2台失格の衝撃…フェルスタッペン、通算50勝!角田裕毅は死に物狂いの最速入賞 / F1アメリカGP《決勝》結果とダイジェスト

キャリア通算50勝目を挙げたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2023年10月22日F1アメリカGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

2023年FIA-F1世界選手権第19戦アメリカGP決勝レースがオースティン現地10月22日(日)に行われ、予選6番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転の今季15勝目を飾った。角田裕毅(アルファタウリ)は自身初のファステストラップと共に10位でフィニッシュし、2台の失格処分を経て8位入賞を果たした。

フェルスタッペンはサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)での56周のレースで終始、ブレーキングに苦しみながらもルイス・ハミルトン(メルセデス)を2.225秒差で退けキャリア通算勝利数を50勝とし、2012年の初開催以来、COTAで初めてフロントロウ以外からトップチェッカーを受けたドライバーとなった。

2位はハミルトンにとって6月初旬のスペインGP以来の最高成績であったが、フロア下に取り付けられているプランクと呼ばれる板の厚みが、技術規定で許されている9mmより薄い事がレース後に発覚。この違反によってシャルル・ルクレール(フェラーリ)と共に失格処分を受けた。この結果、カルロス・サインツ(フェラーリ)が3位表彰台に昇格した。

2番グリッドのランド・ノリスはオープニングラップのターン1で首位に躍り出るも、デグラデーションに苦戦。持ち堪える事ができなかった。ただそれでも3位フィニッシュ(2位昇格)と、4戦連続の表彰台に上がり、アストンマーチンを逆転してマクラーレンをコンストラクター選手権4位に浮上させた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)の表彰台に上がった2位ルイス・ハミルトン(メルセデス)、レッドブルのジョン・ハモンドと優勝したマックス・フェルスタッペン、3位ランド・ノリス(マクラーレン)、2023年10月22日F1アメリカGP決勝レース

11番グリッドの角田裕毅は序盤からポイント圏内を争うパフォーマンスを発揮。終盤に向けてはアストンマーチン勢に追い抜きを許して一旦、11番手に後退するも、フェルナンド・アロンソがフロアのダメージにより失速、リタイヤした事で入賞圏内に復帰した。

そして後続のアレックス・アルボン(ウィリアムズ)に対する膨大なギャップを利用してラスト2周でソフトタイヤに履き替えると、最終周に自身初となる1分38秒139のファステストラップをマーク。死物狂いで7月のベルギー以来、6戦ぶり、今季最上位の8位で入賞を果たすと共に、チームに貴重な1点のボーナスをもたらした。

チームメイトのダニエル・リカルドは1ストップ狙いだったのか、それとも変則の2ストップだったのか、いずれにせよ残り8周でソフトに履き替える戦略により最下位17位(15位昇格)でフィニッシュした。

唯一、1ストップ戦略をやり抜いたポールシッターのルクレールは残り4周でセルジオ・ペレス(レッドブル)に5位を奪われ、0.3秒という僅かの差でジョージ・ラッセル(メルセデス)を抑えて6位フィニッシュするのが精一杯であったが、前述の理由により失格となった。

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)はランス・ストロール(アストンマーチン)をコンマ7秒差で抑えて8位でフィニッシュ(6位昇格)した。

2台の失格によりアレックス・アルボンが9位、ローガン・サージェントが10位に繰り上がり、ウィリアムズがダブルポイントを獲得した。サージェントにとってはキャリア初のポイント。米国人ドライバーが入賞するのは1993年イタリアGPでのマイケル・アンドレッティ以来、30年ぶりの事だった。

アストンとハースの計4台はパルクフェルメ規定違反を犯してセットアップを変更。揃ってピットレーンからスタートした。

ブレーキトラブルによってアップグレードを評価・検証できずに厳しい週末を過ごしていたアストンはアロンソのAMR23を旧スペックに戻した。同じく大規模改良を投じたハースも理解が追いつかず、2台のリア周りを変更した。

エステバン・オコン(アルピーヌ)とオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は1周目のS字での高速バトルの最中に接触。しばらくは走行を続けていたものの、各々ダメージが大きくリタイヤした。

レース概要

現地オースティンは晴れ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温30℃、路面42℃のドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは2番目に柔らかいレンジのC2からC4までのコンパウンドを投入。ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)とストロールはハード、それ以外の18台はミディアムをスタートタイヤに選んだ。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年10月22日にサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われたF1アメリカGPでの各ドライバーのタイヤ戦略

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年10月22日にサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われたF1アメリカGPの気温と路面温度変化

ノリスはスタート直後にルクレールを交わし、自身通算100回目のグランプリで完璧なスタートを切った。

角田裕毅は一旦、周冠宇(アルファロメオ)にポジションを奪われるも、すぐにこれを取り返した。そして4周目に、ピアストリとの接触によりサイドポッドにダメージを負ったオコンを交わして10番手に浮上。オコンは7周目、ピアストリは11周目にリタイアした。

同じく4周目、サインツはハミルトンとフェルスタッペンに相次いでオーバーテイクを許した。ハミルトンは6周目にルクレールを交わすと、首位ノリスの後方3.3秒の位置に踊り出た。

10周目、後方の11番手、周冠宇が先陣を切ってピットイン。ハードタイヤに履き替えたが、アルファタウリは反応せずに角田裕毅をステイアウトさせた。

フェルスタッペンは11周目にルクレールを攻略して表彰台圏内3番手に浮上。17周目には上位勢として一番最初にピットストップを行い、2セット目のミディアムを装着した。

すると翌周にラップリーダーのノリスがピットイン。サインツとペレス、角田裕毅もこれに続いてタイヤ交換に動いた。ノリスはハード。角田裕毅もハードに履き替え、周冠宇を抑えて13番手でコースに復帰した。

メルセデス陣営は当初、1ストップを検討していたが、21周目にハミルトンをピットストップさせた。5番手でコースに戻った事でフェルスタッペンが事実上の2番手に浮上した。翌周にはラッセルもピットストップを消化。同じく2ストップに切り替えた。

ミディアムを履くフェルスタッペンはノリスのDRS圏内に迫り、折り返し地点、56周のレースの28周目のターン12でインに飛び込み、不意を突いて首位に躍り出た。

それでもノリスはプッシュし続け1秒以内を保っていたが、徐々に遅れ出すと35周目という早い段階で再びハードを装着。レッドブルはアンダーカットを許さず翌周にカウンターを打ち、ノリスの2秒前方でフェルスタッペンを復帰させた。

36周目には9番手を走行していた角田裕毅がミディアムタイヤに交換。第1スティントを23周目まで引っ張り、第2スティントを走行中のリカルドの前方5秒の位置でコースに戻った。

43周目、最後のピットストップを終えてハードに履き替えたアロンソが角田裕毅の1.5秒後方の位置でコースに復帰。44周目にこれを交わして9番手に浮上した。角田裕毅は47周目にストロールにも追い抜きを許し、ポイント圏外11番手に弾き出された。

だが、アロンソがクルマのトラブルを報告。スローダウンした事で10番手を取り戻した。2度のF1王者は残り7周でリタイヤした。

3番手につけるハミルトンはノリスとの差をジワジワと詰めていき、終盤に向けて激しい2位争いを展開。49周目のターン2でアウト側から大胆なオーバーテイクを決めた。

ブレーキに苦戦し続けていたフェルスタッペンは、ブレーキング中にレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼが無線を通して話しかけようとするたびに激怒していたが、何とかハミルトンを振り切って今季15勝目をマーク。昨シーズンの通算勝利数に並んだ。

2023年F1第19戦アメリカGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 56 1:35:21.362 25
DQ 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 56 +2.225s 0
2 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 56 +10.730s 18
3 55 カルロス・サインツ フェラーリ 56 +15.134s 15
4 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 56 +18.460s 12
DQ 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 56 +24.662s 0
5 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 56 +24.999s 10
6 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 56 +47.996s 8
7 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 56 +48.696s 6
8 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダRBPT 56 +74.385s 5
9 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 56 +86.714s 2
10 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 56 +87.998s 1
11 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 56 +89.904s 0
12 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 56 +98.601s 0
13 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 55 +1 lap 0
14 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 55 +1 lap 0
15 3 ダニエル・リカルド アルファタウリ・ホンダRBPT 55 +1 lap 0
NC 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 49 DNF 0
NC 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 10 DNF 0
NC 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 6 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温30℃
路面温度42℃
周回数56

セッション概要

グランプリ名 F1アメリカGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 サーキット・オブ・ジ・アメリカズ
設立 2012年
全長 5516m
コーナー数 20
周回方向 反時計回り

F1アメリカGP特集

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