ピレリ、F1イギリスGPのパンク多発事件の調査結果を公表…次戦でのタイヤノミネート 変更せず

パンクして破壊された左フロントタイヤを見るメルセデスのルイス・ハミルトン、2020年F1イギリスGP決勝レース後copyright Daimler AG

F1公式タイヤサプライヤーのピレリは8月4日(火)、シルバーストン・サーキットで開催されたF1第4戦イギリスGPでのタイヤパンク多発事件についての初期分析の結果を公表。極度の摩耗が原因だと結論づけた。

レース最終盤、ラップリーダーのルイス・ハミルトン及び2番手を走行していたバルテリ・ボッタスのメルセデス勢、そして5番手を走行していたカルロス・サインツ(マクラーレン)の3名が、立て続けに左フロントタイヤのパンクに見舞われた。

3台ともが最も硬く耐久性の高いハードタイヤ(C1コンパウンドタイヤ)を履いていたものの、ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)のクラッシュによってレース序盤にセーフティーカーが導入された事もあり、そのマイレージは40周近くにまで達していた。

キミ・ライコネン(アルファロメオ・レーシング)のフロントウイングの破損によるデブリが原因ではとも見られていたが、ひとまずは極度の摩耗が直接的な原因だと明らかにされた。ピレリは声明の中で次のように説明した。

「2セット目のタイヤを非常に長く使用することになった個々のレース状況が主たる理由だ。2回目のセーフティーカーの導入によって、ほぼ全てのチームが予定していたよりも早くピットインを行った結果、最終スティントが非常に長くなってしまった」

「2020年のF1マシンのペースが格段に向上していること(ポールポジションタイムは2019年と比較して1.2秒速い)と相まって、F1史上最速のF1マシンは、かつてない程タイヤに対して強大な負荷を発生させた。その結果、イギリスGPの最終ラップは特に厳しいものとなった」

「全体として今回のレースはタイヤにとって最も過酷な走行条件だった。そのため、左フロントタイヤ(4輪の内、シルバーストンで最も多くの負荷が掛かる事で知られる)は大量周回によって最大級の負荷を受け摩耗が進行し、(デブリなどによる)走行中のダメージへの保護性能が低下してしまった」

なおピレリのレース部門を統括するマリオ・イゾラは、2020年シーズン用に開発したタイヤが採用されていれば、こうした問題に対処できただろうとの見解を示している。ピレリは昨年1年間を通して2020年用のプロトタイプタイヤの開発に取り組んでいたが、最終アブダビGP後に行われたチーム投票の結果、全会一致で2019年シーズン用のタイヤを継続使用する事が決まった

イギリスGPでは最も硬いレンジのC1~C3コンパウンドが投入されたが、同じシルバーストンで開催される70周年記念GPでは、1段柔らかいレンジのC2~C4が持ち込まれる予定となっている。

パンクが多発したことでノミネートが修正される可能性もあったが、ピレリは予定通り、70周年記念GPでC2~C4を投入する事を明らかにした。

ただしスリックタイヤの最低内圧を引き上げる等、使用方法に関する指示内容の変更を検討しているという。イギリスGPではフロントタイヤが25psi、リアタイヤが21psiに指定されていた。

F1-70周年記念GP特集

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