「戦おうとしない」ペレスはフェルスタッペンにとっての理想的なチームメイト、とレッドブル

F1エミリア・ロマーニャGPで1-2フィニッシュを飾り表彰台の上で肩を組むレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス、2022年4月25日Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、優勝に足る実力を持ちながらも、闇雲にもう1台のマシンに牙を剥こうとしないセルジオ・ペレスはマックス・フェルスタッペンにとって理想的なチームメイトだと考えている。

レッドブルは今年、2028年までの超長期契約を持つフェルスタッペンのチームメイトとしてペレスを残留させた。それも単年ではなく2024年末までの2年の契約延長だった。

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優勝したセルジオ・ペレスの頭にシャンパンを注ぐレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表、2022年5月29日F1モナコGP決勝レース

ダニエル・リカルド離脱後のレッドブルは、フェルスタッペンのパートナー選びに苦慮し続けてきた。ピエール・ガスリーは僅か半年で姉妹チームに降格となり、アレックス・アルボンはマルコの期待に応えられなかった。

クリスチャン・ホーナー代表は、いずれのドライバーが今季のタイトルを獲ろうが構わないとしているが、チームがフェルスタッペンを絶対的なエースに位置づけている事は明らかで、昨年までのルイス・ハミルトン(メルセデス)におけるバルテリ・ボッタスのようなウイングマンがチームメイトとして理想的である事は言うまでもない。

マルコはRed Bulletinとのインタビューの中で「マックスはどんなクルマでも速く走らせることができる。だからこそセルジオ・ペレスを彼のチームメイトに迎える事が完璧なのだ」と語った。

「チェコは戦おうとせず、その一方でできることは全てやるからこそ、昨シーズンのバクーのように勝利につながることもある。2人の相性はとても良い」

高い競争力を持ちながらもチームメイトに過度なライバル心を抱かず、それでいてフェルスタッペンに不測の事態が生じた場合に代わって勝利を掴む事ができる人材。それがペレスというわけだ。レッドブルにおける将来は想像以上に安泰なのかもしれない。

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優勝して笑みを浮かべるレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス、ヘルムート・マルコ、2022年6月12日F1アゼルバイジャンGP

今でこそF1の伝説、アイルトン・セナに匹敵するとマルコに言わしめるフェルスタッペンだが、キャリア初期は荒れ狂う闘争心を抑えきれず、問題を起こす事もしばしばだった。

マルコはフェルスタッペンが成熟への道のりを歩み始めたきっかけは、シーズン途中でレッドブルへの昇格を果たし、その初戦で初優勝を飾った2016年のスペインGPだと考えている。

「初勝利以来、マックスは信じられないような成長過程を経てきた。今の彼は優先事項を理解し、自らの手で変えられないものを受け入れることができる。若い頃は口汚く罵っていたものだがね」

ダニール・クビアトを降格させるに伴い、レッドブルにはカルロス・サインツを昇格させるという選択肢もあったが、マルコはフェルスタッペンを選んだ。ただ、サインツを過小評価していたわけではないと言う。

「カルロスが見落とされているという指摘もあった。彼も成長を遂げており、2人の間の違いは殆どなかった」

「だがマックスは経験が少ないにも関わらず、カルロスより速かったのだ。カルロスは単に、マックスとチームメイトであった事が不運だったんだ」

マルコはカート時代からフェルスタッペンに一目置いていた。デブリの衝突によって左目を失明した1972年のフランスGPまでレーシングドライバーとして活躍していたレッドブルの重鎮は次のように振り返った。

「彼は父親(ヨス・フェルスタッペン)から非常に素晴らしい、しかし同時に本当に厳しい教育を受けてきた。それが彼を作り上げたんだ」

「イタリアでは1年を通してカートの練習ができるのに、雨が降ると誰もがすぐにカフェテリアに向かう。だがマックスだけは外に残って練習を続けなければならなかった」

ヨス・フェルスタッペンの厳格な指導方法には賛否両論あるが、結果的にマックスは過度なプレッシャーが掛かる状況下にあっても正確にクルマをコントロールする強い精神力を身につけた。

「マックスを相手にするのは、きっと楽しくないだろうね。彼のマシンコントロールは信じがたいレベルで、どんなコンディションであれ全てを限界まで高めていくんだ」とマルコは語る。

「例えば雨に見舞われた(2016年の)ブラジルでは、時速300kmでクルマが横向きになる瞬間があったが、彼はコントロールを取り戻してみせた」

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