F1カナダGP、シーズン開幕担うか?決断のタイムリミットは4月第2週
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F1アゼルバイジャンGPの延期が発表された事で、現時点で2020年シーズンのF1開幕の大役はカナダ・モントリオールでのレースが担う事となった。F1カナダGPの現地プロモーターは予定通りの開催を望む一方で、中止の場合は4月第2週までに決断を下す見通しである事を明らかにしている。
カナダ政府の発表によると、現地3月24日午後6時時点での同国内における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の確定症例数は累計1,959名で、疑わしい人の数を含めると2,792名に上り、亡くなった方は27名に達している。
現地プロモーターであるオクタン・レーシング・グループのフランソワ・デュモンティエ社長は24日(火)に行われた電話会談の中で「決断を下すまでに3週間の猶予がある」と述べ、イースターの週末までに中止か開催かを最終決定する見通しである事を明らかにした。カナダ・トロントの地元紙が24日に伝えた。
デュモンティエは更に「それまでに状況が改善されれば、予定通りに会場の設営に取り掛かる事ができる。今はスタッフ全員が自宅で仕事をしているが、許可が出ればすぐに動員できる。モナコやバクーは街中を使ってサーキットを作らなければならないが我々は違う。我々にはコースがあるし楽観的だ。だが、物事は刻一刻と変化する事も承知している」と述べ、スケジュール通りの開催について楽観視な見方を示した。
F1のチェイス・キャリー最高経営責任者は、カレンダーを事実上の白紙状態とし、延期されたレースを可能な限り再配置することで年間15~18戦を開催したいとしている。デュモンティエは延期開催の可能性について「理想的ではないが可能性としてはあり得る。ただし10月中旬以降になればそれは不可能だろう」と述べ、サマーブレイクの前倒しによって空いた8月中が現実的だとの見解を示した。
モントリオールの夏は長く温かいものの、冬は降雪が多く11月の日中の平均気温は6度にまで低下する。この温度帯でピレリタイヤをワーキングレンジに入れる事は難しい。
最終的に延期発表がなされたものの、バーレーンGPは当初無観客レースとして開催される予定であった。この点についてデュモンティエは、カナダGPを無観客で開催する意思はないことを明らかにした。チケットの売り上げは「非常に好調であった」との事だが、パンデミック以降は販売が落ち込んでいるのだという。
ジル・ビルヌーブ・サーキットでのグランプリが予定通りに開催されれば、2020年シーズンのF1世界選手権にとって初のレースとなる。開幕戦のオーストラリアGPは中止発表が行われ、その後のバーレーン、ベトナム、中国、オランダ、モナコ、スペイン、アゼルバイジャンの7レースは延期と発表されている。
欧州でのコロナウイルスの被害は急速かつ深刻に拡大しており、現時点ではカレンダーに残っている6月26日~28日のフランスGPもまた延期が濃厚とみられる。6月頭に予定されていたル・マン24時間レースは9月19日~20日へと延期された。
主催者はカナダGPの期日通りの開催に期待感を示しているが現実的な見通しは明るくない。イベント開催のためにはカナダ国内だけでなく、F1チームの大多数が拠点を置くイギリスやイタリアなど、関係各国の流行状況の好転と収束が必要不可欠だが、いずれも先行きは不透明だ。