勢い喪失トロロッソ・ホンダ、手痛い予選結果の原因とは?決勝での挽回のチャンスや如何に? / 2018年 F1中国GP
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第2戦バーレーンGPでは2台ともが印象的なペースを築き、ピエール・ガスリーが4位入賞という大躍進とも言うべきリザルトを手にしたにも関わらず、第3戦中国GP予選でのトロロッソ・ホンダは大きく後退した。勢いを失った理由としてチーム関係者は、コンディションとマシンセッティングを挙げる。
方向性を誤ったマシンセッティング
17番手でQ1ノックアウトと相成ったガスリーは、「土曜の朝に施したマシンセットアップが誤った方向に進んでしまい、結果としてパッケージの強みが失われ大きく後退した」との認識を示した。低速時のスタビリティが低下した結果、加速していく際に路面に対してトラクションをかけられなかった事がタイムロスに繋がったという。
© Honda
「流石に上位10台の中に入るのは難しいとは思ってたけど、コンマ数秒遅れで11か12番手あたりにはいけるんじゃないかと思ってた」とガスリー。「昨日マシンのフロントに苦労してたからセットアップを変更したんだけど、そうしたら今度はリヤに問題が出てしまったんだ。低速からの立ち上がりの時にオーバーステアが酷くて、全然トラクションがかからなかった」
ガスリーの主張は予選スピードトラップからも見て取れる。例えば、ブレンドン・ハートレーのホームストレート中間地点での速度は時速265.2kmの16番手だが、その先のトラップ計測地点では時速325.3kmの9番手にまで大幅に上昇。同じことはガスリーにも当てはまり、エンジンの加速性能には問題がないものの、立ち上がりが相当に遅い事が伺える。
オーバーステアが酷いとなると、レースでのリアタイヤのデグラデーションが心配される。
吹き荒れる強風と寒さへの対応叶わず
Q2進出を果たしながらも15番手に終わったブレンドン・ハートレーは、コンディションの違いを指摘。週末の上海インターナショナル・サーキットは、かなりの寒さと吹き荒れる強風に見舞われた。
「2台ともがバーレーンの時と比べて苦労しているけど、それには幾つかの要因が考えられる。気温は全然違うし、ここでは風が本当に強く、コースレイアウトも別物だ。メルボルンでもそうだったけど、僕らはライバルと比べて風の影響を強く受けているような気がするな」
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チームの技術部門を率いるジェームス・キーもハートレーの見解に同意する。「上海が前回のバーレーンよりも我々向きでない事は分かっていたが、もう少し良い結果を期待していた。誰にとっても同じ条件ではあったが、強風と非常に低い気温が影響し、バランスを見つけるのに苦労してしまった」
バーレーンでは気温が30℃近くにまで達していた一方、週末の上海は10℃を気持ち越える程度の寒さ。上空を覆った薄暗い雲のために、路面温度も15℃程度にまでしか上がらなかった。
風と気温に苦しめられたのはトロロッソ・ホンダだけではない。王者メルセデスAMGもまた、上海の荒れたコンディションに適応できず、フェラーリに0.5秒もの大差をつけられフロントローを許してしまった。チーフ・レースエンジニアのアンドリュー・ショブリンは、気温の低下によってタイヤを機能させられなかった事を明かしている。
決勝での挽回なるか?入賞は可能とハートレー
トロロッソ・ホンダに決勝での挽回のチャンスは訪れないのか?ハートレーは、15番グリッドからのポイント獲得は可能だとの認識を示し、巻き返しに自信をみせている。
「このサーキットはオーバーテイクしやすいコースだし、明日は気温も上がるみたいだから、決勝では物事が完全にひっくり返る可能性がある。現代のF1マシンは神経質だから、風や気温が変わるだけで状況が一変する事もあり得るわけさ」
寒さに包まれた土曜日から一転、日曜日の上海は風が収まり穏やかな天候が予想されている。気温は20℃近くにまで上昇し、今週末で最も暖かなコンディションになる見通しだ。
気温が20℃を少し下回る程度であった初日金曜の2回のセッションでのガスリーは、11番手と12番手を記録。トップ10を射程圏内に捉えつつあっただけに、好転する天候がトロロッソ・ホンダの追い上げを後押しする可能性は捨てきれない。
上海インターナショナル・サーキットのコースレイアウト図
ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターによれば、パワーユニットはノートラブルで順調に機能しており、十分な信頼性と性能を発揮しているという。13コーナーから14コーナーにかけての1.175kmのバックストレートは、もはやホンダにとってのウィークポイントとは言えず、追い抜きに期待がかかる。
2018年FIA F1世界選手権 第三戦中国GP決勝レースは、日本時間4月15日(日)15時10分から上海インターナショナル・サーキットで行われる。