メルセデスF1、エンジン制限の更なる強化にも関わらず”信頼性”に自信「ペナルティを受けるつもりはない」
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メルセデスAMGは、2018年シーズンにF1パワーユニットの年間使用制限が強化されるにも関わらず、依然としてその信頼性に自信を持っていると主張する。メルセデスはF1にPUを供給する4メーカーの中で、最も信頼性の高い故障しないエンジンを製造している。
各マシンが一年間に使用できるエンジンコンポーネントの数は、これまで以上に厳しい制限が課せられる。ICE、ターボチャージャー、MGU-Hは年間3基、MGU-K、コントロールエレクトロニクス、エネルギーストアは年間2基に削減される。今季は史上最多の21戦が予定されており、少なくとも7レース分を一つのコンポーネントで乗り切る事が求められる。
メルセデスのエンジン部門の責任者を務めるアンディ・コーウェルは英Auto Sportに対して、エンジン使用制限の厳格化は前もって分かっていた事であり、レギュレーションが予定通りに実施されるだけの事だとの考えを示した。2つの革新的なハイブリッドシステムを含む”パワーユニット時代”が訪れた2014年、各コンポーネントは年間5基までとされ、昨年は4基までに制限された。
燃費の良さがマシンの速さと比例するようになった2014年以降、エンジンの耐久性とパフォーマンスとのバランス感覚が、タイトル獲得に際しての重要な要素として認識されるようになった。欧州を中心に旧来の化石燃料を使うパワーユニットが”悪役”としてプロパガンダされる昨今、F1というレースの世界も市場と無関係を装う事は禁じられた。
コーウェルによれば、F1パワーユニットの6大コンポーネントの内、電気系統のエレメントの寿命を伸ばすことは決して難しいことではないという。
「昨シーズン、全ドライバーが使用したコンポーネント数を参照すれば明らかな様に、エナジーストアとコントロールエレクトロニクスの使用基数が最も少なかった。これらが寿命をのばすのが最も簡単なエリアだと言える」
エナジーストア(ES)は、回生されたエネルギーを貯蔵するバッテリーであり、コントロールエレクトロニクス(CE)はパワーユニット全体を制御するための電子デバイスである。コーウェルによれば、電気コンポーネントは機械的には頑強であり、信頼性阻害の原因となるのは振動と温度だという。この領域をカバーできれば不具合を起こす事なく長期に渡って使用可能と考えられている。メルセデスはこのエリアのパワーと信頼性のバランス制御に自信をもっている。
冒頭に述べた通り、信頼性とはパフォーマンスとのシーソーゲームであるが、年間使用制限が厳しくなるにも関わらず、コーウェルはメルセデスPUは昨年と同等程度に速さを発揮できると主張する。
「我々のエンジニアは、パワーユニットのコントロールをマスターしている。目指しているのは、予選でも決勝でも妥協する事なく、かつリタイアもしないということだ。グリッドペナルティを受けるつもりなはい」
王者に死角なし、とはまさにこの事だが、裏を返せば電気系統以外の領域、すなわち内燃機関やターボチャージャー等の機械的エリアについては、ルノーやフェラーリ、そしてホンダが勝ち抜けるチャンスがあるという事だ。