ルクレール「受け入れがたい」大一番でのトラリミ違反が招いた絶望的状況、逆転王座に向けた”最後の一手”を検討するフェラーリ
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逆転のコンストラクターズ選手権タイトルが懸かった大一番でトラックリミットに違反したことについて、シャルル・ルクレール(フェラーリ)は「受け入れがたい」としながらも、自身の責任を認めた。
21ポイントのリードを持つマクラーレンに打ち勝つために、フェラーリには完璧な週末が求められていた。だが、初日にはES(バッテリー)の故障によりルクレールに10グリッド降格ペナルティが科され、さらに予選ではトラックリミットにより衝撃のQ2敗退と、予選を終えて希望は大きく損なわれた。
ルクレールがQ2終盤に記録した1分22秒980はトップ通過に十分なタイムだったが、ターン1の出口でわずかにトラックリミットを超えたため抹消された。同じターン1ではセルジオ・ペレスとオスカー・ピアストリもタイム抹消に直面したが、2人のタイムは後に復活。一方、ルクレールのタイムは復活することはなく14番手に終わった。
10グリッド降格ペナルティが加わった結果、ルクレールは日曜の決勝を19番グリッドからスタートすることになった。
ルクレールは「もちろん、良い気分じゃない。受け入れがたいことだし、エンジンペナルティに加えて、ラップタイムの抹消まで重なるなんて。このタイミングでこんなことになるなんて、本当にどうかしてる」とは振り返り、「これは当然、僕のミスだ」と認めた。
フェラーリにとって、予選結果は厳しい現実を突きつけるものとなった。ライバルのマクラーレンはランド・ノリスとオスカー・ピアストリが最前列を独占。一方、フェラーリはカルロス・サインツが3番手を獲得したものの、ルクレールは19番手という絶望的な状況でスタートを迎える。
それでもルクレールは「明日のレースでは、この状況をひっくり返すために全力を尽くすつもりだ」と誓う。
「本当に厳しいレースになると思うけど、何だって可能だと信じているし、最後の最後までその気持ちは変わらない。だから特別な日曜日にするために、できる限りのことをしてみせる」
マクラーレンとのコンストラクターズタイトル争いをひっくり返すためは、単に抜群のパフォーマンスを発揮するだけでは不十分だ。特に、19番手スタートのルクレールの状況を考えれば、戦略的なリスクを取る必要があり、そのリスクを成功に結びつける完璧な運営が求められる。
さらに、ライバルであるマクラーレンに何らかの不運が生じることが不可欠と言える。両ドライバーが揃って最前列を確保している現状では、マクラーレンがポイントを大量に獲得する可能性が高く、逆転のためには両ドライバーのいずれか、あるいは両方が、トラブルやミスで上位から脱落するような事態が必要だろう。
なおフェラーリは、ルクレールの奇跡的な巻き返しと逆転の王座獲得に向けて、パワーユニットの追加交換を検討している。
フレデリック・バスール代表は決勝に向けて「彼のパワーユニットをどうするかについて評価を行うとともに、彼が集団から離れてクリーンエアーの中で走れるような戦略を考えるつもりだ」と語った。
後方スタートが確定している現状、パワーユニットの交換は決勝でのパフォーマンスを最大化するための選択肢として合理的だ。よりフレッシュなエンジンで優れたストレートスピードを確保できれば、レース中の追い上げの助けとなる。
2024年F1アブダビGP予選では、ランド・ノリスがポールポジションを獲得。2番手にオスカー・ピアストリが続き、マクラーレンが最前列を独占した。3番手にはカルロス・サインツ(フェラーリ)が続いた。
決勝レースは日本時間12月8日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周5,281mのヤス・マリーナ・サーキットを58周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。