ペナルティの見本市…審議の嵐 なんと9件!不問わずか1件、5名にペナポのF1カタールGP調査リスト
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接触事故やレギュレーション違反が多発した結果、2024年のF1カタールGPの決勝レースでは、8名のドライバーを対象に9件もの審議が行われ、うち8件に処分が下り、5名にペナルティポイントが科された。
デレク・ワーウィックを含む4名のスチュワードはさぞ、慌ただしい90分間を過ごしたことだろう。
ドライバー | 違反or違反容疑 | 決定 |
---|---|---|
ランス・ストロール | アレックス・アルボンに衝突 | 10秒ペナルティ/ペナポ1点 |
ジョージ・ラッセル | SCラップで車間10台超 | 5秒ペナルティ/ペナポ1点 |
ランド・ノリス | 二重黄旗無視 | ストップ&ゴー/ペナポ3点 |
ルイス・ハミルトン | ジャンプスタート | 5秒ペナルティ |
ピットレーン速度違反 | ドライブスルー | |
アレックス・アルボン | ケビン・マグヌッセンに衝突 | 10秒ペナルティ/ペナポ2点 |
リアム・ローソン | バルテリ・ボッタスに衝突 | 10秒ペナルティ/ペナポ2点 |
オスカー・ピアストリ | 不規則運転 | 警告 |
セルジオ・ペレス | 危険運転 | 不問 |
F1カタールGPで調査対象となったインシデントと、それぞれに下された裁定を検証すると、事故の予防を目的とした安全義務違反に対するペナルティが、非常に厳格に適用されていることが改めて浮き彫りになった。
接触事故は通常、レース中の競り合いや偶発的な状況の結果として発生する。だが、安全義務違反は、ドライバーの注意不足や意識欠如が原因とされ、自助的に回避可能なケースとして扱われる。
ノリス:4年ぶり?厳罰ストップ&ゴー
最も重い処分が科されたのはランド・ノリス(マクラーレン)で、メインストレート上のビーバー、もとい脱落したミラーを受けて振られたダブルイエローを遵守しなかったため、失格を除いて最も厳しいストップ・アンド・ゴー・ペナルティと3点のペナルティポイント(累積3点)が科された。
ストップ・アンド・ゴーが最後に科されたのは2020年のルイス・ハミルトンだろうか。ピットレーンが閉鎖されている状態でタイヤ交換に動いたことで、同年のイタリアGPでは、アントニオ・ジョビナッツィと共にこのペナルティが科された。
ストロール:1周目のターン4でアルボンに接触
スチュワードは「ターン4進入時に縁石に乗り上げ、アンダーステアを引き起こしてアルボンに接触した」と指摘した。ランス・ストロールのアストンマーチンは深刻なダメージを負った。
通常、1周目のインシデントについては、ある程度、寛容な判断が下されるが、スチュワードは「今回の接触はそれに該当しない」とした。
10秒ペナルティに加えて2点のペナルティポイントが科され、累積点は4点となった。
アストンは元よりリタイヤさせる予定であったが、スチュワードの決定を受け、ペナルティの次戦持ち越しを避けるために、一旦、ピットインしてこれを消化した後、10周目にストロールをリタイアさせた。
ハミルトン:ジャンプスタートと速度違反
クルマに搭載されたトランスポンダー(マシンの正確な位置データをリアルタイムで送信する装置)がジャンプスタートと判断した。スチュワードは44号車のオンボード映像でこの事実を確認した。
スチュワードは「スタートシグナルよりごくわずかに早かっただけであるため、最低限のペナルティを適用する」と説明し、5秒ペナルティを科した。
ハミルトンはカタールGPで唯一、複数回のインシデントの各々でペナルティを科されたドライバーだった。
ノリスがストップ&ゴーを科されるきっかけとなったメインストレート上のミラーにバルテリ・ボッタス(ザウバー)が衝突し、コース上に破片が飛び散ったその翌周、ハミルトンはカルロス・サインツ(フェラーリ)と共にパンクに見舞われた。
デブリを回収する関係から、SCはピットレーンを通って隊列を先導した。ハミルトンはこの際にピットレーンの制限速度を12.5km/h超過し、ドライブスルー・ペナルティーを受けた。
アルボン:3回目のリスタートでマグヌッセンに接触
ストロールとの一件とは対照的に、ケビン・マグヌッセン(ハース)と接触した件ではアレックス・アルボン(ウィリアムズ)に責任があるとされ、10秒ペナルティに加えて、過去12ヶ月間で初となるペナルティポイント(2点)が科された。
スチュワードは「ターン1のエイペックスでオーバーステアを引き起こし、立て直したものの、結果としてマグヌッセンに衝突した」と指摘した。
ローソン:1回目のリスタートでボッタスに接触
リアム・ローソン(RB)はターン1のイン側でオーバーテイクを試みた際、ボッタスに接触した。
スチュワードは「ローソンはアンダーステアを引き起こし、ボッタスに衝突した」と指摘し、10秒ペナルティと2点のペナルティポイント(累積2点)を科す決定を下した。
ラッセル:10車身規定違反
ジョージ・ラッセル(メルセデス)はSCラップ中に前走車両との間隔を10台分以上広げてしまい、5秒ペナルティとペナルティポイント1点(累積1点)を科された。
スチュワードは、ラッセルが前のクルマから「125メートル以上」離れていたと指摘した。これはクルマ20台分以上に相当する。
ペレス:「危険運転」疑惑も不問
セルジオ・ペレス(レッドブル)は、2回目のリスタートを前にターン12でスピンを喫し、その後、コース脇にクルマを停めた。
スピンの後、ペレスはコースの右側に横向きに停止し、その後、対向車と直角にコースを横断するような動きを見せた。その結果、「危険なドライビング」をした疑いがあるとして調査を受けたが、不問とされた。
その理由についてスチュワードは、ペレスの動きは「クラッチの故障」が原因で生じたためだと説明した。
ピアストリ:「不規則」運転で警告
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、レコノサンスラップ中にハミルトンの前を横切ってピットエントリーに進入した行為が問題視された。
マクラーレンはレース後の聴聞会で、ピアストリが過剰な速度で走行せず、終始、クルマをコントロールしていたことを示すテレメトリーデータを提出した。
スチュワードは、ピアストリの動きは「危険」なものではなかったとする一方、このような「不規則」な動きは避けるべきであるとして警告を科す決定を下した。