新F1監督のヴィティヒ、初仕事のバーレーンGPでトラックリミットを緩和…マシとは異る方針

バーレーン・インターナショナル・サーキット、2022年3月17日F1バーレーンGPにてCourtesy Of Alfa Romeo Racing

F1レースディレクターを務めるニールス・ヴィティヒは2022年シーズンの開幕F1バーレーンGPにおけるトラックリミット規定を緩和し、前任のマイケル・マシとは異る方針を示した。

昨年の最終アブダビGPでの物議を経て国際自動車連盟(FIA)は今年、マシを解任してエドワルド・フレイタスとニールス・ヴィティヒの2名を新たなF1レースディレクターに任命した。

これはグランプリ毎の交代制で、バーレーン・インターナショナル・サーキットでの今季初戦は、FIA公認シリーズのレースディレクターとして8年以上の経験を持つヴィティヒがレースを捌く。

昨年のバーレーンGPではトラックリミットが論争を招いた。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)が決勝レース中に29回に渡ってターン4のコース外に出ながらも罰則が科されなかったのに対し、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は同じ場所でコース外に膨みハミルトンを抜いた際、アドバンテージを得たとしてポジションを返上しなければならなかった。

マシはバーレーンGPにおける細かな規範・指示を示したイベントノートの中でターン4にトラックリミットを設定し、違反した場合にラップタイムを無効とする旨を提示する一方、決勝レースは監視の対象外としていた。

だが、レース中にレッドブルがハミルトンのドライビングについて問い合わせると、レースコントロールは方針を転換したかのようにメルセデスに警告を発し、最終的にはフェルスタッペンがコース域外走行で利を得たと判断された。

順位返上により惜しくも優勝を逃したフェルスタッペンはレース後、「レース中にルールを変更すべきではない」などと批判。トラックリミットの運用を巡って議論が起こった。

マシはトラックリミットに関するルールを3段落で事細かに定めていたが、ヴィティヒはF1レースディレクターとしての初仕事でこれをシンプルに1行でまとめ「33条3項に基づき、白線をコースの端と定める」とのみ記した。

F1競技規定の同条項は「ドライバーはコース上を走るために常にあらゆる合理的な努力をしなければならず、正当な理由なくしてコースを離れてはならない」と定めている。

また、白線はコースの一部である一方、縁石はそうではないと明示すると共に「コースとクルマが接している部分が一つもない場合、コースを離れたものと判断する」とも記されている。

つまりヴィティヒはマシとは異なり具体的な線引をせず、個々の事例に合わせて臨機応変に判断を下すスタイルでバーレーンGPを仕切る心づもりのようだが、これはFIAが今シーズンを通して貫こうとしている基本的な考え方と思われる。

無論、レイアウト的に具体的な指示が設けられる事もあるだろうが、各レースごとにトラックリミットに関する設定が大きく異れば批判の槍玉に挙げられかねない。フレイタスがレースディレクターを務めるレースでも、基本的には同様の方向性が示されるのではないだろうか。

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