協力関係は終わらない!アルファタウリ、Red Bull Powertrainsによるエンジン継承に小躍…ホンダにとっても「インセンティブ」

イタリア・モンツァ - 2020年9月6日:ホンダF1の山本雅史マネージング・ディレクターとスクーデリア・アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストcopyright Red Bull Content Pool

アルファタウリの首脳陣は2022年以降もホンダ製F1パワーユニット(PU)技術の継続使用が可能となった事を歓迎すると共に、ホンダにとっても「大きなインセンティブ」になるとの考えを示した。

レッドブルは2022年からのPU開発凍結の合意を受け、ホンダPUの資産を引き継ぎ、これを運用していくための新会社「レッドブル・パワートレインズ(Red Bull Powertrains)」を設立した。エンジン名こそ「レッドブル・エンジン」と変更されるが、来季以降もホンダの技術がF1の表舞台に残る事となった。


© Red Bull Content Pool

アルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは新車「AT02」の発表に際し、今季末でのホンダのF1撤退について改めて無念の思いを口にすると共に、PUの継続搭載はレッドブルとアルファタウリにとって「最善の解決策」であり、それと同時にホンダにとっても今季型PU「RA621H」の開発を進め、運用していく上での大きな励みになるはずとの考えを示した。

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HRD-Sakuraのエンジニア達は過去数年に渡って素晴らしい仕事をしてくれていたし、現在のホンダパワーユニットは信頼性が高く、同時に本当に高いレベルの競争力を持っている。それだけにホンダが今シーズン末を以て活動を終えるのは残念だ」とフランツ・トストは語る。

「競争力の高いパワーユニットを生み出すべく、ホンダはたゆまぬ努力を重ねハイブリッド技術に集中的な投資を行ってきた。我々の関係はどんな時であれ非常に有効に機能していたし、楽しいものだった」

「だからこそ、ホンダが2021年末での撤退を決断したことはチームにとって非常に残念な事だった」

「しかしながら、この協力関係が終わることなく、新たに設立されたレッドブル・パワートレインズを通じて2022年以降もホンダのパワーユニット技術を使い続ける事になると聞いて本当に嬉しく思っている」

「FIAとF1の経営陣、そして全チームが、来年初頭からのエンジン開発の凍結について全会一致で合意した事がこれをもたらしてくれた。感謝したい」

「これは2025年に次世代エンジンが導入されるまでの間、スクーデリア・アルファタウリとレッドブル・レーシングの将来にとって最善の解決策だと信じている。またホンダにとっても、最後のシーズンで最高の結果を出すための大きなインセンティブにもなる」

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ホンダのパワーユニットを引き続き使用する事の意義について、テクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントンは「本当に素晴らしいニュース」とした上で次のように説明する。

「すでに使い慣れたPUを使用することで競争力を維持することが可能だ。(パワーユニットを他社から購入する)カスタマーチームになると、シャシー開発などにおいて妥協を強いられる事が多く、それがクルマの真のパフォーマンスを阻害することがある」

「レッドブル・パワートレインズ社を通じてPUを内製化することで、考えうる最高のパッケージを維持することができる」

なおホンダの2021年最終型パワーユニット「RA621H」は、ホンダがV6ハイブリッド時代に培ったノウハウの”全てを出し切るべく”開発が進められており、ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターによると、ダイナモテストでの数値は「期待通り」との事で、バーレーンでのプレシーズンテストに向けて順調に推移している。

フランツ・トスト代表は「我々は今年、更に開発が進められたホンダのパワーユニットを得る事になる。私はこれがスクーデリア・アルファタウリとレッドブル・レーシングの両方のパフォーマンスを向上させると期待している」と期待感を口にした。

ジョディ・エギントンもまたフランツ・トスト代表と同意見で「実際のところ、ホンダが今年持ち込むパワーユニットは新型であり、彼らは2021年の最後の最後までプッシュし続けるとの強い意志を持ち合わせている。ホンダパワーユニットは求められる全てのものを最後まで提供し続けてくれるはずだ」と付け加えた。

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