赤旗と周冠宇、2つの要因がもたらしたサインツのF1モナコ表彰台
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カルロス・サインツ(フェラーリ)は幸運にも、16番手からでなく3番手からF1モナコGPのリスタートに臨み、3位表彰台を獲得したが、これには赤旗だけでなく周冠宇(ザウバー)の存在があった。
予選3番手のサインツは、最初のスタートでオスカー・ピアストリ(マクラーレン)とサン・デボーテ(ターン1)で接触してパンクに見舞われた結果、カジノ前で停車。後続車両の通過を待った後、ピットへと戻った。
リスタートに向けては16番グリッドに着く可能性もあったが、レースディレクターのニールス・ヴィティヒの決定はサインツに3番グリッドを与えた。
赤旗からのリスタート時のポジションについては、F1競技規定第57条3項にて「すべての車両の位置を決定することが可能な最終時点のものが採用される」と定められている。これは通常、各セクターライン、あるいはセーフティーカー(SC)ラインの通過順で決定される。
サインツにとって幸運だったのは、赤旗が振られる時点で周冠宇だけがセクター1をフィニッシュしていなかったことだ。そこでレースディレクターは、SCライン2をスタートポジションの決定指標として選択した。モンテカルロ市街地コースのSCライン2はターン1の直後に設けられている。
仮に周冠宇がセクター2にまで足を踏み入れていれば、サインツは16番手からリスタートしなければならなかった。この場合、表彰台はあり得なかった。
最後尾グリッドに着いた周冠宇は、目の前で発生したハース勢とセルジオ・ペレス(レッドブル)が絡む多重クラッシュを受け、大幅な減速を強いられた。現地でファンが撮影した以下の動画が分かりやすい。
サインツが16番手からリスタートしていれば、3位表彰台は自身のものだったはずだと考えるランド・ノリス(マクラーレン)は「不公平」だと訴えたが、チーム代表のアンドレア・ステラはルールが適切に適用されたとの考えを示した。
ステラは同時に、サインツが幸運だったとも指摘したが、本人も同じ様に感じている。
「ある意味、パンクしたのはちょっと不運だったけど、その後ポジションを取り戻すことができてラッキーだった」とサインツは語った。