フェルスタッペン、ベッテルの目の前で「史上最年少F1チャンピオンの実現は遠のいた」

左からクリスチャン・ホーナー代表、マックス・フェルスタッペン、ヘルムート・マルコ、2020年F1オーストリアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは2020年シーズンの初戦を終えて、セバスチャン・ベッテルが持つ23歳134日という史上最年少F1ワールドチャンピオン記録の更新は非常に難しいとの認識を示した。今年の9月に23歳の誕生日を迎えるオランダ人ドライバーにとって、記録更新のチャンスは今年が最後となる。

優勝候補の一角として、レッドブル・リンクで開催された4ヶ月遅れのシーズン開幕戦に臨んだフェルスタッペンは、堅実なスタートを切ってバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)に続く2番手を走行していたものの、電気系統のトラブルに見舞われ、レース開始早々にリタイヤを強いられた。

史上最年少F1チャンピオンの実現は遠のいた

今シーズンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でカレンダーが未だフィックスしておらず、F1のチェイス・ケアリーCEOは15戦は固いとしているものの、現時点では8レースしか掲載されていない。最終的に8戦を超えるレースが開催される可能性は高いものの、不確実で流動的な状況が収まる気配はない。

ホスト国における新型肺炎の流行如何によっては更なる中止の可能性もあるだけに、尻上がりに調子を整えていくスタンスではチャンピオンシップに勝つことは難しく、リタイヤは例年以上に致命傷へと発展する可能性がある。

失望の決勝レースの翌日6日(月)の夜、クリスチャン・ホーナー代表、ピエール・ガスリー、そしてセバスチャン・ベッテルと共にオーストリアのテレビ局ServusTVの「Sport & Talk」に出演したフェルスタッペンは初戦を次のように振り返った。

「今はもう落ち着いたけど、日曜日のレースは残念な結果に終わってしまった」

「いつだってリタイアのリスクはあるわけだけど、今年は開催されるグランプリの数が凄く少ないから特に残念だよ。僕はあの時(先頭を走るバルテリ・ボッタスとは)別の戦略をとって2番手につけていたわけで、その後レース中に起こった全ての事を考えれば、何だってあり得た。とは言えそれは仕方がないことだし、次のレースはすぐだし様子をみていきたい」

この日のレースでは陣営を問わずメカニカルトラブルが大量発生し、無事にフィニッシュラインを駆け抜けたのは僅か11台であった。

史上最年少記録について質問されたフェルスタッペンは「なるようになるものだと思うけど、先週末のレースを終えて(史上最年少記録の更新を)達成するのはかなり難しくなったと言える。まだ終わったわけではないけど、来週末のレースでは大量ポイントを獲得しなきゃならない」と答えた。

仮に今年、チャンピオンが獲得できなかったとしても、22歳の若者の旅路はまだ始まったばかりだ。向こう5年を見据えた場合、誰が最大のライバルかと問われたフェルスタッペンは「良いドライバーはたくさんいるけど、最終的に重要なのはドライバーよりもクルマの方だ。過去5年に渡ってメルセデスからワールドチャンピオンが出ている事を見れば明らかなようにね」と返した。

フェラーリ離脱、マルコに電話をかけたベッテル

スタジオにはレッドブル・リングのメディアセンターが使われ、フェルスタッペンの右隣には去就の話題が尽きないベッテルが座っていた。

昨シーズンより度々古巣への復帰の憶測が流れてきたベッテルは、フェラーリのマッティア・ビノット代表からの契約解除の連絡を受けてすぐ、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコに電話を掛けた事を明かした。

ただしそれはファンへの朗報ではなかった。ベッテルはコンタクトを取った事について、来季以降の契約交渉のためではく、長年に渡って良好な関係を築いてきたマルコに助言を求めたためだと説明した。

既報の通り、ダイムラーのオラ・ケレニウス会長はルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスを続投させる意向を示しており、いずれかのドライバーがこの申し出を辞退しない限りベッテルが選択肢に加わる可能性はないとしている。

ベッテルはミッドフィルダーへの移籍の他に、サバティカルと引退の3つの選択肢を評価していると説明した。

初戦でのRB16の競争力と注目の”DAS”

レッドブル・リンクでの第1レースでは、最大のライバルと目されていたメルセデス勢がギアボックスに深刻な問題を抱え、レース中盤からチェッカーフラッグにかけてパフォーマンスの制限を強いられた。それだけに、トラブルフリーで生き残る事ができていれば優勝のチャンスも大いにあったとみなせるが、純粋な競争力という点でレッドブル・ホンダRB16はまだ、ブラック・アローには達していない。

フェルスタッペンは初戦でのRB16のスピードについて「悪くはなかったけど、もっと改善したいと思ってる。シングルラップ(予選一発)でのメルセデスは速すぎて、僕らは遅れを取っている」と語り、第2レースに向けてギャップを縮めていきたいとした。

レースでの真っ向勝負は実現しなかったものの、決勝のスタートシグナルへと至る道中にはルイス・ハミルトンの黄旗無視への再審議要求や、2軸ステアリングシステム=DASに関する国際自動車連盟(FIA)への正式抗議など、開幕戦らしい場外乱闘もみられた。

クリスチャン・ホーナー代表は、合法認定されたDASのRB16への搭載の可能性をほぼ除外しているが、フェルスタッペンはどのように考えているのか?

「DASシステムは欲しいか?」との質問が飛ぶとフェルスタッペンは「具体的に何をするための装置なのか分からない(から答えようがない)」と交わした。

F1オーストリアGP特集

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