ユベールの訃報にF1界から悲しみの声続々「我々が愛するモータスポーツは時に残酷…」インディカーも黙祷
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才能あふれる若き才能がレース中のクラッシュによってこの世を去った。30日にスパ・フランコルシャンで開催されたFIA-F2選手権ベルギー大会のレース1で、BWTアーデンから出走したアンソニー・ユベール(アントワーヌ・ユベール)が22歳で死去した。
同じスパ・フランコルシャンでは現在、F1世界選手権第13戦ベルギーGPが開催されており、ユベールの訃報にドライバーをはじめとする全ての関係者が心を痛めた。アレックス・アルボンやシャルル・ルクレール、ジョージ・ラッセルらは、ジュニア時代にユベールと凌ぎを削った間柄だった。
ユベールと同じく事故に巻き込まれたフアン・マヌエル・コレアは、軽度の脊椎損傷と下肢骨折の手術を受けた後、集中治療室へ。安定した状態にあることが確認された。
© FIA FORMULA 2 / ユベールとエステバン・グティエレス、ヤス・マリーナ・サーキットで行われた2018年アワードにて
事故発生から1時間半後にユベールの死亡が確認され、FIA国際自動車連盟からその事実が発表された。ホンダF1はいち早くこの知らせに反応し、現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクター名義で追悼の言葉を発表した。
「本日のF2決勝レースでの事故によるアントワーヌ・ユベール選手の逝去に際し、Hondaを代表して同選手のご冥福をお祈りするとともに、ご家族、ご友人の皆様に心からお悔やみ申し上げます。
また、負傷されたファン・マヌエル・コレア選手の、少しでも早い回復をお祈りいたします」(Honda F1 田辺豊冶)
ホンダのF1パワーユニットの供給を受けるスクーデリア・トロロッソとレッドブル・レーシングも、ユベールに追悼の意を表した。アーデンはクリスチャン・ホーナー代表が、1997年に設立したレーシングチームだ。
「悲しい事にモータースポーツ界は、フォーミュラ2ドライバーのアンソニー・ユベールを失った。これは、モータースポーツコミュニティ全体にとって本当に悲しい事だ。スクーデリア・トロ・ロッソを代表して、困難な時期にある彼の家族や友人に心から哀悼の意を表したい。と同時に、ファン・マヌエル・コレアの回復を願っている」(トロロッソ / フランツ・トスト代表)
「今日のスパでのアンソニー・ユベールの悲劇的な死は、我々が愛するモータースポーツが時として、如何に残酷かを思い出させる出来事だ。アンソニーはルーキー・シーズンにも関わらず、今年モナコとフランスで勝利を上げ、将来のスター候補である事を感じさせていた。Aston Martin Red Bull Racingを代表して、彼の家族、ルノー、そして私と親しいBWT Ardenチームに思いを馳せると共に、ファン・マヌエルと彼の家族にも思いを馳せたい」(レッドブル / クリスチャン・ホーナー代表)
ユベールは2018年にルノースポーツアカデミーの育成プログラムに加入。ルノーF1チームのシリル・アビテブール代表もまた、彼の死を悼む声明を発表した。この事故を受けて、メルセデスやルノー等、一部のF1チームは定例会見をキャンセル。通常のプレスリリースを取りやめ、ユベールへの追悼の声明を発表している。
訃報が駆け巡る中、ポートランドのプラクティス3及び予選を迎えた佐藤琢磨が参戦しているインディカー・シリーズは、参戦ドライバー、チームスタッフ、セーフティーマーシャルら全員で黙祷を捧げた。
© Indycar / Joe Skibinsk