あのフェルスタッペンがF1モナコで1度もペレスを上回れなかったのは何故か?
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マックス・フェルスタッペンは屈指のドライバーズ・サーキットと称されるモンテカルロ市街地コースで行われたF1モナコGPで、プラクティスと予選を含めた全てのセッションで僚友セルジオ・ペレスの後塵を拝した。
ペレスが今季型RB18を乗りこなし始め、チームメイトに匹敵する水準の競争力を掴んだということなのか? はたまた、フェルスタッペンが何らかの課題を克服できずにいただけなのだろうか? 以下はモナコでの各セッションの両ドライバーの成績だ。
セッション | フェルスタッペン | ペレス | 差 | ||
---|---|---|---|---|---|
順位 | タイム | 順位 | タイム | ||
FP1 | 4 | 1:14.712 | 2 | 1:14.570 | 0.142 |
FP2 | 4 | 1:13.103 | 3 | 1:13.035 | 0.068 |
FP3 | 4 | 1:12.881 | 1 | 1:12.476 | 0.405 |
予選 | 4 | 1:11.666 | 3 | 1:11.629 | 0.037 |
決勝 | 3 | 1:56:30.265 | 1 | 1:56:31.756 | 1.491 |
何もフェルスタッペンはモナコを苦手としているわけではない。実際、前回大会の2021年のウィナーはフェルスタッペンだ。では何故、一度たりともチームメイトを上回れなかったのだろうか?
フェルスタッペンが劣勢を強いられていた理由について、予選を前にSky Sportsで解説を務めているポール・ディ・レスタはフロントのグリップ不足を指摘した。
「アンダーステアに苦しんでいて、クルマをコントロールできていない。フロントエンドが弱いとマックスが速く走れない事は分かっている。だからセルジオに先を越されたんだと思う」
「これはクルマの中ですぐにどうこうできるものじゃない」
リアがナーバスな先代のRB15~16でフェルスタッペンがチームメイトに対してパフォーマンスで先行していたのは、フロントのグリップを頼りにクルマを感じ、操るスタイルに負うところがあった。
フェルスタッペンの父、ヨスの発言は、ディ・レスタの見解が正しい事を裏付ける。
ヨスは2度の赤旗中断に見舞われた混乱の決勝レースを終え、フェルスタッペン公式サイトのコラムの中で「マックスの3位には本当にガッカリだが、彼にとって難しい週末であった事は誰の目にも明らかだった」と綴った。
「その原因はマシンに起因する。単純に彼のドライビングスタイルに合った特性をまだ備えていないんだ」
「フロントアクスルのグリップが少な過ぎた。ショートコーナーだらけのモナコでは特に素早く曲がれるクルマが要求される。兎に角、ハードだった」
車体重量の増加に加えて、より重く、たわみが少ない18インチ扁平タイヤを履く今季のグランドエフェクトカーは全体としてアンダーステア傾向にある。
サスペンション関連の規制改定により、ステアリングをロックさせた際に低速コーナーでフロント側のライドハイトを理想的な高さにまで下げられずグリップが不足している事もあり、アンダーを嫌うドライバーは特にモナコで苦戦を強いられた可能性がある。
初日を終えてチーム代表のクリスチャン・ホーナーは、フェルスタッペンの課題はターン1にあると説明した。時速110km程度の低速サン・デボーテへのアプローチでフェルスタッペンは、しばしばブレーキングに苦しみ、フロントタイヤをロックアップさせていた。