F1、先行きは「完全に未知の領域」チームの経営破綻を防ぐべく財政支援を実施

2019年F1バーレーンGP決勝レーススタート直後のホームストレートの様子copyright Pirelli & C. S.p.A.

F1は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でチームが資金繰りに行き詰まり経営破綻に直面する事を防ぐべく、幾つかのチームに対して財政支援を行った事を明らかにした。

F1を所有する米リバティ・メディアのグレッグ・マッフェイCEOは4月23日(木)、収益の大部分をF1からの分配金に依存している幾つかのチームに対して、キャッシュを前払いしたと語った。

新型肺炎の世界的流行の影響で2020年のチャンピオンシップは混乱の最中にある。伝統のモナコGPは中止され、開幕オーストラリアを含む他の8レースは無期限の延期となっている。未だ開幕の目処は立っておらず、開催権料とテレビ放映権料、そしてスポンサーシップ料に依存するF1とF1チームは財政的な課題に直面している。

上位チームの幾つかはバーニー・エクレストン時代に締結されたコンコルド協定によって、少なからず最低保証を受けているものと見られるが、ミッドフィールドの幾つかのチームにとっては賞金だけが頼りだ。ハース、レーシングポイント、アルファロメオ、そしてウィリアムズの先行きを懸念する声は少なくない。

例えシーズン開幕に漕ぎ着けたとしても無観客レースとなる可能性が高い。マッフェイCEOは投資家と電話会談の中で今季の利益見通しについて「観戦客がいない状態でレースを開催すれば収益性が低下するのは明らかで、場合によってはゼロになる可能性もある」と語り、次のように続けた

「我々は2020年に向けて十分な資本力を持っていると言えるかもしれないが、F1からの分配金が主要な収益源となっているチーム、特にF1からの最低保証がないチームに関しては(レースに出走する事によってかえって)コスト負担が発生する事になるだろう」

「ファンに利益をもたらしつつ、収益が発生しないレースを開催することでチームが破産しないようにするにはどうすればいいのか?」

「我々はすでに特定のチームに対して、支払いを前倒しで行った。今後も同様の措置を取るかもしれない。助けを必要としているチームの橋渡しをするために、他にも対策を講じる事になるかもしれない」

「だが我々は、これをオープンな小切手だとは考えていない。2020年、2021年、そしてその先のレースを成功させるために必要な事だからだ。それは我々にとってのみならず、(F1という)エコシステムにとっても好ましい事だ」

果たして今シーズンのチャンピオンシップは開幕を迎えるのだろうか? 世界選手権レースとして成立するのだろうか? マッフェイCEOは「完全に未知の領域だ」と述べ、仮に開幕するにしても具体的にどのような形でイベントが行われるのかについては、今なお様々なシナリオが検討されている段階だと説明した。

「ゼロレースのシナリオもあれば、15~18レースのシナリオもあるし、ファンを締め出してチームだけでレースを行う可能性もあり、我々は無数の課題と可能性を抱えている。(F1の)チェイス(ケアリーCEO)と彼のチームは複数の選択肢を提示されている状態だ」

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