FIA、5月末の確定目指し次世代F1エンジン規約案を発表。指針変わらず、撤退仄めかすフェラーリの動向に注目集まる

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F1ストラテジーグループとフォーミュラ1委員会は17日、FIA国際自動車連盟のジャン・トッド会長とF1のチェイス・キャリーCEOの同席の下、パリのFIA本部で会談を実施、来シーズンの技術規約の変更並びに2021年以降のパワーユニット規約についての議論を行った。

2021年以降のF1エンジン、MGU-H廃止の方向性変わらず

会合の中でFIAは、2021年以降のF1パワーユニット規約に関して以下の内容を提案。5月末までにレギュレーションを確定させるべく、今後、現行及び潜在的なパワーユニット供給メーカーとの会合を重ね、より詳細に議論していく予定だという。

  • 1.6リッターエンジン
  • V6ハイブリッドターボ
  • MGU-Hの廃止

高価な熱エネルギー回生システム=MGU-Hを廃止するという方向性は、昨年10月にリバティ・メディアとの協同で発表された骨子において既に示されている通り。これに不満を示したフェラーリのセルジオ・マルキオンネ会長はF1からの撤退も辞さないと主張。先日13日に行われたオランダでの株主総会でも同様の発言を繰り返しており、緊張が高まっている。

MGU-Hの廃止はエンジン製造メーカー及びこれを買い受けるチームのコスト削減につながるとされ、新規参入を目指すメーカーにとっても大きな誘引となる。英アストン・マーティンのアンディ・パーマーCEOは、今月6日にリバティ・メディアより提示された同様のF1改革案を歓迎、参入に前向きな姿勢を示している

2019年のテクニカル・レギュレーション変更案

次に、2019年シーズンのテクニカル・レギュレーションに関して、世界モータースポーツ評議会(World Motor Sport Council)での承認を条件に、以下の変更が合意に至った。

  • レース燃料を105kgから110kgに増加
  • 車両重量とドライバー重量の分離
  • バイオメトリックグローブ着用の義務化

現行規約ではレース中に使用可能な燃料が105kgに制限されており、ドライバーは低燃費走行を強いられている。これが110kgに増やされる事で、レースを通して常時エンジン全開での走行が可能になるとされる。予選ラップタイムへの影響はないものの、決勝でのラップタイムは大幅に向上する可能性がある。

今年1月の会合で議論されていた、規約上の”最低重量”を「マシン」と「ドライバー + ドライバーシート」の2つに分ける案が可決された。これにより、ニコ・ヒュルケンベルグやエステバン・オコンといった長身ドライバーの不公平の緩和が期待される

今年の開幕オーストラリアGPから導入されたIoTグローブの着用が全ドライバーに対して義務付けられる。バイオメトリックグローブは内側にセンサー類が縫い込まれた、心拍数と血中酸素濃度のモニタリングが可能な先進グッズ。事故の際に、医療スタッフがドライバーの生体情報をいち早く把握できるとされる。

オーバーテイク数の向上をもたらすとされるエアロダイナミクスに関しての変更は、FIAの研究結果がまとまるとされる今月末まで保留となった。

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