その差僅か4.8秒…フェルスタッペン、FIAの介入が生んだマクラーレンの接近

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年10月8日F1カタールGP決勝レース(ロサイル・インターナショナル・サーキット)

2023年F1カタールGPで優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と2位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)との差は4.8秒に過ぎなかった。3度のF1王者がシーズンを通して後続に20秒近い差をつけてトップチェッカーを受けてきた事を踏まえると、レッドブルの優位性の低下と見て取る事もできるが、フェルスタッペンはFIAの介入による影響を指摘する。

確かにセーフティーカー(SC)は導入されたが序盤の1回のみだった。ピアストリに対する4.833秒という差は残りの53周でついたものだった。1周あたりに換算すると僅か100分の9秒だ。それはフェルスタッペンが最終ストップで失った約1.5秒の遅れを考慮に入れても、さほど大きく変わるものではない。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台に上がる優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼ、2023年10月8日(日) F1カタールGP(ロサイル・インターナショナル・サーキット)

2戦連続のダブル表彰台を獲得するなど、確かにマクラーレンはアップグレードが投入された7月のオーストリアGP以降、メルセデスやフェラーリ、アストンマーチンを交わして名実ともに2番目のチームとしての地位を確立しつつある。

ただカタールGPの4.8秒差を以て、マクラーレンが今後、レッドブルやフェルスタッペンと互角の争いを繰り広げられると断言できるかと言えば、それは難しいだろう。

フェルスタッペンは、タイヤに関する安全上の懸念からFIAがレース直前になって導入を決定した事実上の3ストップ義務化ルールが4.8秒という僅差の一因と考えている。

「個人的に言えば3ストップの義務化は理想的とは言えなかった。僕らのクルマはタイヤに優しいのが強みの一つだからね」とフェルスタッペンは振り返る。

「僕らは大抵、ロングスティントを取ってタイヤを労るんだけど、今日はスティントが大きく制限されていたからその方法が取れなくて、エンジニアからはもう少しペースを上げろって言われる場面もあった」

「ハードタイヤのスティントでは最後の2、3周でトラフィックを攻略するのに手間取って、かなりのタイムをロスしてしまった。それに最後のピットストップも遅かった」

フェルスタッペンは知らず知らずのうちに、いつも通りの感覚、つまり18周ではなく30周程度で1セットを使い切る際の身体感覚でドライブしていたのかもしれない。

対照的にマクラーレンの2人のドライバーは、各スティントが最大18周に制限された事でタイヤのデグラデーションを気にする必要がなくなり、結果として57周の全てで予選のようにプッシュし続けたと説明した。

「常にスピードを上げるだけのペースはあった。後ろの状況についてはよく分からないから、後で映像を見直してみる必要があるけど、もし本当にその必要があったなら、もう少しペースを上げられたと思う」とフェルスタッペンは続ける。

「でもマクラーレンを貶めたいわけじゃないんだ。彼らは素晴らしい仕事をしているし、僕らから見ても、どんどん接近しているのがわかる。少しでもギャップを維持できるように頑張らないとね」


2023年F1第18戦カタールGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季14勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。2位はオスカー・ピアストリ、3位はランド・ノリスと、前戦日本GPに続きマクラーレンがダブル表彰台に上がった。

サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)を舞台とする次戦アメリカGPは現地10月20日のフリー走行1で幕を開ける。

F1カタールGP特集

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