ホンダF1、2019年パワーユニット開発に暗雲…信頼性の問題解決に黄色信号

トロロッソSTR13のノーズにプリントされたホンダのロゴcopyright Honda

2チーム4台の新しい供給体制となる2019シーズンに向けてホンダF1への期待が高まっているが、開発の現場には暗雲が立ち込めている。独AutoBildが報じたところによれば、ホンダは依然としてICE=内燃エンジンに関して深刻なバイブレーション=振動の問題を抱えており、2019年型のパワーユニット開発に遅れが生じているという。

この問題について、レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは既に対策済みと述べ、メルセデスAMGパワーユニット部門の礎を築いた英イルモアのマリオ・イリエンを起用して問題解決に充てている事を明らかにした。

レッドブルは、ルノーと提携していた2015年にパワーユニット開発のサポートを行うべく研究グループを創設。これに合わせてマリオ・イリエンをルノーへと送り込んだが、この試みはルノー側が受け入れに消極的な姿勢を取ったことで、実を結ぶことはなかった。

ホンダは昨年、栃木県にあるHRD Sakuraで開発されたスペック3エンジンをロシアグランプリで投入するも車体に想定外の振動が発生。翌日本グランプリまでにキャリブレーションの最適化を試みたものの完全解決には至らず、意図的にエンジンパワーを抑える事で対処していた。

振動の問題はホンダがF1に復帰してからの一貫した課題の一つ。2017年のホンダエンジン「RA617H」もまたマクラーレン製のシャシーと共振を起こし、マシントラブルの温床となっていた。マリオ・イリエンはこの時もホンダのPU開発をサポートし、一定の成果を上げていたとみられている。

イギリスのレース専門エンジンメーカーの協力を取り付けたは良いものの、不安材料は尽きない。独メディアは、パワートレイン開発・試験・シミュレーションの分野で世界をリードするAVL社とホンダとの提携が終了したと報道。AVLのプロジェクトリーダーとホンダ側のエンジニアの間にイザコザがあったとされる。ただし、auto sport Webがホンダ関係者の話として伝えたところによれば、両者はそもそも提携していないという。

オーストリアのグラーツに本拠地を置くAVLは、実に幅広い種類のエンジンや電気モーターに対応するダイナモを提供しており、その中には市販車用だけでなくレーシングテスト用のものすらある。その精度の高さとダイナミック制御は各方面から高い評価を受けており、ホンダのライバルであるメルセデスやフェラーリ、そしてルノーもこれを導入している。

実車での走行状態を如何にして忠実にダイナモ上で再現するかが異常振動への対策の要となるだけに、AVLとのコラボレーション解消が事実であれば決して良いニュースとは言えない。

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