最速はフェラーリかメルセデスか…レッドブルは2022年のF1チーム間序列をどう見ているのか?
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レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、プレシーズンの現段階において何よりフェラーリを警戒する一方、大幅にスリム化されたメルセデスW13が最終的にタイトル争いに絡む事は間違いないとの考えを示した。
フェラーリ復活を予想するホーナー
バーレーンでの公式プレシーズンテスト2日目のランチブレイク会見の中で2022年のチーム間序列の展望について問われたホーナーは、真っ先にマラネロの伝説的チームの名を挙げ、フェラーリの復活を感じている事をうかがわせた。
「私にとって、サーキットで最も安定して見えるクルマはフェラーリだ」とホーナーは語った。
「彼らはこれまでのところ、バルセロナとバーレーンの両方のテストで非常に力強い日々を過ごしている。コース上でのフェラーリは極めて高い競争力を発揮しているように思う」
「現時点で最も好調なチームはフェラーリだと言わざるを得ないと思う。願わくば我々も彼らと同じ場所に立てればと思っている。マクラーレンのマシンも力強そうだし、アルピーヌも速い」
メルセデスは隠し持っている?
今季はテクニカル・レギュレーションが刷新され、グランドエフェクトを含む近年とは全く異る空力思想が導入された。9ヶ月22戦のシーズンを通して絶え間ない激しい開発競争が続く事が予想されるだけに、勝利の女神が最終的に誰に微笑むかはまだ分からない。
ホーナーは「忘れてはならないのは、これらのクルマはまだ非常に未熟だということだ」と指摘した上で「メルセデスが完全に手の内を見せたとは思っていない」と付け加えた。
「開発のスピードは速く激しいものになるだろうし、これに合わせて変化していく事になるだろう。メルセデスが選手権争いで大きなファクターとなる事は間違いない。そう私は考えている」
なおSky Sportsでピットレポーターを務めるテッド・クラヴィッツは2日目までのテスト内容を元に、チーム間序列を次のように予想した。
「私はコンマ1秒ずつの差でメルセデス、フェラーリ、レッドブルの順になる可能性があると思う」
「そしてこれにマクラーレン、アルファタウリが続き、そこから少し離れてアストンマーチン、ウィリアムズ、アルピーヌと並ぶ。そして最後はハースとアルファロメオだ」
航空宇宙産業技術を採用したW13
前人未到のコンストラクターズ選手権9連覇を目指すシルバーアローはここバーレーンに、バルセロナ仕様とは似ても似つかない過激な外観を備えたW13を持ちこんだ。
ラジエーター・インレットを縦長の三角形状とすることでサイドポッドの幅を大幅に縮め、サイドインパクト構造をウイング状に仕立て上げて、これに細かなフィンとリアビューミラーをマウントし、更にこれらの変更に合わせた新型のフロアを投入した。
角田裕毅が「どうやってこれでパワーユニットを冷却するの??」と好奇心をのぞかせたように、これだけタイトなサイトポッドを実現するには高効率の冷却システムが欠かせない。
F1チーフ・テクニカルオフィサーのパット・シモンズはF1 TVの中で、メルセデスは航空宇宙産業を営むオックスフォードシャー州のリアクション・エンジンズ社製のインタークーラーの採用することで、この超絶タイトなサイトポッドを作り上げたと指摘している。
何にせよ、激変したW13の外観に大きな注目が集まる中でジョージ・ラッセルが「見た目ではなくどれだけ速く走れるかが重要」と真っ当な見解を示したように、見栄えは関係なく技術は手段であり全てはパフォーマンスだ。
W13についてホーナーは「弱肉強食のF1において、太鼓はこの手の物事に大きな音を立てるものであり、かなり過激な解釈がなされるのではとの噂もあった」と口を開いた。
そして「視覚的に言えば我々を含む他のチームが取るコンセプトからかなり逸脱している」とその創造性を評価しつつも「だからといって、それが良いとか悪いとかいうことではなく、単に解釈が違うというだけだ」と補足した。
「当然、あれに合わせてレイアウト的に妥協した部分もあるわけで、見た目が全く違うということ以外の結論を出すことはできない」
「あれが正しいのかどうかについては、時間が経たなければ分からない。F1においては、設計思想が一定期間を経て収束する傾向があるものの、1枚の紙から10通りの解釈が出てくる事がこのスポーツの良いところでもある」
「メルセデスは極端に異なる解釈を提示してきた」
ホーナーはテスト初日、ガレージ裏で独AMuSのインタビューに答え、新型メルセデスの合法性に疑問を投げかけた。後にチームが火消しに走る場面があったが、この日も改めて報道内容を否定し、W13は「レギュレーションに適合しているように見える」と語った。