コロナ損失懸念されるも…レッドブル、オーストリアGPの舞台担う従業員達の雇用を維持

レッドブル総帥デートリッヒ・マテシッツとマックス・フェルスタッペン、2018年F1オーストリアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

新型コロナウイルスの影響で臨時休業を強いられ、深刻な経済的影響を受ける恐れがあるにも関わらず、レッドブルのディートリッヒ・マテシッツ総帥は、F1オーストリアGPの舞台を担うシュピールベルクのサーキットの従業員達の雇用を可能な限り維持したいと考えている。

ヘルムート・マルコが「まるで戦時中のようだ」と評した事からも伺える通り、イタリアやスペイン、ドイツやフランスほどではないとしても、オーストリア国内での新型肺炎の被害は決して軽微ではなく、29日現在で8,711名の確定症例が確認され、死者は86名に上っている。

現時点では予見できないものの、新型コロナウイルスがF1やチームに与える経済的損失は図り知れず、経営が息詰まる組織が出ても不思議はない。だがそれはレースサーキットの運営企業も同様だ。イベントの自粛や政令による中止宣言によって各国のサーキットは大きな困難に直面している。

2008年のリーマン・ショックを上回る規模の経済へのインパクトが懸念される中、F1アメリカGPの舞台を担うサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)は、MotoGPのアメリカズGPとインディカー・シリーズのレースを失った事で、少なくとも約60万人分に相当するチケットの売上が泡と消え、半分の従業員の解雇を余儀なくされた。だが、一方のレッドブル・リンクはコロナインパクトに抗う構えを見せている。

レッドブル・リンクは3月16日以降、従業員及び観客の健康を守るために臨時休業に追い込まれているものの、オーストリア紙「クライネ・ツァイトゥング」の報道によれば、マテシッツ総帥はシュピールベルクのプロジェクトに関わる370人の従業員全員の雇用を守る意向を示しており、当面の間は短時間労働を強いることも人員を削減する事もしないという。

暗い世相の中にあってポジティブなニュースである一方、ウイルス収束の見通しは立っておらず、スタッフが失業するのは時間の問題とも言える。

F1オーストリアGPは7月5日に、MotoGPのレースは8月16日に決勝レースが予定されており、レッドブル・リンクの公式WEBサイト上では30日現在「現時点では主要イベントへの影響はなく予定通り開催される」としている。だが、これらのメインイベントが中止を強いられる事になれば、雇用を維持するのは一層厳しくなるだろう。

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