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2017年のフォーミュラ1世界選手権第18戦メキシコGP。1963年のF1初開催以来、過去17回のグランプリが行われており今年で18回目の開催となる。当初5kmほどあったエルマノス・ロドリゲス・サーキットも今や4.4km、2015年のF1カレンダー復帰に際してヘルマン・ティルケによる大改修が行われた。
これを知らないなんて人生の4分の1を損している…そんな噂が立つ(?)ほどに有益なメキシコGPにまつわる”5つの数”を紹介しよう。注目の数字は「78」「9」「4」「372.5」「6」。
《78%》海抜0m地点と比較した空気濃度
© Mercedez AMG
エルマノス・ロドリゲス・サーキットは標高約2,200mのメキシコの首都メキシコシティに位置しており、F1カレンダーの中でも最も標高が高いコースとなっている。海抜0m地点と比較した場合の空気濃度は78%。空気が薄いため、エンジン性能の低下のみならずマシン冷却が極めて難しい。ブレーキやエンジンへの負荷は大きく信頼性が問われる。
決勝ではマシントラブルに要注目。各チームは限界ギリギリの開発競争にさらされており、躍進を目指すチームほど信頼性をリスクに晒したアグレッシブなマシンを作りがちだ。メキシコと同レベルにブレーキへの要求が大きいのは、カナダとアブダビの2つのみ。
《9回》ポールからの優勝回数
©F1
過去17回の開催の内9回は予選ポール・ポジションのドライバーが優勝している。ポールからの優勝確率は53%と高い。2015年のニコ・ロズベルグ、16年のルイス・ハミルトンもポール・トゥ・ウィンでの勝利だった。
とは言えスタートから1コーナーまでは800mとこちらもカレンダー最長、スタート直後のオーバーテイクは比較的容易だ。ポール・トゥ・ウィンの確率こそ高いが、予選順位のアドバンテージはさほど大きくないとも言える。お気に入りのドライバーが予選で沈んだとしても、希望を捨てずに決勝のスタートに注目しよう。
《4人》メキシコGP初走行のドライバー
今回初めてメキシコGPを走るのは、ランス・ストロール、ストフェル・バンドーン、ピエール・ガスリー、そしてブレンドン・ハートレーの4人だ。とは言え、ハートレーは2016年と17年にエルマノス・ロドリゲスで開催されたWEC世界耐久選手権でのレースで2度の優勝を果たしている。
空気が薄いためにダウンフォースが制限され、腕のないドライバー程コーナリングの際にマシンを滑らせコースオフしてしまう。新人ストロールの乗る今季ウィリアムズのマシンは根本的にダウンフォースが少ない。マシンを壊さず無事に完走できるだろうか?
《372.5km/h》メキシコGPの最高速度
2016年当時、ウィリアムズに在籍していたバルテリ・ボッタスがメキシコGP決勝で記録した最高速度は372.5km/h。これは史上2番目の速さだが、奇妙なことに平均速度は約195km/hと最高速の約半分程度しかない。これは高地がゆえの特殊な現象と言える。
空気が薄い為にストレートでは空気抵抗が少なくなりスピードアップ、逆にコーナーでは空気が薄いためにダウンフォースが得られずスピードダウンとなるのがその理由だ。現在のF1カレンダーでこの平均速度を下回るサーキットは、モナコGPとシンガポールGPの2つのみ。如何にメキシコの平均速度が遅いかがよく分かる。
《6人》歴代メキシコ人F1ドライバー
メキシコ人として初めてF1に参戦したのはリカルド・ロドリゲス、1961年のことであった。63年にはリカルドの兄ペドロとモイゼス・ソラナがデビューし、77年にヘクトール・レバーク、そこから34年の空白を挟み2011年にセルジオ・ペレスが、そして13年にエステバン・グティエレスが続いた。
歴代メキシコ人F1ドライバーの6人中5人がポイントを獲得しているが、ペレスはこれまで449ポイント獲得しており、最も多くのポイントを稼いでいるメキシコ人F1ドライバーとなっている。
表彰台はスタジアムセクションのど真ん中、4万人もの熱狂的なメキシカンが囲む中でセレモニーが行われる。仮にペレスが表彰台に登ったりすれば、史上最もエキサイティングなイベントになるだろう。15年勝者ニコ・ロズベルグをして「今までの人生で最高の表彰台だった」と言わしめたほどメキシコでのポディウムは圧巻なのだ。
ちなみにエルマノス・ロドリゲスとはスペイン語で”ロドリゲス兄弟”を意味しており、エルマノス・ロドリゲス・サーキットはリカルドとペドロのロドリゲス兄弟にちなんで名付けられている。