F1モナコGPの新ルール、”裏ワザ”で攻略できる? 2ストップ義務化の抜け穴とは

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2025年シーズンよりモナコGP限定で導入される「2ストップ義務化」ルール。単調なレース展開を防ぎ、エンターテイメント性を向上させる目的で実施されるが、一部の専門家は抜け穴が存在すると指摘している。
この新ルールは、通常のF1レースで義務付けられている「2種類の異なるコンパウンドを使用する」という条件に加え、ドライ・ウェットのコンディションを問わず最低2回のピットストップを義務化するものだ。違反した場合は失格となることが、2月26日の世界モータースポーツ評議会(WMSC)で正式に承認された。
1周目と2周目にピットイン?
この新ルールに対し、ドライバーたちは概ね受け入れているものの、その効果については慎重な意見もある。一方、元マクラーレン&アストンマーチンのF1戦略担当者でSky Sports F1のコンサルタントを務めるバーニー・コリンズは、このルールには戦略的な「抜け道」が存在すると警告している。
「実はモナコでは2ストップ戦略が最速の選択肢となることが多いのですが、トラフィックが発生するため、実際にはそうなりません」とコリンズは指摘する。
「私が最初に思ったのは、もしモナコGPで最後尾スタートなら、1周目と2周目にピットインしてしまえばよいのではということです」
「そうすれば、それ以上ピットストップする必要がなくなります。その後、後方グループに接近し、前方のマシンが2回のピットストップを消化する際に順位を上げるチャンスが生まれます」
つまり、最後尾のドライバーが序盤で早々に義務を消化し、その後クリーンエアーを得て、トラフィック下では不可能なレベルのハイペースを刻み、他のドライバーが2回目のピットストップを消化する際に順位を上げる戦略が可能になるのではというわけだ。
過去のカタールGPがヒントに?
この問題を回避するため、コリンズは「スティントごとの最低周回数を設定する」という対策を提案している。
似たような特別ルールには前例がある。2023年のカタールGPでは、タイヤの安全性に関する懸念から、各スティントの最大周回数が18周に制限された。
コリンズは「もしモナコGPでこれが導入されなければ、後方グリッドのドライバーがセーフティカー中に一気に2回のストップを行う可能性もあります。レギュレーションのどこかにこの戦略を防ぐ条項があるかもしれませんが」と指摘した。
コリンズの指摘は、2025年のモナコGPに向けてFIAがルールをさらに明確化し、意図しない戦略を防ぐ措置を講じる必要があることを示すものと言える。
変化はチャンス。各チームはこの新ルールをどう攻略し、どう利用するのか。実際に抜け穴を突いた戦略は見られるのだろうか。その答えは、5月25日のモナコGPで明らかになる。