8連覇に向け邁進するメルセデスF1、2021年最大のライバルは「分かり切った事…レッドブル・ホンダだ」
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各チームともに未だ新車のディティールはベールに包まれ、シーズンの行方を占う事は難しい。だが、8年連続のダブルタイトルに向けて邁進するメルセデスAMGは、2021年シーズンもレッドブル・ホンダが最大のライバルになると考えている。
円熟のルイス・ハミルトンは昨年、ミハエル・シューマッハと並ぶ7度目のチャンピオンを獲得。その功績が讃えられ、ナイトの称号が授けられた。歴代F1ワールドチャンピオンの中で「Sir」の称号を持つのは、ハミルトン以外にジャック・ブラバムとジャッキー・スチュワートの2人だけだが、現役時にこれを手にしたのはハミルトンのみだ。
去る1月7日に36歳の誕生日を迎えたばかりのイギリス人ドライバーは今年、ドイツの英雄的ドライバーの記録を塗り替える8度目のタイトルに臨む。
メルセデスの今季パワーユニットは、ICE(内燃エンジン)とターボチャージャーに改良が加えられパワーが増大し、昨シーズン中に度々不具合を起こしていたMGU-Kも信頼性の向上が図られた。チームはシャシーの詳細を隠し続けているが、今季型「W12」に相当の自信を持っているようで、恒例のシェイクダウンを行わずにプレシーズンテストに向かう。
まさに死角なしといったところだが、その行く手には8年ぶりの王座復帰に燃えるミルトンキーンズのチームが立ちはだかる。
レッドブル・ホンダは昨年、チームとして一貫した競争力を発揮することが出来なかった。マックス・フェルスタッペンという強力なタレントを抱えながらも、昨季型RB16はその予測不能な挙動でドライバーを翻弄。アレックス・アルボンは最後まで上手く対処しきれず、またマシンの信頼性は十分とは言えないものだった。
しかしながらメルセデスのトト・ウォルフ代表は、今年のレッドブル・ホンダが「チームとして」ギアを1段階上げてくると睨んでいる。
トト・ウォルフはスカイスポーツとのインタビューの中で「分かりきった事だが、彼ら(レッドブル)が最も手強いライバルになるだろう」と語り次のように続けた。
「彼らは我々と同じ水準のリソースを持つ非常に野心的なチームであり、ルイス・ハミルトンと同じ軌跡を辿ろうとしているマックス・フェルスタッペンに加えて、今年はセルジオ・ペレスが加わる。彼はコンストラクターズ選手権バトルにおいて、定期的に得点を稼げるドライバーだ」
「私がレッドブルを最大の競争相手と予想する理由はそこにある」
ペレスはレーススペシャリストとしての評判を築き上げてきたドライバーだ。グリッドの中で、これほど一貫して見事なタイヤマネジメントを行い、チームに確実にポイントを持ち帰っているドライバーはほとんどいない。
F1最終年を迎えるホンダの最新型パワーユニット「RA621H」もメルセデスにとっての驚異となり得る。
ペレスは「ホンダはメルセデスとの差を縮めるために必死で頑張っているし、既にかなりの進歩を遂げている。メルセデスに勝てるかどうかは様子を見る他になけど、いずれにしても興味深い戦いになると思う」と述べ、慎重ながらも期待感を示す。
ペレス自身はまだホンダエンジンを殆ど経験できていないが、昨年まで所属していたレーシングポイントは最強の称号を恣にするメルセデス製を搭載していた。チーム内で直接両者を比較できるのはペレスだけだ。
2022年には技術レギュレーションが抜本的に改定され、次世代シャシーでの新たな時代が始まる。2014年に始まったV6ハイブリッド時代はメルセデス無敗神話でその最終章を締め括るのだろうか?
F1は来週12日から14日にバーレーン・インターナショナル・サーキットでプレシーズンテストを行い、今月28日の開幕戦に向けて本格始動する。