角田裕毅、悪戦苦闘のポルトガル…ガスリーと比べて「圧倒的に」曲がらぬクルマに苦戦。スペインでの巻き返しなるか?
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特異な路面と風が悩ましい第3戦ポルトガルGPでのアルファタウリ・ホンダAT02は、イモラまでの2戦とは異なりミッドフィールドのライバル達を圧倒するような競争力がなく、ピエール・ガスリーと角田裕毅は口を揃えて「厳しい週末」だったと評した。
2台ともにトップ10圏外で終えた初日FP2を経て、フランツ・トスト代表は「遅すぎる」との厳しい評価を下した。チームは2日目の予選に向けて懸命に作業に取り組んだものの、その成果は乏しかった。
ガスリーは何とかQ3に駒を進めて6戦連続での最終ラウンド進出を手にしたが、角田裕毅はQ1突破が精一杯といった状況だった。コンディションに合わせて自身のドライビングを適応させていくという点で、経験豊富なガスリーに一律の長があるのは確かだ。
アルガルベ・サーキットでの走行経験がないというハンデはあったものの、角田裕毅曰く予選までにはほぼ対応できていたとの事で、予選・決勝での課題は別のところにあったようだ。
参考までに各チームの予選最速ラップを昨年のデータと比較すると、平均で約1.54秒ほどタイムが遅くなっているが、アルファタウリ・ホンダは1.843秒のプラスと、10チーム中9番目に大きくタイムを落としている。
日曜の決勝でも苦境変わらず、周りのライバルが23秒台に入れ込んでいく中、角田裕毅は予定よりも早い21周目にミディアムからハードに交換した。参考までにアルピーヌ勢は共にミディアムを履いた第1スティントを40周まで引っ張っており、新品ミディアムで最もスティントが短かったのは角田裕毅だった。
ミディアムからハードへの予定外のピットストップについて角田裕毅は「フロントが全然入らずピットインせざるを得ない状態だった」と説明し、マシンの挙動も不安定で「難しいレースだった」と首をかしげた。
まだ原因が分かっていない事が幾つかあるようだが、角田裕毅は最も気になった点として「フィードバックが毎回チームメイトと正反対な事」を挙げた。同じセットアップを走らせても、それから得られる感触が常に異なっていたのだという。
これについては、実際にガスリーと比較して自身のクルマの方が「圧倒的に曲がっていない」とした上で、コーナーへのアプローチの際にフロントが入らない事が苦戦の一因になったのではとの見方を示した。
シャシーに何か違い、あるいは問題があるのか。タイヤの使い方、ドライビングの違いによるものなのか。角田裕毅は今後に向けてチームと話し合って解決していきたいとした。
フロントのグリップ不足に苦しんでいたのはアルファタウリ・ホンダだけではない。アルピーヌはそれ程でもないように見えたが、路面や風の影響で幾つかの中団チームも同じ課題を抱えていた。
次戦スペインGPの舞台、カタロニア・サーキットはアルガルベ程ではないにしろ同じ様に風が懸念材料となるコースであり、またコーナーでフロントが入らないマシンが苦戦を強いられる傾向にある。
角田裕毅はその点に触れて懸念を示す一方、前向きな材料としてジュニア時代に積み重ねたカタロニアでの走行経験を挙げ、ドライビングやセットアップ面で活かせる部分があるはずだとして「これまで以上に週末に入る前の段階から準備を整えていきたい」と誓った。
なおスペインでは最も硬いC1~C3コンパウンドが供給される。これは今季2度目でポルトガルと同じ組わせであり、今週末とは異なり少なからず経験を活かせる余地があるはずだ。