ポイントが与えられる(インディ500を除く)。

インディ500においてはポールポジションを獲得したエンジンメーカーに2ポイント、予選初日の最速エンジンメーカーに1ポイントが与えられる。またインディ500決勝レース中に2,000マイルの走行距離を達成したエンジンメーカーには、インディ500で獲得したマニュファクチャラーポイントと同数の追加ボーナスポイントが与えられる。

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了