マクラーレンF1、共謀を疑いレッドブル/RBを追及へ…リカルドのシンガポール最速ラップを巡り
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マクラーレンのザク・ブラウンCEOは、レッドブル系列の2チームがシンガポールGPでランド・ノリスから最速ラップポイントを奪うために共謀した疑いがあると考えており、追及する意向を明らかにした。
ノリスはレース終盤に向けて、ファステストラップによるボーナスポイントの獲得が見込まれていたが、レッドブル傘下のRBに所属するダニエル・リカルドが、残り4周でピットインしてタイヤを交換し、ラスト2周でノリスを上回るタイムを記録した。
リカルドはポイント圏外の18位でフィニッシュしたため、ファステストラップによるボーナスポイントを手にすることはなかったが、結果的にノリスから1ポイントを奪う形となった。
これは同時に、2016年から2018年にかけてリカルドのチームメイトだったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)への援護射撃となった。
フェルスタッペンとノリスは今シーズンのドライバーズタイトルを争っており、シンガポールGPを終えてフェルスタッペンは、ノリスに51ポイント差でチャンピオンシップをリードしている。
レッドブル・レーシングとRBは同じ親会社の傘下にあり、ブラウンは過去1年に渡って両チームの協力関係に懸念を表明していた。
米RACERによるとブラウンは、こうした行為は許されるべきではないとの考えを示し、「今回が初めてではないし、おそらく最後でもないだろう」「間違いなく問いかけるつもりだ」と語った。
「以前から指摘していた問題が現実に起きていることの証明だと思う。なぜならば、あのピットストップは明らかにポイントの獲得を狙ったものではなかったからだ」
また、英AUTOSPORTによると、マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレア・ステラは、明白な証拠がないためレッドブルとRBが共謀したと決めつけることはできないとしつつも、対処すべき問題があることは確かだと語った。
ステラは「事実関係は把握していない。ただ、RBが最速ラップを狙い、それを達成したのを見ただけだ」と認めた上で、F1はチーム同士が連携し合って争うスポーツではなく、”別個の10チーム”が自チームのためだけに争う「コンストラクターズ選手権」であると指摘し、全てのチームは「完全に自律的」に振る舞わなければならないとして、このことは「間違いなく対処すべき問題」であると語った。
一方で、「私はダニエルに深く共感し、彼を応援しており、友情も感じている。そのため、彼がこのファステストラップを自身の記録に加えることができて喜ばしく思う」とも語った。
疑惑の目が向けられていることについて、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、オーナー企業が同じである以上、チームの所有関係に注目が集まることは「避けられない」としつつも、RBがリカルドにファステストラップを記録させようとした理由は自分たちには知り得ないことだと主張した。
また、レッドブルのセルジオ・ペレスは、チームがファステストラップを狙って、追加のピットストップを行うことを検討していたと明かした。
RBのローラン・メキーズ代表は、次戦アメリカGP以降にリカルドがリアム・ローソンと交代する可能性を考慮し、花道を飾るチャンスを与えたいとの想いから、決断を下したと説明した。
レース後の会見では、レッドブル/RBに対する批判的な発言を引き出すことを狙ったと思われる質問もあったが、ノリスはボーナスポイントがリカルドに奪われたことを「不公平」とは感じていないと主張した。
「これがF1なんだ。僕が生まれる前から、たぶんずっとそうだろうし、何も文句はない」とノリスは語った。
「僕らは他のドライバーからポイントを奪い合う競技をしてるんだ。だから、彼らの行動は論理的だし、賢いやり方だと思う。それにダニエルのことを思えばハッピーだよ」
現時点では、一つの企業が複数のF1チームを所有することを禁止するルールはなく、また、あるチームが、別のチームの選手権争いを助けるために意図的に最速ラップを狙うことも禁止されていない。