モンテカルロの悲劇…母国勝利のチャンスを奪われてなお気丈に振る舞ったシャルル・ルクレール
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母国ポールポジションを獲得したシャルル・ルクレールのモナコでの週末は、またも悲劇的な結末を迎えた。
予選Q3でのクラッシュの影響によるギアボックス交換が懸念されていたものの、フェラーリは日曜朝の最終確認を経て問題はないと判断。ルクレールはポールポジションを確保したかに思われた。
だが、グリッドへと向かうレコノサンスラップ中に、トンネルを抜けた先でルクレールの悲痛な叫びが無線に流れた。
「No…No…No…Nooo…みんな、、ギアボックスだ。。」
ガレージへと戻ったルクレールはメカニック達に全てを委ね、ヘルメットを被ったままコックピットの中で僅かな期待に望みを託したが、非情にもその望みは打ち砕かれた。
フェラーリはその後、トラブルの原因はギアボックスではなく左ドライブシャフトにあったと発表した。限られた時間内に修復する事はできなかった。ルクレールは今回を含めて過去3回モナコGPに挑戦しているが、一度もチェッカーを受けた事がない。
決勝を戦う19台のマシンのエキゾーストノートがモンテカルロの街にこだまする中、ルクレールは「悲しい。とにかく本当に悲しい気分だ。洗いざらいを確認してくれていたチーム事を思っても残念だ」と肩を落とした。
「昨日からメカニックのみんなが総出で慌ただしく仕事に取り組んで確認作業を行ってくれた。すべて問題ない事をチェックしてくれた」
「アウトラップでセクター1を走った段階では全てが完璧に感じられたのに、トンネルに向かった所で左リアの何かが壊れてしまった。最初はギアボックスだと思ったけど、さっきの調査によるとそうじゃないみたいだ。何か別の部分だと思うけど、詳細はまだ分からない」
「ここは僕にとって特別な意味を持つサーキットだし、ドライバーであれば誰もが母国レースで良い結果を残したいと思うものだけど、僕は今回もモナコで完走する事ができなかった」
「今年はポールポジションからのスタートだったのに、レースを始める事すら出来ない。受け入れがたい事だけど、これが現実だ」
失意の程を思えば、怒りに我を忘れて当たり散らしても無理もないと思うところだが、コックピットから降りたルクレールは気丈に振る舞い、チームメンバーの努力をねぎらった。
インタビュー中も時折下を向く以外は平静を装い「これを乗り越えて、今後はもっと上手くできるように努力しなければならない」と言ってのけた。
次戦以降も同じ様にポールを獲得し、優勝を懸けて戦えるだけの高い競争力が期待できるのであればまだ理解できるが、ルクレールは少なくとも今シーズン中に同じような状況が生まれるとは全く考えていない。
「トップ争いに戻れて本当に楽しかったけど、その一方で、これが一回限りのものだということも分かっている。ここでのクルマは本当に良かったけど、次のレースからは再び現実に連れ戻されるだろう」
「残念だけど、この手のポジションで再び戦う事はない。だからこそ、いつも以上に苦しいんだ。でもこれが現実なんだ」