フェルスタッペンへの謝罪は不要、とルイス・ハミルトン…レッドブルの批判にも反論
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メルセデスのルイス・ハミルトンは、F1イギリスGPでのクラッシュによって病院に搬送されたマックス・フェルスタッペンの容態を気遣う一方で、インシデントに関して自身に非はないとして謝罪は不要との考えを示した。
今年のイギリスGPは珍しくも3日間を通して晴天に恵まれ、2年ぶりに観客を総動員した行われた18日のシルバーストンでの決勝レースは大波乱の展開で幕を開けた。
2番グリッドのハミルトンはブラックアウトと同時に史上初のスプリント予選を制してポールからスタートしたレッドブル・ホンダのフェルスタッペンを猛追。一進一退の激しい攻防を演じながら高速のコプス・コーナーでイン側を差した。
両者は互いに一歩も引かず、ハミルトンの左フロントが右リアに接触した事でフェルスタッペンは外側に弾き飛ばされ、グラベルを乗り越えて51Gという衝撃でタイヤバリアに激突。敷地内のメディカルセンターでの検査を経て、ヘリコプターで地元のコベントリー病院へと向かい更なる検査を受けた。
スチュワードは映像証拠を見直し、一件の責任はハミルトンにあるとして10秒ペナルティーと2点のペナルティポイントを科す裁定を下した。
この罰則を消化したためにハミルトンは一旦5番手に後退したものの、残り2周でシャルル・ルクレール(フェラーリ)を交わして今季4勝目、イギリスGPでの8勝目を飾った。
レース後のFIA会見の中で謝罪の必要性について問われたハミルトンは、リプレイ映像を念入りに見直した後に考えたいとした上で「今の僕の理解では、僕自身は何かについて謝らなきゃならない立場にはないと思う。僕らはレースをしていたわけだからね」と答えた。
その一方で、あのような形での勝利は「不本意」で、フェルスタッペンが病院に搬送された事を聞き「気がかりに思っている」とも語った。
「誰だって他のドライバーに怪我をさせたいだなんて思ってないし、僕にはそんな意図もない。彼が無事であることを願ってるし、この後、彼に連絡して無事を確認しようと思ってる」
「これからも厳しいレースが続いていくだろうから、適切なバランスを取ることを学ばなきゃならない」
「スチュワードの見解には同意しかねるけど、僕はペナルティを甘んじて受け入れ、自分の仕事に専念する」
「泣き言を言うつもりはない。誰だって各々の意見がある事だしね。僕は他人がどう思うのかは特に気にしていない。自分がやるべき事をやるだけだ」
チャンピオンシップでのリードを大幅に縮められる事となったフェルスタッペンのボス、クリスチャン・ホーナー代表はハミルトンのドライビングを「汚い」「アマチュア」「7度のワールドチャンピオンにあるまじき」と表現。更に「ライバルを病院送りにしておきながら、どうして勝利の満足感など得られようか」と痛烈に批判した。
この事について問われたハミルトンは「クリスチャンに言う事は何もない」とした上で次のように答えた。
「虚しい(勝利)とは思わない。僕のチームには懸命に働く2000人もの人々がいるわけで、当然これは僕だけの問題じゃないんだ」
「さっきも言ったけど、こんな事が起きるのは僕の望むところじゃない」
「誰もが一歩引いてみることが重要だと思う。感情が高ぶっているのは確かだし、ポイントを失うという事がチームにとってどういう事は僕にもよく分かるからね」