F1:一転…英GPでの一件経てスチュワードへの働きかけ防止へ、16年半に渡る潔白主張のホーナーは歓迎
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FIAレースディレクターを務めるマイケル・マシは当初のスタンスを変えて、事前の承認なしにチーム関係者がスチュワードを訪ねる事を禁止した。違反した場合、FIA国際スポーツ規約第12条2項1.iに基づき制裁が科せられる可能性がある。
メルセデスのトト・ウォルフ代表はF1第10戦イギリスGPでルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンが衝突した際、事件が調査中であるにもかかわらずスチュワードルームを訪れ働きかけを行った。
ウォルフはマシから「遠慮なく2階に行ってスチュワードを訪ねてくれ」と言われたためにそれに従ったまでだと主張した。
同じ様にレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表もウォルフの後を追ってスチュワードルームに向かったが、これについてはウォルフによる働きかけを防ぐためだったと説明し、今後はチーム関係者によるこうした行為を禁止すべきだと主張した。
当初マシは、チーム関係者がスチュワードと話をする事を問題視しないどころか奨励する姿勢を見せていたものの、各チームのスポーティング・ディレクターとの話し合いを経て態度を変えた。
マシは全チームに宛てたメールの中で、競技者がスチュワードルームに立ち入るためにはスチュワードの事前承認を得るか、または召喚状が発行された後でなければならないと警告した。
この指示に従わない場合は「イベントを安全かつ整然と運営するための関係競技役員の指示に対する不履行」と見なされ、叱責から失格まで多岐に渡る罰則の対象となり得る。
この決定についてホーナーは「スチュワードに圧力をかける事は公平ではない判断に至る可能性があるため、FIAがこうしたロビー活動を今後も禁止すると明確化してくれた事に満足している」と語った。
「FIAレースディレクターのマイケル・マシはチームとの窓口であり、チーム無線を通して自分達の意見を伝えると、それをスチュワードに伝えるかどうかを決定する役割を担っているという点において審判でもある」
「スチュワードは完全に独立した組織であり続けてきた。チーム代表を務めているこの16年半の間、私は一度もレースやセッションの最中にスチュワードルームに入った事はない」
「私はテレビ放送を通じて、ペナルティ裁定が下される前にマイケルにメールで伝えようとした情報を持ってトトがスチュワードに会いに行った事を知った」
「これは陪審員が最終的な評決を下す際にロビー活動をしようとする事と少し似ている」
「スチュワードが外部から隔離されているのは、そうした影響を排して独立した立場から結論を出すことができるようにするためだ」
「だからこそ私は、トトがスチュワードに働きかけているという話を聞いてスチュワードに会いに行き、我々二人ともがこの場にいるべきではない事を指摘し、意思決定プロセスの進行中に干渉するのは適切ではないと主張したのだ」